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皆さんはこの記事をどこでお読みでしょうか。
職場のPCや通勤途中のスマートフォンでお読みの方もいるでしょうし、在宅勤務のためにご自宅でお読みの方もいるでしょう。ちなみに、日本マイクロソフト社の調査によると、中小企業のリモートワーク実施率は5月11日時点で89%であり、6月29日時点では52%に減少したものの、8月3日時点では70%に再上昇しているということです。私のクライアント企業でもほとんどが勤務日の50%~80%をリモートワークとしています。
このように、コロナによって仕事の仕方が大きく変わっていますが、それは私たちコンサルタントも同じです。一昔前までは深夜までオフィスで残業していて、しょっちゅう出張しているイメージがありましたが、コロナの影響で働き方が大きく変わってきています。
そこで、今回はコロナ下でのトライツコンサルティングの働き方、プロジェクトの進め方についてご紹介したいと思います。営業企画やマーケティングなどのように、社内でコンサルタント的な仕事をされている方、プロジェクトを任されている方はぜひお読みください。
リモートワークとは真逆だった「かつてのコンサルタントの働き方」
皆さんがイメージするコンサルタントの働き方は、どのようなものでしょうか。
おそらく、「大勢の人を会議室に集めてプロジェクト会議を開いている」「各拠点を訪問して何人もの社員や取引先にインタビューをしている」「夜遅くまで事務所に残って、会議を開いたり分厚いレポートを書いたりしている」「週のうち何日かはクライアントの事務所に常駐している」といったものではないでしょうか。
私も2000年から20年間複数のコンサルティング会社でコンサルタントとして働いてきましたが、最近までの私の働き方は多くの人が想像するような働き方に近かったと思います。
ところが、この3月ごろから働き方が大きく変わりました。皆さんと同様に全面的にリモートワークへと切り替わったのです。その結果、プロジェクトの進め方が激変したのです。
プロジェクトの変化①「コミュニケーションのオンライン化」
第一の変化は、コミュニケーションのオンライン化です。
今、プロジェクトが始まるときは、クライアントのMicrosoftTeams上にゲストアカウントを作ってもらいます。プロジェクト会議や個別打合せ、インタビューはすべてTeamsのWeb会議上でおこないます。またメンバーとの日常的なやり取りは、Teams上の「投稿」や「チャット」がほとんどです。資料もできたものからTeams上にアップロードし、見てくれたメンバーからコメントを受け取り、それをもとにTeamsでの個別打合せをその場で調整したりもします。
その結果として、メンバーとの接触回数が大幅に増えました。以前は、プロジェクト会議は午後半日の会議を2週間に一度、回数が多いプロジェクトでも1週間に一度の割合で実施していました。しかし、Web会議では2時間以上集中して議論するのが難しいため、1回のプロジェクト会議の時間は1時間程度に濃縮して頻度を増やし、深い議論が必要なテーマについては人数を絞ったWebでの分科会を小まめに実施したり「投稿」や「チャット」でやり取りするようになりました。
このように、プロジェクト会議などのコミュニケーションがオンライン化し、さらにTeamsなどのツールを使うことで小刻みに進められるように変わりました。
プロジェクトの変化②「アウトプットのデジタル化」
第二の変化はアウトプット(成果物)です。
これまでは、プロジェクトの結果として「営業や営業企画のメンバー向けに研修/セミナーをしよう」となると、実際に会場を準備して対面での研修/セミナーを実施するというのが主流でした。しかし、多くの社員がリモートで仕事をするようになりましたし、多少出社する人が戻ったとはいえ大勢の人を一部屋に集めて研修/セミナーをするのは到底不可能です。そこで、研修やセミナーをオンラインで実施したり、動画を撮影してそれをメンバーの都合の良いタイミングで見てもらうという方式に大きく転換しています。
このようにアウトプットがオンライン配信されたり、動画になったりとデジタル化したことで、以前よりも多くの人にプロジェクトの成果を届けることができるようになりました。現在進めているプロジェクトの1つでは、日本国内に1,000人以上いる営業担当者/営業マネージャー全員向けの動画研修を作成していますが、これは以前の対面方式では絶対に受けられなかったプロジェクトでした。しかし、たった3人の会社であっても、テキストを作ってそれを解説する動画形式であれば、それを提供できる範囲は無限に広がります。
このアウトプットのデジタル化も、コロナによって大きく変わったトライツの働き方の一部だと私は思います。このデジタル化、特に動画制作については以前の記事(「リモート時代の営業に不可欠!動画コンテンツ制作に取り組む際のポイント」)でもご紹介していますので、興味がある方はそちらもお読みください。
また、これはコロナ以前からのことですが、SFAやWebサイト構築のプロジェクトにおいて、仕様書での検討に時間を費やすということをやらず、最初からクラウドのサービスでプロトタイプを作り、そのままの環境で運用に入り、運用がスタートした後も活用状況などリモートでアドバイスをするということが当たり前になっています。ここには紙のドキュメントはほとんど存在せず、アウトプットがシステムやデジタルコミュニケーションツールを使った個別指導だったりするので、デジタル化されていると言えるでしょう。
プロジェクトの変化③「インソーシングの加速」
第三の変化は、トライツがかねてから標榜していた「インソーシング」が加速しているということです。
通常、自社では十分に賄えない機能を外部から調達する「アウトソーシング」がよく活用されています。会社によって「外注さん」「ベンダー」「パートナー」など呼び方は色々でしょう。これに対して、トライツはクライアント企業に必要だが足りていない機能を、その企業の中に入り込みメンバーと一緒に作り上げていく、というスタイルでコンサルティングを行っており、これを「インソーシング」と呼んでいます。
ただし、これをやろうとすると、以前であれば冒頭で述べた典型的な従来のコンサルタントの働き方のうちの「週のうち何日かはクライアントの事務所に常駐している」という状態か、あるいはかなりの頻度で訪問しなければいけませんでした。
しかし、今は常駐先がTeamsなどのコラボレーションツール上で、これまでよりもメンバーと頻度多く接点を持つことができていますし、MAやSFA、Webサイトなどが運用段階に入っても、単なるシステムのサポートではなく、現場の課題や改革のコンセプトなどからわかっているトライツも管理者アカウントを持ち、リモートでシステムのメンテからデータの分析、運用に関する改善策の提案、現場への指導など幅広く柔軟に関わることができていますので、我々はほぼ毎日クライアント先に仮想的に常駐し、インソーシングしているのと変わらない状態となっています。この意味で、トライツとしては非常に仕事をしやすい状態になっているように感じています。
定着が見込まれる「プロジェクトのオンライン化とデジタル化」
今回の記事ではこれまでと趣向を変えて、コロナ以降のトライツコンサルティングのプロジェクトの変化をご紹介しました。
これは営業企画など社内でコンサルタント的に動いている方にも参考にしていただけるものと思っています。マーケティング企画であれ、営業人材育成であれ、コミュニケーションをオンライン化/小刻み化することでプロジェクトに投入する工数を凝縮することができますし、アウトプットを動画などにデジタル化することで影響を及ぼす範囲を大幅に広げることが可能となります。
このようなプロジェクトの変化は、今後定着していくように私は感じています。というのも、この進め方によって確実にプロジェクトの生産性が高まっているからです。もちろん、直接対面でメンバーと話す必要がある場面も残ってくるとは思います。しかし、ことコンサルティング/プロジェクト運営においては、リモートワークによるオンライン化は、対面で会えないからやむなく用いる次善の策では決してなく、多くの場面で対面を上回る価値がある最善の策となっているのです。
私が好きなカウンセリングの本の中に次のような一文があります。「カウンセラーが自分自身を切磋琢磨していないのならば、クライアントを促進してはならない」。そして、この文の中の「カウンセラー」は「コンサルタント」に置き換えられると思っています。私たちコンサルタント自らが率先して業務のDXに取り組まなければなりませんし、そこで試行錯誤して学ぶことが、クライアントの皆さんの営業DXを後押しするものだからです。
今後もトライツとしてはオンラインでのプロジェクト運営を継続・進化させていきますので、皆さんからも体験談やアドバイスなどをお聞かせください。
トライツコンサルティングは、自ら業務にDXに取り組むことを通じてクライアント企業の営業DXを支援しています。「リモートワークをきっかけに営業のデジタル化を進めたい」「インソーシングを活用して営業改革を実現したい」とお考えの方はぜひご相談ください。