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今日で6月も最後。新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2020年前半でしたが、徐々に経済活動が再開しています。6月上旬には、トライツのオフィスの近くに日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」がオープンし、駅に直結している新しいビルの中のショップも開業するなど、トライツが事務所を構える虎ノ門の街にも賑わいが戻りつつあります。

経済活動が再開しつつある中で、新しい生活様式に合わせたビジネスへと進化させるために、デジタルツールを使ったマーケティング活動を強化しようという話を今まで以上によく見聞きするようになりました。しかし、デジタルマーケティングの世界で使われている手法・ツールは多様で日々進化しているため、「どんなものがあるのか分からない」「どこから手を付けたらよいか分からない」という方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、海外のレポートをもとに「効果のあるデジタルマーケティングの手法・ツールとその選び方・進め方」をご紹介します。デジタルマーケティングを新しく始める方だけでなく、さらに強化しようという方にも参考にしていただける内容ですので、ぜひお読みください。

海外の注目記事「B2Bで見込客を発掘する21の手法・ツール」

自社のWebサイトやSNSの閲覧状況から自動で見込客リストを生成する、「リードジェネレーション」というサービス分野のトップ企業であるLeadfeeder社が最近、「21 (Evergreen) Ways To Generate More B2B Sales Leads」という記事を発表しました。当然自社サービスの宣伝も入ってはいるのですが、新しいテクノロジーに偏りすぎず、定番・定石の手法・ツールもカバーしており、デジタルマーケティングについて考える際のアイデアリストとして使える内容になっています。早速、21の手法・ツールをまとめて見ることにしましょう。

1. 見込客の発掘度合に応じてコンテンツに優先順位を付ける
2. 自社の競争優位を強調する
3. (一方通行ではなく)見込客との双方向コミュニケーションの場を増やす
4. Twitterの情報を使ってパーソナライズする
5. 壮大なテーマ/キャンペーンでコンテンツを展開する
6. 高品質な見込客リストを自分で作成する
7. 無料のリードジェネレーションツールを使用する
8. Leadbot(マーケティング用チャットボット)を使用する
9. 見込客をスコアリングする
10. 事務処理や顧客情報の調査/更新などの営業業務を自動化する
11. Quora(ソーシャルQ&Aサイト)で見込客を発掘する
12. Leadfeederを使ってソーシャルセールスを強化する
13. ダイレクトメール(郵送)を組み合わせて説得力を高める
14. 多くのケーススタディを公開し宣伝する
15. 既存コンテンツを広める新しいコンテンツチャネルを見つける
16. 情報収集に積極的な見込客向けに調査レポートを公開する
17. ランディングページの焦点をもっと絞って尖らせる
18. Eメールアドレスの入力を促すコンテンツをLinkedInに投稿する
19. リードジェネレーションプロセス後半の見込客に対してこちらから連絡する
20. Eメールの署名欄を工夫して問合せを発生させる
21. 短時間(1分間程度)の動画コンテンツを定期的に投稿する

6番目と7番目、12番目にしっかりLeadfeeder社の売り込みが入っているものの、定番を押さえつつ新しい情報も入っており、デジタルマーケティングのメニューとして良いリストだと思います。

21のリストを参考にしてマーケティング・営業のデジタル化を考えよう

とはいえ、先ほどの21のリストの中には、日本のB2Bマーケティング市場ではまだ効果が見込みにくいものが一部入っています。それはSNSのビジネス活用です。

日本でもSNSの利用は普及しつつあるものの、まだ使っていないという人もいますし、使ってはいるがFacebookの1種類だけという人も中高年層には大勢います。そして何よりビジネス目的で利用している人が少ないので、「4. Twitterの情報を使ってパーソナライズする」や「12. Leadfeederを使ってソーシャルセールスを強化する」「18. Eメールアドレスの入力を促すコンテンツをLinkedInに投稿する」については、今の日本では読み飛ばして良いでしょう。

ちなみに「11. Quora(ソーシャルQ&Aサイト)で見込客を発掘する」で出てくる「Quora」は日本でも使われていますが、Q&AサイトというよりもNewsPicksと掲示板を組み合わせたような使われ方になっているように感じます。

このように一部例外はあるものの、ご紹介した21のリストの中には実際に使えそうで、かつ効果がありそうだと思えるアイデア・工夫が入っています。私が個人的に面白いと感じたのは以下の3つです。
「1. 見込客の発掘度合に応じてコンテンツに優先順位を付ける」
「3. (一方通行ではなく)見込客との双方向コミュニケーションの場を増やす」
「15. 既存コンテンツを広める新しいコンテンツチャネルを見つける」
これ以外にも興味のある項目が見つかりましたら、その部分だけでもオリジナルの記事を読んでみてください。そして、マーケティング・営業のデジタル化の施策候補に加えてみてはいかがでしょうか。

最適解に悩むのではなく、気になるものから試してみよう

ここまで読んでみて、「どんなものがあるかは分かったが、どれに手を付けたらよいか分からない」「確実に効果が出る一番おススメの方法を教えてほしい」と思っている人がいるかもしれません。そのような人に向けてこの記事の作者は、強めの口調で持論を主張しています。

「B2Bの見込客を増やすベストの方法を教えてください」
この質問に対する私の回答はいつも次の通りです。
「リードジェネレーションに関する手法は、どれも見込客の獲得に効果があります。その中でも最良の方法は、現在あなたのビジネスが見込客をどのように生み出しているのか、あなたが何を販売しているのか、だれに販売しているのかによって決まります」(中略)
B2Bの見込客を発掘するのに、即効薬も唯一の最適解もありません。(中略)
どれだけ最適解を求めて考えても、成果は生まれません。その代わりに社内の仲間と話をし、全員が合意・納得したいくつかの手法を決めてそれに実際に取り組んでみるのです。すぐに何がうまくいくか、何がそうでないのかが分かりますし、機会損失を最小限にしながら売上を伸ばすことができるでしょう。

この考えには私も賛成です。

現在、多くのB2B営業にとってデジタル化を進める絶好の機会となっています。様々なツールが揃ってきており、それらの値段は数十年前とは比べ物にならないくらい安くなっています。またそのツールを導入するために社内にサーバを新設したり、ネットワークを変更したりする必要もありません。さらにほぼすべてのツールがプログラミング不要で、専門知識のない人でも使えるようになっています。

このように手法やツールの導入コストが以前よりはるかに低くなっている現在では、大勢の管理職やメンバーの仕事を中断して会議室(もしくはZoom)に集め、「どれが最適か」「そもそも今やるべきなのか」とじっくり悩むその時間が最大のコストになっています。気になったものは明確な反論が出なければさっさと試してみて、使い心地や成果を確かめてみる。そのような柔軟かつ機敏な取り組み方が求められているのではないかと思います。

これまでの経験と目の前の機会を活かせる営業組織になる

今年の3月から5月の3か月間、自粛等により経済活動に大きなブレーキがかかりましたが、その一方でWeb会議システム等のデジタルツール活用が一気に進みました。そしてこの6月は徐々に経済活動を戻しつつあるものの、感染者の数は首都圏を中心にまた増加傾向にあり、ウィズコロナの生活様式・ビジネススタイルを模索していかなければならないことを再確認した月だったと言えるのではないでしょうか。

社会的にも営業・マーケティング活動のデジタル化の必要性は高まっていますし、それを可能にするテクノロジーやツールは、手ごろな価格でかつ使いやすいものが今回ご紹介したように市場に出てきています。この数か月の経験と目の前にある機会を活かせる会社になるか、活かせない会社になるか。それを分かつポイントの1つは、柔軟かつ機敏に色々なものを実際に試してみる、そんな姿勢にあるのだと思うのです。

トライツコンサルティングは、B2B営業・マーケティングのデジタル改革を支援しています。「自社に適した手法・ツールを知りたい」「試行錯誤を手伝ってほしい」とお考えの方はご相談ください。

参考:「21 (Evergreen) Ways To Generate More B2B Sales Leads」(Leadfeeder, 2020)