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大成建設、日清食品、家庭教師のトライ。TVをよく見る方はお分かりだと思いますが、この3社の共通点はアニメーションでTVCMを作成していること。「今、シンガポールにいます」「アオハルかよ」というインパクトのあるセリフを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

TVCMに限らず、様々なメディアでアニメーションが活用されています。サントリーやロート製薬では企業公式のオリジナルキャラクターをバーチャルYoutuber(VTuber)として使っており、子どもだけでなく大人に対してアピールする方法としても、アニメーションが当たり前のものになってきているように思います。

今回のトライツブログでは、ビジネスで広がっているアニメーション活用の流れと、そこから新しいテクノロジーを自分達の仕事に取り入れていくDX人材になるために大事なことについて考えてみたいと思います。ぜひお読みください。

トライツも取り入れています!動画研修へのアニメーション活用

新型コロナの影響を受けたこの1年間で、特に多くご相談いただいたのがオンラインでの研修や勉強会です。多くのビジネスパーソンが自宅で高速通信できる環境を持つようになったので、リアルタイム/録画形式での動画研修が当たり前のものとなっています。

そんな中、トライツでも研修にアニメーションを取り入れています。研修内容をただ紹介するタイプの動画であれば、普通に講師が顔を出して説明すればよいのですが、営業担当者の客先での商談や社内打合せなど、特定の「シーン」を再現して事例を紹介するとなると、講師が演じるのにも限界があります。そのような場合は、手軽に様々なキャラクターに動きや表情を表現させることができ、短時間かつ低コストで制作できるアニメーションがうってつけなのです。

アニメーション制作ツールにも色々な種類がありますが、トライツはVYOND(ビヨンド)を使っています。これはPowerPointのような感覚で操作できるビジネスアニメーション制作ツールで、テンプレートとして用意されている数多くのキャラクターやオブジェクト、背景を使えるので、短時間で一定以上のクオリティのアニメーションを作成することができるというもの。VYONDはビジネス向け用途に特化していてできることがかなり限られていますが、機能がシンプルで、すぐに使いこなせるようになるというメリットがあります。こちらに公式の紹介動画がありますのでご覧ください。

このVYONDは年間の利用料が16万5千円と他のソフト(Adobe Animate、VideoScribeなど)と比べると割高ではあります。しかし、VYONDでの動画制作を専門家にお願いすると1分で約10万円、VYONDではない従来型のアニメーションであればさらにその10倍くらいかかることを考えると、研修や商品紹介など時間が長めの動画を作る場合は、自分で操作方法を覚えて年間利用料を払う方がかなりお得になると思います。

2週間無料で試用できるトライアルもありますので、実際に自分の手でキャラクターを動かしてみてください。

デジタルテクノロジーがもたらす「○○の民主化」

「従来の専門知識や経験がなくても、安く、手軽に自作できる」という変化が私たちの周りでいくつも起こっています。統計学や機械学習の知識を持っていなくても、データを読み込ませたら自動的に最適なモデルを作成し、利用状況に合わせてチューニングしてくれるAIツール。プログラミング不要で、コンポーネントをドラッグ&ドロップするだけで業務用のアプリを作成できるツール。今までは、専門家に高いお金を払って作ってもらっていた、統計モデルや業務アプリなどを自分たちで手軽かつ安価に自作できるようになりました。そしてついに、これまで制作に多くの手間と費用が必要だったアニメーションも、今回ご紹介したVYONDのようなツールを使うことで気軽に活用できる手段になったのです。

この「従来の専門知識や経験がなくても、安く、手軽に自作できる」ようになる変化のことを、「○○の民主化」と呼ぶことがあります。道具を揃えるのにも高額で手間がかかって、専門知識や経験がないと手を出せない専門家だけのものから、広く私たちのような一般的な大衆でも使えるようになる。「AIの民主化」「アプリ開発の民主化」「アニメーション制作の民主化」のような、「○○の民主化」はデジタルテクノロジーが我々にもたらす大きな変化と言えます。

この「○○の民主化」というトレンドに気づいて、自分たちの仕事に活かすということが、デジタル時代で働く私たち、特にDXに取り組む人材に求められているのだと思います。

「○○の民主化」を享受し、仕事に取り入れるために

先日、弊社の角川がある会社でVYONDについてお話をしている際、「このような新しいツールの情報はどこから入手するのですか?」と聞かれ、「簡単にできるものがないかと思って探したんです」と答えたそうです。インターネットで検索すればいくらでも情報は入手できるのですが、それよりも日常的にこのような疑問を持ち、自分で調べ、時には自分で試してみるという好奇心、探求心が「○○の民主化」の恩恵を得るスタートラインに立てるかどうかの大きなポイントだと考えているようです。

また、角川はユーザー体験を増やすことの重要性もあると考えています。彼は自転車が好きで、国内では販売されていないパーツを海外通販したり、海外のサイトで情報収集することを日常的に行っているのですが、そこで得るユーザー体験が「あの仕掛けはどうなっているんだろう?」「同じようなことが簡単にできる仕組みがあるはずだ」という疑問につながり、そこから新しいテクノロジーに出会うことが少なくないと言います。時々痛い目を見ることもあるそうなのですが、それもまたユーザー体験として役立ちます。

前述のVYONDの紹介動画をご覧になられた方で、「Youtubeでこの絵を見たことある!」と思われた方はかなりいらっしゃるのではないでしょうか。そこから一歩踏み込んで「この絵をよく見るんだけど、みんなどうやって作っているのかな?」と疑問を持つこと、そして自らそれを調べてみること。この2つが大事なポイントなのです。

これに対し、「知り合い以外から送られてくるのは迷惑メールばかりで見ない」「オンラインで買い物するのは何かあったら怖いので好きじゃない」「営業は直接顔を合わせてナンボだ」「知らないサービスを使って何かセキュリティの問題があったら怖い」「ウチの会社はIT部門がキビシイから新しいことやらせてもらえないからやってみるだけムダ」など考え、自らユーザー体験すること自体を封印してしまっている人は少なくありません。これでは自分から「○○の民主化」のドアを閉じてしまっていることになってしまいます。

このような固定観念を捨て、ユーザー体験を増やし、どうすればそれを自分でできるか、そして自分ならどう活用するかを考える癖をつけ、必要あればまわりを説得していく。この一連のプロセスを意識して情報収集を続けるのが、DXに取り組む上での心構えとして大事なのだと思います。

わかりやすいところからとにかくやってみよう

私たちが子どもの頃に比べて、科学技術は大きく進歩しています。AIや自動運転、オンライン決済など、当時の自分が未来の技術だと思っていたものが、実際に今の生活で一般的に使われています。そして、この科学技術の発展、特にデジタルツールの高度化と普及により、アニメーションや業務用ソフトウェア、AIを使ったシステムなどを専門知識や経験がなくても安く手軽に自作できる、「○○の民主化」が色々な分野で起きています。

そんな中で、アニメというのは誰にでもわかりやすく、強力な営業ツールになる可能性があります。まずは「アニメの民主化」から取り入れてみて、御社の営業DXを加速させるというのはいかがでしょうか。