この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

「名は体を表す」という慣用句があります。人や商品、会社などについている名前が実態を言い表しているという意味です。名前が個人の人生に影響を与えていることを証明した研究も海外ではあるようです。

個人的な話で恐縮ですが、私の名前には「輔」という字が付いていまして、この字は補佐の「補」と同じく「たすける」という意味があるそうです。そのため、大学卒業以来ずっとコンサルタントとして仕事をしているのには、海外の研究例のように名前の影響がいくらかあるのかもしれないと思っています。

しかし、企業名や商品名、組織名など名前が実態に合っていない、「名が体を表していない」こともしばしば起こります。
今回のトライツブログでは、B2B営業における「名が体を表していない」という問題について考えてみましょう。

ようやく名に体が追いついてきたSFA

つい最近まで、B2B営業での「名が体を表していない」の代表格はSFA(Sales Force Automation)でした。以前に導入された方からは、「自動化されているのは毎月・毎週の帳票づくりだけだよ」などという愚痴をよく聞かされたものです。当時のSFAの名前を実態に合うものに変えるとすると、SRA(Sales Report Automation)のようなものになっていたことでしょう。

ところが最近ではAIなどの技術の発達により、名前通り自動化されるようになってきました。見込の高い顧客の自動抽出・自動割り当てや、カスタマイズメールの自動作成など、営業活動の一部分の自動化が進んでいます。ようやく胸を張ってSFAだと言える、名が体を表す状態になったのだと思います。

もちろん、まだ営業管理帳票集計システムとしてSFAを使っている組織もあるとは思いますが、これからSFAは営業活動の一部を自動で処理してくれたり、どういう活動をしたらよいかをナビゲートしてくれたりするシステムになっていくことでしょう。

部署名は体を表していますか?

そのように見てみると、今のB2B営業分野の中で最も「名が体を表していない」状態になっている可能性が高いのは、企業名や部署名なのかもしれません。例えば我々トライツコンサルティングも、提供している業務が本当にコンサルティングになっているのか、単なる作業をしてしまっていなかったかということを反省することがあります。同じように、営業企画部や営業推進部などの営業を支援する部署の方には、名が体を表しているかどうか、企画なら「企てて画いているか」、推進なら「推し進めているか」を一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

支援部署の仕事は実に多岐にわたるもので、その中には管理資料や幹部向け説明資料の作成などのように、「企画」や「推進」とは毛色の違うものが含まれています。もちろん、そのような仕事も事業運営上必要なものです。しかし、そのような仕事に忙殺されてしまっていると「名が体を表していない」という状態になってしまわないとも限りません。

そうなると、「部署名は営業企画部なのに主にやっていることは数字集計部」「部署名は営業推進部なのに主にやっていることは経営幹部の秘書室」のようになってしまい、現場から「うちの○○部は名ばかりで…」などと言われてしまいかねません。そのようなイメージを持たれてしまうのは、当の支援部署はもちろんですがその部署と連携して仕事をする現場にとっても、残念でもったいないことです。

名が体を表していないときに有効なロードマップ

とはいえ、常に必ずしも名が体を表していなければならないか、というとそれは違います。企業名や部署名でも、子供の名前ではありませんが、「将来こんなことができる企業/部署になってほしい」という思いをもって名付けることがあります。「顧客の課題解決ができる営業を目指して、ソリューション営業部を立ち上げる」「今までバラバラだった営業を1つにまとめられるよう、営業統括本部を設ける」というのが、それにあたるでしょう。

このように将来目指したい姿を部署名に付ける場合は、名付けっぱなしにするのではなく、まずは何ができるようになっていなければならないのか、その次には…、というように自分たちがどうなっていくか、そしてそのためにどのような手を打つのかというロードマップが必要です。

このロードマップ作りは特別に珍しいものではありません。例えば人事部では、あるべき人材像を明確にし、5年10年とかけてそのように伸びるためのキャリア開発計画を作り、それに合わせて研修体系を設計していきます。ここでのキャリア開発計画や研修体系がロードマップにあたります。これ以外にも、商品開発や基礎研究などロードマップをベースに業務をしている部署は多くあります。ただ、部署づくりの際にロードマップも一緒に作る、という発想があまりされていないだけなのです。

このように名前が実態に先行して付けられている場合でも、実態を名前に合わせるすべがあります。大事なのは、部署の名前を意識して仕事をしているかどうかということではないでしょうか。

名が体を表しているか改めて振り返ってみよう

今回のトライツブログでは、部署名の「名が体を表していない」という問題についてコンサルタントとしての自戒も込めて書いてみました。

「自分たちの仕事が部署名のとおりになっているかどうか」
「ちゃんと営業企画部/営業推進部としての仕事をしているか」
を改めて振り返ってみてください。そして、自分たちだけで振り返るのではなく、営業現場や本社の関連部署などにインタビューをしてみてもよいでしょう。きっと、自分たちだけでは気付かなかったフィードバックを得られると思います。

トライツコンサルティングでは今回のブログでご紹介した「ロードマップ作り」をサポートしています。自分たちの組織がどうなっていたいのか、どのような価値を誰に提供したいのかを考え、それをもとに「名が体を表す」組織にしようというものです。「これからに向けて組織体制を見直したい」という方は、お気軽に下記よりご相談ください。