先日、トライツのセミナーを開催しました。そこで「営業におけるプログラミング的思考」についてのお話をしたところ、多くの方から反応がありました。

文部科学省がこれから小学生に「プログラミング教育」を必修化していこうとしていますが、その最大の目的は「プログラミング的思考」を身に付けることにあります。しかし、これは小学生だけでなく、営業担当者や営業企画担当者がすぐにでも身につけるべきものなのです。

そこで、今回はこの「プログラミング的思考」がなぜ営業においても大切なのかを解説していきたいと思います。

動いて欲しいように動くように命令を与えるのがプログラミング

実は私が初めてコンピュータに触れたのは高校1年の時でした。ワンボードコンピュータと呼ばれるもので、プリント基板むき出し、ボタンと8桁のLEDが付いているだけというモノ。それで最初に作ったのはなんと「掛け算」のプログラムでした。

そのコンピュータには足し算と引き算の機能しかないので、それをループさせて掛け算の答えを出すわけです。そうやってこちらがやりたいことをコンピュータにやらせるために、コンピュータが理解できることを組み合わせて伝えることを学んでいました。

それからコンピュータはものすごい勢いで進化しました。以前であれば高度な知識を持たないとできなかったことが簡単な命令一つでできるようになっています。AIもかなり実用レベルまできています。

とは言っても、やはりその能力を十分に発揮させようとすると、人間側がコンピュータのことを理解し、コンピュータが正しく動けるように言語化してやる必要があることは変わっていません。一を聞いて十を知るということはコンピュータには無理なので、人間側が合わせてやらねばならないのです。

このようにコンピュータにわかるように言語化することを「プログラミング」と呼びます。そして、そのベースとなる思考法が「プログラミング的思考」です。

営業における仕事もプログラミング的に考えると上手くいく

ここまでお読みいただき、「そんなことはコンピュータの専門家だけのことでは?」と思われるかもしれません。しかし、日々の皆さんの会社での仕事も相手が人間かコンピュータかの違いだけで、「相手を理解し、動いて欲しいように動くよう言語化して伝える」ということに関しては同じなのです。

例えば営業担当者が提案書を作成する際、こちらが伝えたいことを伝えやすいように組み立てた提案書と、相手のキーマンにどう動いて欲しいかを明確にし、そのために組み立てた提案書では構成も内容もかなり異なります。そして、当然のことながら、顧客に説明した後の相手の反応も異なってくるでしょう。

また、営業企画担当者が販促のチラシを作成し、各拠点に配布しているとしましょう。しかしながらそれが十分に顧客のところに届かず、成果が期待するほど上がっていないとしたら・・・・皆さんならどんな手を打つでしょうか。

改めて販促の意味を理解してもらう場を作るとか、現場の要望を聞いて対策を講じるなどということで現場のモチベーションを高める方法もあるでしょうし、Excelで集計表を作って、事前にチラシを持っていく顧客のリストを提出させ、そこに持参したかどうかを管理する・・・などというやり方もあるでしょう。

どれが「販促改善プログラム」として適切なのかを考え、現場が正しく動くように仕掛けていくことが営業企画担当者には求められます。

優秀なプログラマーは、プログラミング言語が変わってもその特徴をすぐに理解し、それに合わせた組み立てが柔軟にできますが、そうでないプログラマーはなかなか上手く動くようにできず、エラーばかり出すことになります。そして、出来上がったプログラムの効率が良くありません。これは営業担当者や営業企画担当者においても同じ。相手を理解し、プログラミング的に仕事を組み立てることができる人の仕事は効率が良く、ミスも少ないのです。

いろいろな仕事のミスの原因は大雑把にしか考えていないところにある

ではプログラミング的思考で考えるということはどういうことなのか、もう少し具体例を示しながら解説します。

例えば、「味噌汁を作る」ということをプログラミング的に考え、やるべきことの流れ図を作ってみます。

ものすごくシンプルに表現するとこうなるでしょう。実は多くの人の頭の中はこうなっていて、「後は具を何にするか決めればOK」などと単純化されています。

しかし、実際にやってみると味噌が出汁入りでなかったり、具に下処理が必要だったりと問題が発生したりするので、現場で慌てることになりがちです。多くの営業現場で発生しているトラブルの原因のかなりの部分がこのように大雑把な流れしか考えていないということにあると言えます。

トラブルが発生してから、「もっとしっかり考えて準備しておけ!」などと注意することがあると思いますが、その「しっかり考えて」の部分を具体化するのが「プログラミング的思考」です。この流れ図ではエラーが発生してしまう可能性が高いので、プログラミング的思考としては不十分なのです。

プログラミング的思考でしっかり考えるとこうなる

では、もう少ししっかりプログラミング的に考えてみましょう。いろいろな状況を想定して組み立ててみました。

「しっかり考えて・・・」を具体化しています。ここまでつくっておけば、準備の精度も上がりますし、自分以外の人にこの仕事を任せることもできるでしょう。

このようにやりたいことが確実にできるようになるよう、やることの要素を分解したりまとめたりして、組み合わせを考えるのが「プログラミング的思考」です。

ただ、これも大人向けに作るのと、小学生向けに作るのではかなり異なるはずです。あくまでも動いて欲しい相手に合わせて作ることがポイントです。

特に営業企画担当者に有効なプログラミング的思考

ちなみに以前は大手企業中心に終身雇用が当たり前で中途採用が少なかったこともあり、社員のレベルが安定していて暗黙のルールが通用していました。従って、上司からの指示も前述のようなシンプルな流れを伝えるだけで、「後は考えろ!」でも良かったでしょう。しかし、昨今ではレベル差が大きくなっているという話を良く聞きます。

そうなると、組織として何かしようとした時、いかに現場の状況に合わせて目的を達成するように工夫して発信するか、それがこれまで以上に重要になってきていると言えます。「現場力が落ちている!マネージャーは何を指導しているんだ!」と感情的になっても何も解決しません。そこでの問題解決にプログラミング的思考は活用できます。

また、営業活動として考えていかねばならないのは、人間相手だけでなくなっているということも大切なポイントです。MA(マーケティングオートメーション)ツールはとても便利なものですが、「適当に上手いことやっておいて!」という指示は通用しません。起こりうるいろいろなケースを想定し、具体的な指示をシステムが理解できるように教えてやる必要があります。

このように対人間であってもこれまでのように「ツーカー」は通用せず、現場に合わせた柔軟性が求められています。また、システムに営業を代替させようとすると、システムが理解できるように具体化せねばならないので、そんなところでもプログラミング的思考は不可欠なのです。

文部科学省は小学生から「プログラミング教育」として、やりたいことの要素を分解し、組み合わせを考え、言語化できる能力を小学生から学ばせようとしているのですが、実は営業生産性を向上させるために、すぐにでも営業担当者や営業企画担当者が学ぶべきスキルです。特にこれからの営業を考え、実現させていく役割を担う営業企画担当者には必要なことだと考えています。

トライツではこの営業におけるプログラミング的思考の独自カリキュラムでの研修を行っています。興味のある方は下記よりお問い合わせください。