この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。

このトライツブログでは、トライツの日々のコンサルティング経験から学んだことの発信以外に、海外のB2B営業・マーケティング分野の最新のデータ、トピックス、ビジネスコンセプトなどを積極的にご紹介しています。ブログを定期的に読んでいただいている方からは、特に後者の海外情報について「どうやって調べているんですか?」とよく聞かれます。「自分たちでも海外の最新情報を収集・活用できるようになりたいけれど、どこのWebサイト見たらよいのか、数多くある海外のコンテンツをどうやってふるいにかけたらよいのかが分からない」ということのようなのです。

現在、Web上には文字通り数えきれないほどのB2B営業・マーケティングについての情報があり、多くの企業がコンテンツマーケティングを取り入れていることからその数は日々急速に増えています。そのような情報の大海の中から、役に立つコンテンツをどうやって見つけたらよいのでしょうか。

今回のトライツブログではこれまでの経験をもとに、役に立つ海外のB2B営業・マーケティング関連コンテンツ、特にその中でも動画やホワイトペーパーより圧倒的に量が多く、玉石混淆となっているブログ記事の調べ方をご紹介します。また、それを基にして、読み手にとって価値の高いブログ記事がどういうものなのかについても考えを巡らせてみたいと思います。海外情報の収集・活用に興味のある方だけでなく、自社のコンテンツマーケティングについてお考えの方にも役立つ内容ですので、ぜひお読みください。

役立つ海外コンテンツを調べるための3つのポイント

「海外のコンテンツの調べ方」と一口に言っても、そこには3つのポイントがあります。

1つ目のポイントは「情報ソースの見つけ方」。B2B営業・マーケティングに関するブログ記事を発信している企業・団体は数多くありますので、その中からどの情報ソースを使うのが良いかを知っている必要があります。

2つ目のポイントは「情報ソースの更新の仕方」です。現在、2008年のリーマンショック以降最大の起業ブームが米国やインドなどで起きており、B2B営業・マーケティングに関する情報を発信する企業が日々増えています。そのため、年に一度程度のペースで情報ソースを更新していく必要があります

そして3つ目のポイントは「良いコンテンツの見つけ方」です。読んでいる間は面白くて気分が良いのに、読み終わったら何も残らないという、清涼飲料水のようなブログ記事がいくつもあります。そのような記事に時間を取られずに、読む価値のあるものを見極める方法を知っていることも必要なのです。

ポイント1「情報ソースの見つけ方」

それでは、早速1つ目のポイント「情報ソースの見つけ方」からご紹介していきます。B2B営業・マーケティングの情報を発信している企業・団体は以下のグループに分けられます。

メディア/雑誌系
ForbesHarvard Business Reviewなどの総合誌、Inc.Sales & Marketing ManagementSelling PowerSales Hackerなどの専門誌がこのグループに含まれます。専門誌の方が最新かつ専門的なトピックスをカバーしている一方で、総合誌は専門的な知識がない読者を意識した丁寧かつ網羅的なまとめ方をしているのが特徴です。セールスイネーブルメントなどの新しい用語が市場に浸透しているかを知るバロメーターとしても、総合誌は参考になります。

調査会社/コンサル系
GartnerForrester Researchなどの調査会社はB2B営業・マーケティングの記事が充実しており、独自調査も頻繁に実施していますので、トライツブログでも頻繁に参照しています。また、コンサル系ではトマトケチャップで有名なハインツの子会社Heinz MarketingがB2Bマーケティングの優れたコンテンツを作成しています。一方、このコロナ禍で素晴らしい記事を出し続けてきたのがMcKinseyのPulse B2Bです。コロナの今後の動向を占ってB2B営業にどのような影響を及ぼすかを考察し、実際に起きた変化をレポートとしてまとめています。

プラットフォーマー/ソリューションプロバイダー系
このグループの中には、GoogleFacebookLinkedInなどのいわゆるメガプラットフォーマー。SalesforceHubSpotなどの、B2B営業・マーケティング専門のプラットフォーマー。そして、言語・音声AIソリューションのGongや、営業チャネルの統合管理システムのOutreachなどのソリューションプロバイダーが含まれます。このグループの最大の特徴は、自社のユーザーデータをもとにした、他社では真似できない統計データを用いていること。特にLinkedInGongの記事は読みごたえがありますので、迷ったらこの2社のWebサイトを覗くことをお勧めします。

これら以外にも、「著名人/専門家ブロガー系」とでもいうべき、B2B営業・マーケティングの著名人や専門家がオリジナルのサイトを開設して積極的に情報発信しているものがあります。The Make It HappenCelebral Sellingなどが有名ですが、読んでいる間は面白いのに読み終わったら何も残らないタイプの記事が多い傾向があるので、積極的におススメはしません。まずは、上でご紹介したWebサイトの中からご自身に合うものを見つけてみてはいかがでしょうか。

ポイント2「情報ソースの更新の仕方」

上でご紹介したような情報ソースが、ずっと有効だというわけではありません。人の出入りや企業の陳腐化などによって徐々に記事のクオリティが下がってしまうこともありますし、逆に新規参入のベンチャー企業が面白い情報を発信し始めることもあります。特に、新規の情報ソースを発掘するのに効果的な手段を以下にご紹介します。

大規模展示会等の主催企業
海外のB2B営業・マーケティングでは、3日間ほどかけて数百の展示やプレゼンテーションを発表する大規模な展示会がいくつも開催されています。SalesforceやHubSpotなどの専門プラットフォーマーや、Sales Hackerなどのメディア企業によるイベントが特に有名です。このようなイベントを主催できる企業は、多くの顧客を集められるだけの情報発信力を持っているという証でもあります。Pam DidnerというB2B営業の専門家のサイトで、毎年の代表的なイベントを網羅的に紹介していますので、ここに新たに追加されたイベントの主催会社のWebサイトを見るのが、新規の情報ソースを調べるのに効果的です。

G2/SalesTech Landscape
G2とはB2B向けソリューションやサービスの代表的なクチコミ・比較サイト。そして、SalesTech LandscapeはNancy Nardin氏が毎年作成している、B2B営業関連テクノロジーの早見表(カオスマップ)のことです。特に最近は専門プラットフォーマーやソリューションプロバイダーが良質なコンテンツを発信することが増えていますので、この2つをチェックすることで新進気鋭のシステム会社が出てきているかチェックすることができます。

これらの新規の情報ソースの更新は頻繁にする必要はなく、年に一度程度あれば十分です。ただ、上で紹介したようなサイトを見ることで、海外のB2B営業・マーケティングの勢力図の変化が体感で分かってくるようになりますので、頻度は少なくてよいものの重要度は非常に高い情報収集活動だと言えるでしょう。

ポイント3「良いコンテンツの見つけ方」

残念ながら、情報ソースを厳選していても実際に読み始めると中身が薄く、時間の無駄でしかないような記事に出会ってしまうことがあります。そのような記事に時間を取られないために、私は3つの基準でチェックしながらななめ読みし、良さそうだと思ったら時間をかけてじっくり読むようにしています。

基準①:オリジナルの調査データが含まれているか
統計データが含まれており、それが他社の引用ではなくオリジナルのものであれば、相当な手間をかけて作成した記事だということが分かります。もちろん、手間をかければ必ず良いものになるというわけではないのですが、確率的に確からしい基準だと思って使っています。

基準②:引用/参照の数が多いか
学術論文の重要度や影響度を表す指標として「被引用数」(他の論文で引用された数)というものがあり、それと相関が高いと言われているのが、その論文における参考文献の数とその中で直近5年間に発表されたものの割合(プライス指数)です。これと同様のことがブログ記事でも言えると考えています。つまり、記事の中で他社の調査レポートなどへのリンクがしっかり貼られているかということ。リンクがない記事は客観的な根拠に基づかずに独りよがりな内容になっていることが多く、逆にリンクが適切に貼られているものは先行研究がしっかりできているように感じます。

基準③:見出しの構造が論文としてしっかりしているか
見出しが構造的に整理されているか、散文調でまとまりのないものか、というのも中身があってわかりやすく整理されている記事かどうかを測る指標です。

以上、トライツで海外のWebサイトの情報収集をする際の3つのポイント「情報ソースの見つけ方」「情報ソースの更新の仕方」「良いコンテンツの見つけ方」をご紹介しました。皆さんが海外のB2B営業・マーケティング情報を調べる際に、参考にしていただければと思います。

海外の優れた記事を参考にして自社のコンテンツを見直そう

最後に、日本のB2B営業・マーケティングについての記事と、海外のものとを読み比べてみて感じていることを、お伝えしたいと思います。

日本のB2B企業でも最近はコンテンツマーケティングに取り組んでいるところが増えてきています。ただ、全体的な傾向として、読み物としては気軽に読めるものの、その企業としての専門性のPRにつながっていないタイプの記事が依然として多いようです。その一方で、これまでご紹介してきたような海外の記事は、情報量が多く、数字やグラフを含んでいて読みにくさはあるものの、それぞれの企業としての考え方や専門知識がしっかりと伝わってくるものが多いように感じます。

このように差が生じている理由として、特に米国では「ソートリーダーシップ」(専門家としての情報提供力)が現在の営業において重要なスキルだと広く認識されていること。そして、そのソートリーダーシップをコンテンツによって宣伝しようと、その企業の社員が署名記事として自ら制作しているのに対し、日本の企業では制作を外部に委託している無署名の記事が多い、ということがあると思います。外部のライターさんを使うと、読みやすくこなれた文章にはなりますが、どうしても表面的な内容にとどまってしまいます。一部の日本企業でも専門性の高い記事の発信が増えてきていますが、まだ大勢は「気軽な読み物」が多いようです。

もちろん、何でもかんでも海外式にするのが良いというわけではありません。ただ、自分たちのコンテンツが目指すのは、既存の取引先のリマインドのための気軽な読み物なのか、それとも悩んでいる新規顧客から相談されるように専門性をPRするものなのか、を改めて考える必要があると思います。そして、自社の専門性をPRするためのコンテンツ作りを目指すのでしたら、今回ご紹介した情報収集のポイントを活用して、海外の優れたコンテンツに数多く触れてみてはいかがでしょうか。
とはいえ、「忙しくて海外のブログ記事を読み比べる時間が取れない!」という方も多いでしょう。そんな方は、このトライツブログだけは継続してお読みになることを強くおすすめします(笑)