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B2B市場に迫るオンラインマーケットプレイスという潮流

B2B市場に迫るオンラインマーケットプレイスという潮流

世界的なオンラインマーケットプレイス市場の隆盛は目覚ましいものがあります。GAFAと呼ばれる新興プラットフォーム企業の一角はAmazonが占めていますし、近年は日本の新聞でも中国企業のアリババが取り扱われることが増えています。日本でも今年の6月に、C2C(個人間取引)のマーケットプレイス事業を営むメルカリがマザーズに新規上場したときには、珍しい国産ユニコーン企業として注目を集めました。

そのようにマーケットプレイス市場の主流はこれまでC2Cでしたが、どうやらこのEC化の波はB2B市場にも押し寄せてこようとしているようです。昨年からAmazonが日本でもB2B向けマーケットプレイス事業(Amazon Business)をスタートしていますし、楽天やDeNAのB2Bマーケットプレイス事業が再編されるなど、日本の市場も急激に動き始めているのです。

そこで、今回のトライツニュースは海外の調査記事をもとに「B2B市場に迫るオンラインマーケットプレイスという潮流」について考えてみたいと思います。

調査記事:B2Bオンラインマーケットプレイスの可能性と選び方

今回ご紹介する記事は、インドの営業・マーケティング調査会社のThe Smarketers社の「How Manufacturers Can Optimize Their B2B Sales Through Online Marketplaces?」というもの。B2Bオンラインマーケットプレイスの可能性と最適なサービスの選び方を紹介しています。

まずは、オンラインマーケットプレイスの可能性について、一緒に見ていきましょう。

メーカーにとってオンラインマーケットプレイスは、簡単に売上を稼ぐことができる手法です。B2Bの購買担当者の81%が高額商品を購入するときはオンライン調査を行うと答えていることからも、オンラインマーケットプレイスに出店することはメーカーにとって最優先のオンラインマーケティング施策の1つとなるのです。
(中略)
Forrester Research社の調査によると、B2Bオンラインマーケットプレイスの市場規模は米国だけで2020年までに1兆ドルを上回るとのことです。これはまた、B2Bの購買活動が今以上にオンライン化していくことを表します。より多くの購買担当者がオンラインで商品を比較して購買するようになるのです。

記事は続けて、あまたあるB2Bオンラインマーケットプレイス・サービスの中からどのようにサービスを選べばよいかについての観点を7つ述べています。目新しいものではありませんがとてもバランスの良いチェックポイントになっていますので、ここでは簡潔に抜粋してご紹介します。

1.トラフィックとドメインオーソリティ
サイトに訪れるトラフィック量は多ければ多いほど良いものです。また、ドメインオーソリティはSEOの専門家によって提唱されている指標で、リンクされているウエブサイトの数とGoogleの検索エンジンでのランキング結果によって表されます。

2.利用者(売り手)と顧客(買い手)の人数
AmazonやAlibabaのような超大型マーケットプレイスには大量の訪問客数がいます。その一方で、数は少ないものの売り手企業との関連性の高い顧客を抱えている、ニッチなオンラインマーケットプレイスもいくつか存在しています。

3.商品のバンドル
特定の顧客向けに複数の商品を1つのパッケージにバンドルする機能を持っているサービスがあります。また、いくつかのマーケットプレイス・サービスでは関連するおススメ商品を自動で表示するためのアルゴリズムを使用しています。

4.物流機能
物流インフラへの投資を行っているマーケットプレイス・サービス会社は、小規模なB2B企業が直面する物流関連の面倒ごとを担ってくれます。

5.カスタマー・エクスペリエンス
商品の検索や購買、配送までが簡単にできるマーケットプレイス・サービスは、素晴らしいカスタマー・エクスペリエンスを提供していると言えます。そしてこのカスタマー・エクスペリエンスは顧客の声から積み上げて作られるものですので、顧客の声そのものがマーケットプレイス・サービスを選ぶ上での大事な評価基準となります。

6.支払方法
サービス会社のコミッションがそれぞれのトランザクションに対してどのように計算されるのか、また取引の頻度と規模に応じてどのようにサービス会社からお金を受け取るのかを理解する必要があります。

7.専門性
オンラインマーケットプレイス・サービスが増殖している中、業界に特化したサービスも増えてきています。業界に特化することで見込の高い顧客を集めやすくなり、販売までの期間を短縮することができるようになります。

日本のB2B市場にも広まる?オンラインマーケットプレイス活用

このように海外では注目を集めているB2Bオンラインマーケットプレイスですが、本当に日本でも広まるのでしょうか。

日本のB2B企業でも購買活動のオンライン化が進んでいます。何か調べ物をするときはウェブを検索し、気になる商品が見つかったらその商品や企業のホームページを見て、クチコミ情報がないかを探す、ということが当たり前になりつつあります。これはB2B購買活動のB2C化と呼んでも良いかもしれません。C2CやB2Cでは当たり前になってきているAmazonやメルカリなどのマーケットプレイス活用がB2Bの購買活動にも波及してくる、ということは大いにありうることです。

その意味では、知りたい商品がすぐに見つけられて関連するダウンロード資料や動画も見つけやすいオンラインマーケットプレイスは、買い手にとって非常に役立つサービスなので売り手企業や商品の検索サイトとして定着する可能性が十分にあると思います。

それでは、皆がこのオンラインマーケットプレイスでものを買うようになるのか、というとそこは大いに疑問です。日本のB2B市場には卸や商社と呼ばれる企業があります。これらの企業は、さまざまなメーカーの商品を取り揃えて顧客が欲しいものを何でも手に入れられるようにしたり、顧客が商品を選ぶ際に専門的な助言を提供したり、担当営業マンが顧客1社1社の中に入り込んで痒い所に手が届くサービスを提供したりと、顧客に価値を提供し続けながら生き残ってきています。これらの価値は「オンラインで購買活動が完結する」という利便性だけでは、置き換えられないものです。

そのため日本のB2B市場においては、顧客はオンラインマーケットプレイスを含むオンラインで情報収集を行い、マーケットプレイスをきっかけとして企業にコンタクトをとるという場合も増えては来るものの、それ以降の購買活動はまだ当分の間は対面で行われ、そこには卸や商社といった企業が独自の価値をもって介在する、というのが現実的なところだと思います。

オンラインマーケットプレイスの醍醐味はグローバル展開にあり

では、日本のB2B企業にとってオンラインマーケットプレイスは、ただの販促・広報チャネルの1つにしか過ぎないのではないか。もしそのようにお考えなのでしたら、オンラインマーケットプレイスの本質を見誤っています。

オンラインマーケットプレイスは手数料を支払うことで、マーケティングや流通・決済といった手間を省いて効率的に新市場に参入するためのツールです。そのため、片田舎にある無名の会社が話題になる商品を投入したことで一気に世界中で売上が拡大する、といったサクセスストーリーが起きているのです。

そのように考えるならば、オンラインマーケットプレイスの活路は既存の国内B2B市場ではなく、広く海外へと求めるべきだと私は考えます。上で紹介した7つのチェックポイントにはないのですが、マーケットプレイス・サービスの重要な機能として多言語対応と言うものがあります。日本語で掲載したものが、精度はやや見劣りはしますが自動的に英語や中国語などに翻訳されるため、上手く活用すればグローバルにビジネスを展開するための手軽な第一歩とすることができます。

そのようなことをしようとすると、以前なら商社にお願いしてレポートを書いてもらったり、駐在拠点を新設したりと時間もお金もかかる手法しかありませんでした。しかし、オンラインマーケットプレイスを使えば、短期間で顧客の反応や競合となる企業がどのように活用しているかについて詳しく知ることができるようになります。

最後に、B2B対応している著名なオンラインマーケットプレイスを列挙しますので、いくつかご覧になっていただき、競合企業や類似商品を扱う企業がどのような取り組みをしているかを確認してみてはいかがでしょうか。マーケティングのトレンドすべてについて言えることですが「百聞は一見に如かず」、自ら体験してみることが一番の勉強になるのです。

参考:「How Manufacturers Can Optimize Their B2B Sales Through Online Marketplaces?」(The Smarketers, Jun 21, 2018)

投稿者プロフィール

門田 尚之
顧客とB2B営業のコミュニケーションデザインや販売促進、商品・サービス企画・開発における課題解決が得意領域。「現場感覚を大切に」がモットーです。
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