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皆さんは営業とは何をする人だと考えておられるでしょうか。
最もシンプルなのは、「自社の商品・サービスを売る人」であり、そのために必要なことをやるのが営業という捉え方です。
実際のところ、顧客に買ってもらうために必要なことで、他の人がやってくれないことは「何でもやる」という状態になっている営業は多いように感じています。営業としての役割が〇〇というよりも、他の部署の人がやることが決まっていて、買ってもらうために足りないところをすべて補うのが営業!となっているということです。
先日からある企業で営業改革に向けた研修をやっているのですが、そこで私から「御社において営業とは何をする人ですか?営業に求められる役割とは何ですか?」と質問を投げかけると、皆さんから「改めて聞かれると・・・」とお互いの顔を見合いながら小首を傾げるという微妙な時間がありました。どうもあまり考えたことがなかった様子でした。
しかし、それからそのことについて一緒に考えていくと、大切な気付きにつながったのです。
今回のトライツブログでは、改めて「営業とは何をする人か」を考えることの重要性について書きます。
営業改革とは、営業の役割を変えること
「デジタルツールを活用して営業活動の生産性を高める」
「ソリューション型営業によって、付加価値の高い提案を行い、競合他社に勝てる営業になる」
このようなお題目での営業改革が流行っているように思います。しかし、実際にこのような改革を進めるとなると、営業にとって新しい道具や手法を「今の仕事にオンされる」印象を受けるようです。つまり、新しい仕事が増えるイメージです。いくら「仕事の生産性を高める」と言っても、やらされる側にしてみると、面倒なことが増えるだけだと感じてしまうわけです。
多くの企業の営業現場において、営業担当者が担うべき業務量は増えています。それは社内向けの業務が煩雑になったこともありますし、顧客向けの資料作成などの量も増えていることもあります。また、内勤のスタッフが減ったことも大きな要因でしょう。
そのような背景から「もうこれ以上新しいことはやりたくない」「少なくとも自分はトップバッターにはなりたくない」「確実に上手くいくならやってもいいが・・・」などという現場の反応が強いように思います。
そこで、まず必要なことは営業の役割が「売るために必要な業務なんでも屋」のようになってしまっていて、業務の範囲があいまいになっているそもそものところからメスを入れ、会社として本気で「営業担当者が果たすべき役割から変えようとしている」と現場が認識することだと考えます。
顧客から見た「存在価値」は何か
そのために有効なのが、営業として顧客に提供する「存在価値」から考えることです。ここでの存在価値とは「~してくれるから〇〇さんから買う」と顧客が認識していることです。下記に一般的なものを列挙してみました。
- 売り手の商品・サービスに関する情報を提供してくれる
- 他の企業の事例など、業務に役立つ情報提供をしてくれる
- 相談すればすぐ必要な専門知識を提供してくれる
- 自社の社内業務を代替してくれる
- 無理なお願いでも、社内を動かして対応してくれる
- 最後まで責任者として関わってくれる
- 売り手企業のいろいろな事業の窓口として対応してくれる
- 業務課題の解決策を提案してくれる
- 自社の業務課題の解決の相談にのり、必要な支援をしてくれる
- 購買の意思決定の相談にのり、必要な支援をしてくれる
- 新しい顧客(ユーザー)を開拓し、紹介してくれる
- 顧客(ユーザー)への営業を支援してくれる
- 自社に合ったビジネスプランを提案してくれる
- 新しいビジネスを提案してくれる
これ以外にも、単にルールとして「あの人からしか買えない」ということもあるかと思いますが、それは営業としての存在価値を提供できていることではないので、ここでは除外して考えることにします。
一般的に、成果を上げることができている営業担当者は顧客に対して多くの「存在価値」を提供できていると考えられます。ただ、デジタルテクノロジーの進歩・浸透にしたがって、顧客が営業に対して求める「存在価値」が変わってきています。特に、情報提供に関する付加価値はWebなどのデジタルツールに移行してきていて、「相談に乗る」とか「支援してくれる」というような人間しかできないところを顧客が営業担当者に求めるようになってきているという変化が起こっています。
顧客の求める「営業の存在価値」が変わるということに伴い、営業の役割を変えていかねばならないのは当然のことです。それができない企業は顧客から相手にされなくなってしまうでしょう。
顧客にとっての「存在価値」が明確な営業に変革しよう
そこで営業改革としてやるべきなのは、顧客の求める「存在価値」をできるだけ高いレベルで提供できるように変革することです。そのためには、業務の役割分担や組織のあり方から見直さねばならないはずです。
具体的には今まで営業担当者がやってきた業務の中で、顧客にとって付加価値を提供しているとは言えないことについてはできるだけ分業を考えます。そうすると各業務手順の標準化も不可欠ですし、情報共有のためのデジタルツールも位置づけがはっきりすると思います。
意識改革のために、営業としてのスキル形成から考える
役割分担や組織の見直しに加えて、顧客に対して高い「付加価値」を提供できる人材育成に取り組む必要があります。その際、いきなり必要なスキル教育を行うのでなく、それぞれの営業担当者が「営業」という仕事をしていく上で、自らのスキル形成から考えていく機会を作ることが有効です。
もちろん、そこで各人がゼロから考えるのではなく、会社として顧客の求める「存在価値」を提供できるようになるためにスキルアップのロードマップを示す必要がありますし、それを元に自分の得意なことを活かしながらスキルを身につけていくように促すように工夫することも大切なことだと思います。
そうすることで、営業の意識改革につながり、結果として営業改革への近道になるのです。
データ分析スキルも当たり前になる時代に営業を導く
また、今後顧客により高い「付加価値」を提供するために必要なスキルを追求していくと、様々なデータを分析して仮説を立てたり、それを検証するスキルも重要になってくるでしょう。
そこで、スキルアップのロードマップにこのような新しい要素も組み入れ、次世代の営業としての役割を果たせるように導いていくのです。実際にトライツのクライアントにも、積極的にデジタルテクノロジーを活用した次世代営業への変革に向け、スキルアップロードマップ作成から取り組んでいるところがあります。
このような取り組みを通じ、我々も改めて「デジタル営業改革とは組織と人の改革である」と感じています。
そして、これらの原点は「これからの営業とは何をする人?どんな役割を果たすべき?」という議論から始まります。そこからしっかり考え、そこに至るまでの道のりを明確にすることから営業改革はスタートするのです。
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