この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
先日開催しましたセミナー「法人営業7つのツール 作れる・活かせる組織づくり」には大勢の方にお越しいただきました。
今回のトライツブログでは、セミナーで頂戴したご質問に対してもう一段階考えを深めることで、営業ツールを作って活かす、そんな工夫を楽しむ組織をつくるために何が大事なのかを考えてみたいと思います。
「工夫を面白がる文化のない会社はどうしたらいいですか?」
セミナーでは書籍「予算達成! 法人営業7つのツール」でご紹介したツールを自ら作って活用できる組織になるべく、トライツコンサルティングから7つの提言をお話ししました。その7つ目の提言が「面白がる文化を根付かせよう」というものでした。これはどういうことかというと、営業のやり方やツールについての工夫に対して、正しい/正しくない、問題ある/問題ない、効率的/非効率といった見方だけでなく、「面白いかどうか」という見方で見てみよう、議論をしてみよう、ということです。
7つ目の提言についてのスライドが終わり、質疑応答へと進んだときに「自分が所属する会社・組織に、工夫を面白がる文化がない場合はどうしたらいいですか?」というご質問をいただきました。
それに対し、角川は「その会社なりの面白がり方があるはずなので、それを追求してみてはいかがでしょうか」とお答えしましたが、このニュースをお読みの方の中にも、「ウチの会社にも工夫を面白がる文化はないなぁ」という方もいらっしゃるかもしれません。そのため、今回のトライツブログではこの「面白がる文化」について、もう少し突っ込んで考えてみたいと思います。
「面白がる文化のない会社」にある2つの特徴
それでは、「面白がる文化のない会社」とはどのような会社なのでしょうか。そのような会社には2つの特徴があります。
特徴1:面白いかどうかで互いの仕事を評価しない
面白がる文化のない会社の第一の特徴は、他の人がやっている仕事を「面白いかどうか」で評価しない、ということです。ここで言う面白いとは、「笑える」とか「滑稽だ」という意味ではありません。印象的であったり興味深かったり、思わず膝を打ってしまうようなもの。英語で言うところの「funny」ではなく、「interesting」です。「面白い」を勘違いしてしまって、「面白いなんて不真面目だ、ふざけている」と捉えてしまうことがありますが、それはとてももったいないこと。あくまでも「面白い = interesting」なのです。
確かに色々な会社を見ていると、正しいか正しくないか、問題がないかどうか、効率的かどうか、といったものの見方ばかりで、「これ面白いね~」「もっと面白くならないの?」といった会話をほとんど聞くことがありません。そういう会社には、えてして「それをやる意味は?」「それをやって上手くいった実績はありますか?」などと誰かのアイデアに冷静にツッコミを入れる人がいたりします。
特徴2:面白さをアピールしない
面白がる文化のない会社のもう一つの特徴は、自分たちの面白さをアピールしない、ということにあります。ここでのアピールの対象は社外だけに限らず、社内に対しても言えることです。それぞれの社員や部署ではみんな工夫をしているのに、それをあまりアピールしないので褒め合うこともない。結果、社内でもお互いの面白さに気づくことがないままに仕事が進んでいる。そのような会社が多いように思われます。
一方で、社外へのアピールがあまり得意ではない会社も、特にB2B企業では多いように思われます。その理由としては、やはり事業内容や取扱商品が普段の生活の中で目にするものではないためB2C企業に比べて複雑で面白さがイメージしにくい、ということがあるのではないでしょうか。
「面白がる文化のない会社」にひそむリスク
これら2つの特徴から浮かび上がってくる「面白がる文化のない会社」は、社外からどのように見えるでしょうか。
自分たちの仕事が他の人から見て面白いかどうかに無関心で、それをアピールすることもない会社。例えば、腕に自信はあるけど口下手で頑固一徹な職人が働いている町の工務店のようなもの。これを一言でいうなら「外から見て面白さが分かりにくい会社」、さらに言うなら「外から見て面白そうじゃない会社」なのではないでしょうか。確かに社名は聞いたことあるし、どんな事業をしているのかもおおよそ知ってはいる。でも、面白さがなかなか伝わってこないのです。
これまでのB2B企業であれば、長い付き合いの中で取引先に自社の「面白さ」を時間をかけて理解してもらっていれば問題なく事業を続けることができていました。しかし、Webなどを通じて個人や企業がアピールをする方法が増えてきており、購買担当者がWebを参考にするようになってきている現在では、分かりやすさがとても大切であり、良い仕事をしていても宣伝下手は顧客を引き寄せる力不足と言う点でビジネスとして致命傷になりかねません。
このような意味で、「外から見て面白そうじゃない会社」というのは大きなリスクを抱えているのです。
「面白さを社外に発信する」習慣が、面白がる文化を持つ会社へと変える
それでは、どうすれば「面白がる文化のない会社」に「面白がる文化を根付かせる」ことができるようになるのでしょうか。そして「外から見て面白そうじゃない会社」というイメージを払拭できるようになるのでしょうか。
それは標語を作って社内にポスターを貼るとか、「面白いこと発表会」などというような社内向けイベントよりも、一番の近道は強制的に社外に向けて「面白いこと」を発信することです。
会社ブログやFaceBookページを使って、自社の中にある「面白いもの」を紹介していきます。もしブログやSNSのハードルが高ければ、営業担当者が客先で話す内容に「面白いもの」を盛り込んでみることから始めてもいいでしょう。そのようにして、自社の面白さを定期的に情報発信する習慣をつけることを通じて、もっと普段の仕事から「面白さ」を意識するようになり、「この会社、こんな面白いことやっているんだ」と社外からのイメージを刷新することができるようになるのです。
ネタ切れにならないように、自社の面白いところを普段から探すようになる。社外の人に面白さが伝わるように、伝え方も工夫するようになる。そして、どうすれば自社の事業や商品がもっと面白くなるのかと考えるようになる。こうすることで、おのずと自分たちのビジネスを評価する「面白さ」という視点が組織に根付くようになる。そのように外に発信することで社内の文化を変えるということを、考えてみるのが良いと思います。
そのためにはまず、この提案を社内で面白がってくれる味方を増やすところから始めましょう。