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Webを使ったオンラインセミナー(ウェビナー)が徐々に浸透していますが、数多くの企業・団体の展示物をまとめて見られ、展示内容に触れられるという意味では、リアルでの展示会も負けてはいません。特に今年の10~11月はCEATECに東京モーターショーと大型展示会が連続して開催される展示会シーズンでもありました。

先日、「Japan IT Week秋」が幕張メッセで開催され、B2B営業・マーケティング分野で現在売り出し中の新商品・新サービス・新技術が数多く展示されていましたので、その内容を簡単にご紹介しながら国内のB2B営業・マーケティングに起こっているトレンドの変化について考えてみたいと思います。

Japan IT Weekに見るB2B営業・マーケティングのトレンドの変化

Japan IT Weekは関東で春秋の2回、関西で冬に1回の年3回開催されているIT全般の総合展示会で、「モバイル活用展」や「情報セキュリティEXPO」といった10以上の専門展で構成されています。2019年秋の東京開催では780社が出展し、3日間の開催期間中におよそ5万人の来場者を数えるなど、ここ数年の中ではかなり盛り上がっていたように感じました。

その中でも、営業・マーケティング分野に関連する「Web&デジタルマーケティングEXPO」や「セールス自動化・CRM EXPO」を中心に見てきたのですが、そこで日本のB2B営業・マーケティング分野でのトレンドの変化が2つほど見えてきましたのでご紹介します。

変化1:新世代の国産SFAが登場

これまで日本のSFAと言えば2000年ごろのSFAブームからあった大手企業・有名企業によるものが主流でした。ところが、2019年のJapan IT Weekでは、多種多様なクラウド型のSFAシステムが登場しており、かつ今までの国産SFAと比べてより便利に進化していました。

新世代の国産SFAが進化しているポイントは「RPAと自動化」。RPAとはRobotic Process Automationの略で、定型的な業務をソフトウェアが代行・自動化することを言います。名刺管理やメールにカレンダーなどのグループウェアなど、営業担当者は数多くのシステム/ソフトウェアを日常的に使っていますが、それらのデータをこのRPA技術を使って自動で取り込むことで業務の効率化につなげようというものが複数出展されていました。

SFAと他のシステム/ソフトウェアとの関係は、以前までは「連携可能」や「一元管理」「ワンストップ」という謳い文句が多かったように思います。それはつまり、多少の手間を掛ければデータを取り込めるし、そもそも名刺などの顧客データやカレンダー情報はSFAシステム全体のサブ機能として最初から取り込んでおこう、という考え方でした。しかし、働き方改革が当たり前のものとなり多くの業界でRPAが浸透している現在では、複数のシステム間で様々な情報を「自動でシームレスに共有」するのが当たり前になりつつあるようです。

変化2:意思決定支援ツールの台頭

もう1つの印象的な変化は、顧客情報の収集やマーケット情報の整理などのリサーチ/レポートに関する業務支援ツールが急成長していたことです。顧客訪問や提案書作成のための準備、M&Aや投融資の前の準備として、企業や市場の情報を収集・整理・分析するという、地味ですがとても大事な作業があります。これまでは帝国データバンクなどのデータベース企業やシンクタンクに依頼するというのが主流でしたが、より短時間で手間を掛けず安価に処理できる意思決定支援ツールが複数登場しています。

それらの企業は、Web上のニュースやIR情報、マーケット情報、統計データと自社で集めているレポートなどのデータを組み合わせて、短時間で収集・整理して分かりやすくまとめてくれます。以前なら「○○社の○○事業についてまとめておいて」と若手にお願いして2~3日待たないと出てこなかったようなレポートよりも、さらに詳しく抜け漏れのないものがわずか数分で手に入るようになっているのです。

これまで営業関連のシステムとして、あまり脚光が当たってこなかった顧客情報・マーケット情報のリサーチ/レポートですが、業務効率化のメリットが分かりやすいことからも、これからさらに盛り上がっていくものと思われます。

新進気鋭の企業のブースにトレンドのヒントがある

このようにSFAが進化したり、新しいツールが出てきたりと、B2B営業・マーケティングに関係する技術は大きく進歩しています。今回はご紹介しませんでしたが、今話題のAIを使ったツールも数多く出ていますし、音声認識や文字データの読取などによる業務の効率化・自動化を実現する技術も盛り上がってきています。

しかし、これも印象的だったのが、会場全体の中で多く来場者が集まっていたのは、AIや機械学習などの最新技術を使ったサービスのブースではなく、技術やアイデアといった点では新しさや面白さはないものの、長年サービスを提供している大手有名企業のブースばかりだったということです。人だかりがしていたので見に行ってみると、そこで講演されているのは数年前から世に出ている新鮮味のないサービスの紹介だったということも何度かありました。

ただ、展示会に来る人は、みんながみんな私のように新しい情報を探している人ばかりでなく、有名どころや盛り上がっているブースを中心に見て回るという人も多いことでしょう。まったく真新しい情報をひたすら浴び続けるのはとても疲れるので、馴染みのある企業のブースで一息つきたいというのもよく分かります。このような様々な回り方ができるのが展示会の良いところでもあります。

とはいえ、実は今回紹介した2つの大きな変化「新世代のSFAの登場」と「台頭する意思決定支援ツール」は新進気鋭の企業のブースで展示されていたもので、大手有名企業のブースだけを見ていたら目に留まらなかったでしょう。次に皆さんが展示会に行くときは、今回ご紹介した2つのトレンドを頭の片隅に置いて会場内の回り方を工夫してみても面白いと思います。「普段は聞いたことのある社名のブースにしか立ち寄らない」という方には、きっと新しい発見があることでしょう。

展示会を上手く使って営業デジタル改革のヒントを見つけよう

新世代のSFAに意思決定支援ツール、RPAによる自動化技術など、B2B営業・マーケティングで使われるデジタルツールは日々大幅に進歩していますし、Japan IT WeekやCEATECのような展示会はそれらのツール/技術に直接触れられる貴重な機会です。営業の生産性を高めたい、営業をより効率化したいという方にとっては大きなヒントとなることでしょう。

トライツコンサルティングでは、さまざまなデジタルツールの選定・導入から活用・定着に至るまでのサポートも行っています。「展示会で面白そうなツールを見つけたが、自分たちだけで決めるのは不安だ」や「どう活用したらよいか分からない」という方は、ぜひご相談ください。