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2025年、と聞くと何をイメージされるでしょうか。新聞や雑誌では、「2025年問題」が頻繁に取り上げられています。団塊世代が後期高齢者となり、国民の4人に1人が後期高齢者となるため、社会保障費のさらなる増加や医療・介護業界の逼迫などが予想されています。

その一方で、2025年は大阪・関西万博の年でもあります。8月下旬にはロゴマーク決定のニュースもありましたので、注目・期待されている方も多いでしょう。また、現在世界最高層のビルであるブルジュ・ハリファの約3倍の高さの、ドバイ・シティ・タワー(2400m)が完成予定とのこと。2027年開業予定のリニア中央新幹線と同じくらい、私は楽しみにしています。

さて、そのように色々なことが予想・計画されている2025年ですが、海外の調査会社が「未来の営業」と題して、2025年のB2B営業の姿を描いたレポートを最近発表しました。そこで、今回のトライツブログでは、そのレポートの内容をご紹介しつつ、その予想された状況に適応するために何が必要なのかを考えたいと思います。

海外調査レポート①:購買はデジタル化・セルフサービス化/営業はデータ駆動型へ

今回ご紹介するのは、世界有数の調査会社であるGartner社が10月6日に発表した「The Future of Sales」。このレポートの中で、2025年のB2B営業がどのようになっているかを予測し、その環境で適応するためのポイントを挙げています。早速かいつまんで見ていきましょう。まずはB2B営業・購買のデジタル化からです。

B2Bの購買担当者は、デジタルかつセルフサービス型のチャネルを通じての関わりをますます望んでいます。(中略)
私たちの調査によると、戦略や業務プロセス、リソース配分において恒久的な変化が、未来の営業で起こります。売り手中心の営業組織から、買い手中心の営業組織への変化。顧客との関わりも、アナログから、ハイパーオートメーション技術が組み込まれたデジタル最優先での関わりへと変化が起きるのです。

ここで、ハイパーオートメーションという言葉が出てきますが、これはAIや分析ツール、自動化のツールを組み合わせて、1つの作業ではなく、一連の作業全体を自動化するものを表しています。メルマガを送るなどの処理ではなく、顧客の育成(ナーチャリング)から商品・サービスの販売やフォローまでを、まとめて自動化できるようにしよう、という考え方です。

2025年には、B2Bの取引の80%はデジタルチャネルでなされます。
2025年には、B2B向け営業組織の60%が、経験や本能に裏打ちされた営業から、データ駆動型営業への変容を遂げています。

この購買のデジタル化について、もう少し詳しく述べている部分がありますので、続けて見ていきましょう。

海外調査レポート②:もう営業担当者は顧客から求められなくなる

B2Bの顧客において、営業担当者の存在価値は急激に低下しています。顧客は営業担当者に対して、自分で調査・学習して得られること以上の明確な価値をほとんど感じていません。この傾向は世代の移り変わりによってさらに強まっており、購買の意思決定を担っているミレニアル世代(1981~1996年生まれ)は、それ以前の世代よりもさらに営業担当者に対して懐疑的です。

ミレニアル世代の44%が、営業担当者を介しないB2B購買を好む。(「2018 Gartner B2B Buying Survey」より)
購買担当者のうち33%は、営業不在の購買体験を求めている(「2019 Gartner B2B Buying Survey」より)

営業活動に携わっている人には、とてもショッキングな内容でしょう。妄想で書いているのではなく、実際にB2Bの購買担当者の声を集めて得られたデータに基づいているため、ただショッキングなだけでなく説得力があります。

海外調査レポート③:B2B営業の未来に適応する「4つの処方箋」

このような購買活動のデジタル化と自動化に適応するために、このレポートでは4つのアクションを処方箋として勧めています。

1. 商品起点から顧客起点へのシフト。顧客の変化する期待と好みに応えるためには、デジタルかつセルフサービス型の統合的なEコマースチャネルの整備が必要です。

2. 複雑化している顧客の購買の意思決定に影響を及ぼすためには、顧客の購買チームが自分たちの意思決定に自信を持てるような支援、単なる情報提供ではなく、「買う意味を見つけさせる」支援が必要です。

3. 購買環境の変化に対応した営業を効果的に行うためには、デジタル活用スキルの種類を増やすことが欠かせません。

4. 基本的な営業活動を行うだけでなく、買い手からのサインを見つけ、業績を予測するためにも、AIなどを組み合わせたハイパーオートメーションなどの技術に投資する、未来志向の技術ロードマップを描く必要があります。

つまり、購買担当者にとって「使い勝手の良いWebサイト」を整備して徹底的にセルフサービス化した上で、営業担当者はただ商品をお勧めするのではなく、顧客の意思決定支援についてデジタル・リアル両面を駆使してできるようになること。そして、それらを可能にするデジタルテクノロジーを企業として手に入れること、これが必要だというのです。

さて、レポートはいかがだったでしょうか。顧客は商品情報や概算の見積りなど、購買の検討に必要な基本情報はすべて自社のWebサイトから得ている。営業担当者は対面でのリアルなコミュニケーションはもちろん、Web会議や動画メッセージ、SNSなども活用して人間でしか考えられないようなアイデア・アドバイスを提供しながら顧客を購買に導いている。そして、受発注や納品、決済のやり取りなどはすべてデジタルで行われている。このレポートが描く2025年のB2B営業の世界はこのようなイメージです。

データで示されている通り、購買のデジタル化・セルフサービス化の流れは止まることはなく、B2Cの購買の便利さを味わっている顧客の期待に応えるために、おのずと業務を自動化・ハイパーオートメーション化せざるを得ません。これが今からたった5年後、2025年にやって来るというのがこのレポートの怖いところです。

トライツが考える「未来に適応するための3つのキーワード」

それでは、このレポートを読んで、私たちはどうすれば良いのでしょうか。

この未来に適応するためのキーワードを3つ答えよと言われたら、トライツは

バイヤーイネーブルメント
営業のオムニチャネル化
営業人材育成

この3つと答えます。

オンラインで顧客の購買活動を支援する「バイヤーイネーブルメント」、リアル・デジタルの区別なくあらゆるチャネルを駆使して営業活動を進める「オムニチャネル化」、そして今の延長線上ではない未来に対応するための「営業人材育成」の3つです。この実現が今そこにある未来への適応に必要不可欠だと考えます。

それぞれトライツブログで取り上げたことがあるテーマです。このブログの最後にリンクをつけておきますのでぜひお読みください。そして、自社に合わせた適応策が知りたいという方はぜひトライツまでお問い合わせください。

B2B営業の未来予想からそれぞれの適応策を考えよう

予測や予想というものには、2種類あると私は思います。1つは、予想された結果を回避するために、今の行動を変える必要性を示すもの。「このままではコロナの感染者数が大変な数になる」というのは、この「回避するための予想」の最たる例でしょう。もう1つは、その予想された結果に適応するために、今から備える必要性を示すもの。今回ご紹介したレポートは、この「適応するための予想」です。

「自社の顧客がB2Cの商品を買うようにデジタルで購買を完結するようになるのだとしたら、自社のWebサイトをどのように自動化・セルフサービス化しようか?」
「顧客に『買う意味を見つけさせる』ために営業はどのようなサポートを提供しようか?」
「未来に適応するために、どのような人材を育成し、デジタルテクノロジーを取り入れるか?」
これらを考えるための重大な未来予想がこのレポートにあると考えます。

参考:「The Future of Sales」(Gartner Inc., October 6, 2020)

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