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2022年度もあとわずか、この4月から2023年度に入る企業も多いのではないでしょうか。新年度にどのような施策を打つか、検討が進んでいることでしょう。

今回のトライツブログは、4月からのマーケティング施策検討の参考になる「海外B2Bマーケティングの最新トレンド」をご紹介します。欧米のB2Bマーケティングがどのように変化しているのか、そして私たち日本のマーケットにはどのような影響があるのか、早速見ていきましょう。

AIマルティプル社が選ぶ、最新のB2Bマーケティング・トレンド

今回ご紹介するのは、AI関連のベンダーやソリューションの選定・導入支援を事業としているAIマルティプル社の最新記事「Top 10 B2B Marketing Trends in 2023」(2023年のB2Bマーケティングトレンド トップ10)。GartnerやHubSpotなど各社の最新調査レポートの中からとりわけ特徴的なものを選んで、10個のリストを作ってくれています。その10個の中からさらに面白いものを7つに厳選し、読みやすいように順番も入れ替えてご紹介していきます。

トレンド1. ソーシャルマーケティングがB2BマーケティングのNo.1チャネルに

1つ目のトレンドは「SNSを活用したソーシャルマーケティングが最も多くのマーケターから主要チャネルとして選ばれている」というもの。HubSpot社が2022年に調査したところ、B2B企業のチャネル別の利用率の上位7つは下図のようになっています。

記事では「ソーシャルマーケティング」がトップとなっていることに注目していますが、上位7チャネルすべてがデジタルになっているのも併せて注目したいポイントです。

Satori調べによると、現在の日本では「ソーシャルマーケティング」は8位の選外。また3位にリアルの「展示会」が入っていますので、上のグラフのようにデジタルチャネルが独占している状態とは異なります。今後3位の「展示会」をほかのデジタルチャネルが追い抜いていくのか、YouTubeやLinkedInなどの「ソーシャルマーケティング」がどこまで伸びるのか、トライツでも継続して追いかけたいと思います。

トレンド2. ソーシャルの中ではLinkedInが不可欠の存在に

2つ目のトレンドは「LinkedInの重要性が増している」。記事では以下のようなデータを紹介しています。
・B2Bマーケターの95%がLinkedInを活用している(Gartner社調べ)
・LinkedInのリード生成率(2.74%)はFacebook(0.77%)の3倍以上(HubSpot社調べ)

このデータを見ると、欧米のB2BマーケティングでLinkedInはもはや不可欠な存在。昨年出版された「LinkedIn活用大全」が話題になるなど、Facebookが一気に日本で拡大した2010年ごろに近い盛り上がりを日本のLinkedInでも見せています。数年後には日本でもLinkedInがB2Bマーケティングの主要チャネルになっている、というのは十分に起こりえるのではないでしょうか。

各企業がどのように活用しているかを見るだけでも十分に参考になりますので、まだ登録されていない方は一度登録してみることをお勧めします。また、トライツもLinkedInでほぼ毎週ブログを投稿していますので、フォローしてみてください。

トレンド3. B2Bマーケティングでポッドキャスト活用が増加

3つ目のトレンドは「ポッドキャスト活用が増えている」というもの。このトレンドも納得の内容だと思います。

英語の勉強を兼ねて海外のポッドキャストを聞くようにしているのですが、CNNやBBCといった放送局やTimesなどの出版・新聞社だけでなく、最近はマッキンゼーやアクセンチュアといったコンサルティング会社、AmazonやLinkedInなどのテック企業が自社でポッドキャストを開設し、面白い番組を流してくれています。

一方で、日本のビジネス系ポッドキャストは放送局やコメンテーター、タレントや有名人がほとんどで、事業会社が開設しているのはごくわずか。私が調べた範囲では経営共創基盤の「IGPI Podcast」しかありませんでした。とはいえ、日本でもポッドキャストの推計利用者数は2020年の1123万人から2023年には1680万人に伸びている(オトナル社調べ)とのことですので、今後ビジネスパーソン向けのチャネルとしてポッドキャスト活用が少しずつ始まってくるように思います。

ビジネスパーソンの利用が多いB2Bマーケティング向きのポッドキャスト。英語が苦手でない方は、日本語の番組だけでなく海外の番組もいろいろと試し聞きしてみてはいかがでしょうか。単純に英語の勉強になりますし、マーケティングチャネルとしての使い方や可能性を感じられるようになると思います。

トレンド4. 動画コンテンツの利用が増加

4つ目のトレンドは「動画コンテンツの利用が増えている」というもの。HubSpot社の調査によると「マーケティング担当者の35%が、2022年に初めて動画コンテンツをマーケティング戦略で活用を予定」していたそうで、アフターコロナとなった欧米でもまだまだ動画コンテンツブームが続いているようです。

2022年初頭に早々にアフターコロナへ舵を切った欧米で動画コンテンツが一段と加熱している理由の1つとして、私はChatGPTで有名になった生成系AIの登場があると思っています。色々種類がある中で、最近一番注目しているのはCreative Reality Studio。わざわざ動画を撮影しなくても、自分の顔写真ファイルをアップロードして読み上げさせたい文章を入力するだけで、文章に合わせて顔の表情や体の姿勢がナチュラルに動いて、まるでビデオで撮影したような動画が自動で生成されます。まだ日本語の発音はぎこちなく合成で作ったことがわかってしまいますが、英語だと十分に通用するレベルになっていると思います。(母国語話者でないから違和感に気付かないだけかもしれませんが・・・)

PowerPointでもプレゼン動画を撮影できるようになるなど、ここ数年でどんどん動画コンテンツ作りのハードルが下がってきていますが、生成系AIを使えばそもそも撮影すら不要。極端に言えば新幹線に乗っている間や会社のデスクで静かに座っている間でも、自分がプレゼンしているかのような動画を作れてしまいます。今後日本でも動画コンテンツは一気に増えてくるはず。動画というフォーマットが身近になることで、これまで以上に中身のクオリティが重要になってくることでしょう。

トライツブログではB2Bマーケティングの最新トレンドについて継続して情報収集・発信していきます

ここまで、4つの海外B2Bマーケティングの最新トレンドをご紹介してきました。

LinkedInをはじめとするSNS、ポッドキャスト、動画コンテンツが現在欧米では伸びており、それぞれ日本市場でも今後広がる兆しを見せつつあると思います。今年度の施策として大々的に利用するにはやや時期尚早ですが、今から継続的にウォッチしたり社内でトライアルを進めたりしていれば、いよいよ日本で拡大するというタイミングでは他社を出し抜いて先陣を切ることができるはずです。

ちなみにトライツとしては、このような情報発信をすることで何か売りたいものがあるわけではないですし、煽るつもりもありません。ただ、コミュニケーション手段はどんどん変化していますし、それに対応していかないと取り残されるということと、新しいものは低コストで挑戦することができるようなっているものがほとんどです。

新しい期を迎えるにあたって、今回ご紹介した4つのトレンドの視点で自社の顧客とのコミュニケーションのこれからについて考えてみてはいかがでしょうか。

7つのB2Bマーケティングのトレンドのうち、残りの3つは次回ご紹介します。引き続きご期待ください。

参考:「Top 10 B2B Marketing Trends in 2023」(Cem Dilmegani, AIMultiple, March 4, 2023)