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日本のソーシャルセリング活用のヒントは「お見合い文化」にあり?

日本のソーシャルセリング活用のヒントは「お見合い文化」にあり?

先日、ある外資系の企業から依頼されて「日本のソーシャルセリング事情」についてお話する機会がありました。この企業では海外で普及しているソーシャルセリングがなぜ日本では普及しないのかを外部の有識者?の声も聞きながら考えたいということで、私にお声がけをいただいた次第です。

ちょっと古い調査になりますが、2014年11月にLife for SalesのJamie Shanks氏が45,000人以上のセールス担当者と200社にソーシャルセリングの調査を行ったところ、ソーシャルセリングに1ドル投資するたびにその投資対効果は5ドルだという結果が出たそうです。

しかし、その調査から3年近く経過していますが、日本ではそのような話は全く聞きません。なぜそのように効果の高い投資を日本ではほとんどの企業がやらないのでしょうか?

今週のトライツニュースでは、日本でのソーシャルセリング活用について改めて考えてみましょう。

日本は圧倒的なソーシャルセリング後進国

そもそもソーシャルセリングとは何でしょうか?

シンプルに定義すると、「個人がウェブを使ってブランドイメージを構築し、エンドユーザーに直接働きける営業方法」となるかと思います。

Social Selling: 8 Ways to Sell More on Social Mediaという記事の中で、アメリカの大手調査会社であるInternational Data Corporation社による以下のような調査結果を紹介しています。

「B2B購買担当者の91%がソーシャルメディアに関わっている」

「幹部の84%が購買の意思決定のためにソーシャルメディアを活用している」

「B2B購買担当者の75%はソーシャルメディアの影響を大きく受けている」

この調査結果を見る限り、購買にあたってかなりの人がソーシャルメディアを活用していることがわかります。これは逆に考えると、それだけ多くの人がソーシャルメディアに自分の仕事に関する情報発信をしていることになります。

ちなみに、例えばFacebookでの趣味のつながりがあった人に、何かのきっかけで新しい仕事を紹介してもらうというのは、ソーシャルメディアを使った営業の一つにはなりますが、そこで個人が何らかの仕事のプロとして認知されるように意図的に情報発信をしていない限り、ソーシャルセリングではありません。そもそも日本ではFacebookの個人情報欄に自分の働いている会社名すら記入していない人が少なくないのが実態です。

また、LinkedInという米国でビジネス向けに最も使われているソーシャルメディアがありますが、日本では一部の外資系企業や個人事業主を除き、あまり使われていませんし、現段階の日本は完全にソーシャルセリング後進国になっていると言えます。

ソーシャルセリングはソーシャルメディアを使った「人探し」

例えば、あなたがB2Bの購買担当者だとして、多くの企業から売り込みを掛けられていたとしましょう。どの企業も同じような商品を同じように提案してくるとしたら・・・きっと最終的には価格で判断するということになってしまうと思います。

そこで、「もっと面白い提案をしてきそうな営業担当者はいないものか?」「最初から自社に合わせて相談に応じてくれる人はいないだろうか?」などとソーシャルメディアを検索し、そこで出てきた「この人の話を聞いてみたい」と思える人に直接コンタクトし、提案をしてもらうのです。

米国流のソーシャルセリングが普及するということは、こういうソーシャルメディアを使った「人探し」が日常的に行われるようになるということを意味します。購買する側が、誰が対応してくれるかわからない企業の「お問い合わせ窓口」にコンタクトをするのでなく、「この人から買いたい」と思える人を探し、直接接点を持つように働きかけるのです。

誰かが間に入ると安心する日本人の気質

ビジネスというものは所詮人対人のつながりで成り立っているものであると考えると、このようにダイレクトに人と人をつなぐソーシャルセリングはとても効率的なやり方だと思います。しかし、日本ではそれが普及していません。きっとまだまだこの先もこの状況は変わらないでしょう。

ではどうすれば良いのでしょうか。それについて私は日本の「お見合い文化」にヒントがあると考えています。

日本は江戸時代から庶民の間でもお見合いが一般化していたそうです。世話人と呼ばれる人が適齢期の男女をつなぐ役割を果たしていました。今は「結婚相談所」などの業者がその役を担っています。そこでは1対1のお見合いというスタイルではなく、お見合いパーティのような複数の男女を集めたイベント形式のものに人気があるとも聞きます。

いきなり不特定多数の中から自分の好みの人を探し出し、ダイレクトにアタックするのでなく、お互いの事情をわかった人が間に入ってつないでくれたり、何かイベントなどを通じた出会いを好む。これは「日本人の気質」ではないかと思います。

ソーシャルメディアをあなたを後押ししてくれる「世話人」にする

ただ、以前と明らかに違うことがあります。それは新しい出会いがあった相手について、ウェブからも情報収集ができるということです。パーティで知り合った人とFacebookでも友人登録し、その人のFacebookページを見ることで、どんな友人関係がある人だとか、日頃からどんなことに興味を持ってどんなことをしている人なのかなど、面と向かって話していたのと違う視点で知ることができます。

逆に、ソーシャルメディアを上手くすれば、お見合いの世話人のように「こんなにいい人ですよ!」とあなたを「後押し」をしてくれるようになるのです。

あなたの実績をさり気なくPR。日本流ソーシャルメディア活用法

そのように考えると、日本のソーシャルセリングも一つのあるべき姿が見えてくるのではないかと思います。

これからも日本のビジネスにおける「出会い」は、何らかのリアルなイベントや、直接的な紹介が中心になるというのは変わらないでしょう。しかし、その人に出会った後により深く「知る」ためにウェブでの「検索」を行うことは当たり前のこととして習慣化すると考えます。

その際に、ソーシャルメディア上に過去の実績などについて整理して発信するなどしてあれば、思わぬところでつながりがあることがわかったり、それらについてもっと話を聞きたいと言われたりと、短時間の面談だけではなかなか作れない関係構築につながる可能性が高くなるでしょう。

従って、私は米国流の「出会いを探す」というソーシャルセリングは日本には馴染まないでしょうが、出会った相手に自分の良さを伝えるツールとしてソーシャルメディアを上手く活用する営業担当者は確実に増えると思います。

まずは客先で自分を「興味づけ」してみよう

これは特に新規顧客開拓など、新しい顧客に頻繁に会う営業においては有効になってくるでしょう。

ただ、だからと言っていきなりソーシャルメディアの活用に取り組むよりも、まずは目の前の顧客に対して自分のこれまでの実績や、現在取り組んでいるテーマ、これからやりたいと思っていることなどを興味持たれるように伝えるということから初めてみてはいかがでしょうか。

そこでいろいろ試行錯誤をする中で、どんな情報発信をすべきかがわかってくるはずです。

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
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