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2020年2月12日に「トライツコンサルティング営業DXセミナー『御社のSFAを蘇らせる5つの施策』」を東京国際フォーラムにて開催いたしました。当日お越しいただきました方は、本当にありがとうございました。

今回は、そのセミナーの中で弊社の門田からお話しした「SFAを活用して営業ミーティングを生産的に変革する」について、抜粋してご紹介いたします。当日セミナーに来られなかった方は、ぜひご一読ください。

国内調査レポート「営業で一番ムダな業務は社内会議!」

マーケティング/営業/カスタマーサポートの統合管理ソフトウェアのリーディングカンパニーであるHubSpot Japan株式会社が、2019年末に大変面白い調査レポート「日本の営業に関する意識・実態調査結果」を発表しました。ITmediaやImpress、NewsPicksなどのWeb媒体でも取り上げられていましたので、お読みになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このレポートの中で、日本国内の法人営業担当者が一番ムダだと感じている業務は「社内会議」だ、という結果が出ました。

(法人)営業に関する業務の中でムダだと感じるものを選択式(複数回答)で質問したところ、1位と2位が「社内会議(33.9%)」「社内報告業務(32.4%)」と社内での情報共有に関するもの、次いで3位と4位が「キーパーソンとの面会ができず再訪問(26.6%)」「日々の商談の移動時間(24%)」と移動に関するものとなりました。

3位の「キーパーソンとの面会ができず再訪問」や4位の「日々の商談の移動時間」など、明らかに非効率そのもののように思える業務を押しのけての堂々の1位ですので、社内会議が営業担当者からどれだけ嫌がられているかがよく伝わってくる調査結果だと言えるでしょう。

SFAは導入しているのに…ムダがなくならない営業ミーティング

私も色々な組織の営業ミーティングによく同席しますが、確かにムダな時間になっていると感じる営業ミーティングが多くあります。そして、非生産的な営業ミーティングという状況は、大金を払ってSFAなどのデジタルツールを導入している営業部門でも変わらずに発生しています。以下にその例をいくつかご紹介します。

「SFAに入力されている商談を、上から順番に担当者に説明させて、マネージャーや周りのメンバーが気になったことにツッコミを入れている」
「SFAに入っている情報は担当者やマネージャーによって選別・加工されているので、本来議論するべきダメな情報がない」
「提案書などそれぞれの商談に関係する個別情報は、SFAとは別の箇所に保存されているので、探すのに時間がかかる」
「すべての商談情報を入力するようにルールを決めても、これまでのやり方にこだわる担当者がいて、すべての情報を集約できない」
「情報を共有できる環境になっているが、お互いの仕事に興味がないので、自分の報告以外の時間は内職をしている」
「ミーティングの仕切り役がいないので、時間内に終わらない or 決めるべきことが決まらない」

このような非生産的な状態から分かるのは、SFAを導入してもそれだけで営業ミーティングが効率化されるわけではない、ということです。確かにSFAを使うことで商談情報を共有しやすくなりますが、営業ミーティングの進め方を工夫しないと皆が感じている「ムダ」はそのまま残ってしまい、なくならないのです。

悪いのはミーティング自体ではなく、非生産的でムダなミーティング

ここまで皆から「ムダ」だと忌み嫌われているのなら、「ミーティングそのものをなくしてしまえ」と考える方もいるでしょうが、法人営業に関して言えばそれは難しいのが実態です。

単純な物販からソリューション営業に多くの営業組織がシフトする中で、解決すべき課題は複雑になっていますし、そのために技術部門など社内やパートナー会社との連携もより欠かせないものになっています。顧客への提案内容を考えたり、受注したものを実際に納品したりするために、営業担当者だけでは解決できない問題が増えている現在では、会議の必要性はむしろ高くなっています。ですので、ミーティング自体をなくすことではなく、非生産的でムダなミーティングをなくすことを考えなければならないのです。

参加する価値がある営業ミーティングの特徴とは

それでは、どのような営業ミーティングを目指せばよいのでしょうか。セミナーの中でお話しした「理想的な営業ミーティングの特徴」について、ミーティングの目的別に整理してご紹介します。

上の表では「情報共有する」「アイデアを出し合う」「意思決定する」という3つの目標ごとに、理想的な営業ミーティングの特徴を整理し、また一番上の行には何を目標とするミーティングでも共通する特徴を記載しています。大事なのは、事前にしっかり設計した上で、情報共有を効率化し、アイデアを出し合う時間を十分にとって、意思決定の結果を明確・具体的にするということ。このような営業ミーティングであれば、参加する価値がありますし、少なくとも「再訪問よりムダだ」と言われることはなくなるでしょう。

とは言え、営業ミーティングを運営している営業のマネージャーやリーダーの多くは、ミーティングの進め方や準備の仕方について体系的に学んだり、指導を受けるということはまずありません。原則として、自分たちがこれまで参加したもののやり方を踏襲し、部分的にアレンジするだけなので、なかなか非生産的でムダなミーティングから脱却できないのです。

生産的な営業ミーティングに変える4つのポイント

では、どのように営業ミーティングを変えれば良いのでしょうか。トライツではこれまでの経験から、生産的でムダのない営業ミーティングに変革するためのポイントが4つあると考えています。

1つ目は「SFAを軸にした営業ミーティングをデザインする」こと。SFAには日々営業担当者によって様々なデータが蓄積されています。そのデータを一工夫すれば、個々の商談情報を単なる文字情報の羅列ではなく、一目で分かるものに変えることが可能です。例えば、ある営業部門ではそれぞれの担当が持っている商談の優先順位をビジュアル化するために、すべての商談を「顧客の購入可能性」と「自社にとっての魅力度」の2軸上にマッピングし、時系列の変化も追えるようにしました。それによって、魅力度が高いのに購入可能性がなかなか上がらない商談を優先的に議論できるようになったのです。

2つ目のポイントは「ファシリテーターを育成する」。ミーティングをデザインしてその通りに議事を進行させるためには、専門の役割を置き、社内のメンバーがそれをやれるように育成することが必要です。議論するテーマの優先順位を判断し、適切なメンバーから意見を引き出し、アイデアや結論を具体化する、という理想的な営業ミーティングの特徴を実現するために、ファシリテーターは不可欠な存在なのです。

3つ目のポイントは「ベテラン社員を巻き込む」こと。これまでのやり方から新しいやり方へと舵を切ろうとすると、今までのやり方に慣れ親しんでいるベテラン社員から反発を受けることがあります。そのため、SFAを使ったミーティングの有効性をベテラン社員に体感させ、味方になってもらうことが必要です。また、2つ目のポイントであるファシリテーター役をベテラン社員にお願いするというのも1つの手段です。営業ミーティングの仕切りをお任せすることで、がぜん積極的にミーティングに取り組むようになった方をこれまでに何人も見てきました。

最後のポイントは「第三者の目で営業ミーティングを見てもらう」こと。上の3つの変革ポイントを試してみる前でも、試した後でも良いので、第三者の新鮮な目で自分たちの営業ミーティングの進め方やSFAの活用方法を見てもらうことです。岡目八目という言葉の通り、当たり前すぎて自分たちでは気づけなかった改善点をいくつも教えてくれることでしょう。

SFAを活用して営業会議の生産性を高めよう

KDDI株式会社の調査によると、企業の社員は1日のうち平均37%(3時間)を会議に使っているそうです。その決して看過できない時間を費やしている会議を生産的な場に変えることは可能ですし、そのためのツールとしてSFAにはもっと活躍の可能性があると私は思います。まずは、今あるSFAの機能を使うと、商談の情報をどのようにビジュアル化でき、情報共有のための時間をどう効率化できるかを調べてみることから始めてみてはいかがでしょうか。せっかく高機能なSFAを導入しているのに、Excelで作っていたシートと同じような使い方しかしていないのはもったいないですから。

トライツコンサルティングでは、SFAを活用した営業DXの一環として、営業ミーティングの改革・有効化をサポートしています。会議時間の効率化、会議を通じた営業の生産性向上、マネジメントの質の向上についてご興味のある方はぜひご相談ください。

参考:「日本の営業に関する意識・実態調査結果」(HubSpot Japan株式会社、2019年12月2日)