営業戦略

売上拡大を阻むのは担当の長期化にあり?
担当替えで売上を伸ばす4つのポイント

売上拡大を阻むのは担当の長期化にあり?担当替えで売上を伸ばす4つのポイント

営業マンの育成のためや営業部門内の異動者が出たことにより、顧客担当を見直すということがよくあります。銀行の営業部など3年ごとの顧客担当変更をルール化している職場もあります。

しかし、一般的には担当替えはリスクとしてとらえられていることが多いように思われます。
「これまでに培った人間関係や顧客についての深い理解がきちんと引き継がれるだろうか?」
「顧客とのつながりが弱くなることで、売上が落ちてしまうのではないか?」

そのため、問題がない限りなるべく担当替えをしないようにと考える傾向があります。その結果、かなりの長期間、同じ人間が担当しているというケースが見られます。

この担当の長期化、実は大きな問題があったりするのです。
今回のトライツニュースでは、担当の長期化にひそむ問題とそれを打破する施策としての「担当替え」について考えてみたいと思います。

担当の長期化にはメリットだけでなくデメリットも

担当を長期化することのメリットは、顧客の人間関係や社内事情などを深く理解していることによりスムーズな顧客対応ができるようになることです。
「このテーマなら、あのキーマンに最初に話を通しておくとスムーズだ」
「そろそろ来年度の事業計画づくりが始まるから、商談の頭出しをしておこう」
顧客事情に精通していることで、効率的な営業活動ができるようになるのです。

しかし、担当を長期化することにはデメリットもあります。

デメリット1:過去の失敗体験から何でもブレーキ

1つ目のデメリットは、過去の失敗体験の蓄積です。
長い間顧客対応をしていると、うまくいったことばかりではなく、思うように進まなかったこともたくさんあるものです。
「以前にあの部署に提案したけど、なにも前に進まなかった」
「慎重派で新商品のファーストユーザーになることは嫌がるから、既存商品しか提案できない」

こういう過去の失敗体験が蓄積していくと、新しい提案をしかけようとしてもそれがうまくいかなくなる原因を自分で思いつくことができてしまいます。そして「あれは無理。これも難しい」と、実際に顧客に仕掛ける前に自分でブレーキをかけるようになってしまうのです。

デメリット2:いつの間にか生まれてくる盲点の山

2つ目のデメリットは、担当が長いがための盲点の発生です。
担当が長くなるとお互いに知っていることが増えるため顧客対応が効率化されていきますが、その中で徐々に抜け落ちてくるものや、いつの間にか分からなくなっていることが、自社にも顧客にも出てきます。それが「盲点」なのです。

具体的には、どのような盲点があるのでしょうか。
「本当は定期的にフォローすべきなのに、ついつい訪問しなくなった顧客のキーマン」
「わざわざあらたまってヒアリングしなくなった、顧客の課題」
「分厚い提案書も出さなくなって、いつの間にか顧客にプレゼンしなくなった自社の技術力やサービス力」

このような盲点は顧客対応を長く続けているうちに、徐々に生まれてきます。そして、営業担当と顧客の担当者という当事者同士には見えないまま、盲点の数は増えていくのです。

担当の長期化が売上拡大を阻んでいる

上の2つのデメリットにより、営業も顧客も新しい提案や要望をお互いに伝えなくなっていきます。これが続くことによって、本当はもっとビジネスチャンスが広がっているかも知れないにも関わらず、今以上の関係性に進むことができなくなっているというケースがたくさんあります。

つまり、売上の低迷を回避するための担当の長期化が、逆に売上拡大の阻害要因となってしまっているのです。
ではどうしたらよいのでしょうか。

担当替えを売上拡大につなげる

そのような場合に、最もコストの掛からない売上拡大策の1つが「担当替え」です。
それを聞いて「何を当たり前な」と思われる方が多いでしょう。しかし、実際に転勤とか退職など外的な要因もないのに「売上拡大のために担当替えをする」ということはあまり行なわれていないのです。実はこれがとても有効なのです。人が入れ替わるのですから、誰のやってきたことも否定せず、誰も傷付けることなく新しいアプローチを仕掛けることができます。

ただし、普通に引き継ぎをして前任者と同じように営業活動をしているだけでは前任者と変わりません。そこで担当替えを売上拡大のチャンスとして活用するためには4つのポイントがあります。

ポイント1:適材を投入する

1つ目のポイントは、過去の体験にしばられないタイプの営業マンを投入すること。
営業マンのパーソナリティとして、慎重で石橋を叩いてわたるタイプもいれば、行動力があり果敢にチャレンジしようとするタイプもいます。売上拡大のためには過去の体験にとらわれず、積極的に顧客に仕掛けていくことが必要です。うまくいくかどうかためらってしまうタイプではなく、多少のリスクを冒しても突っ走るタイプの営業マンの方が向いているのです。

ポイント2:顧客と自社の盲点を探る

2つ目のポイントは、顧客と自社の「盲点」を探ること。
顧客の引継ぎの際に顧客情報を前任者から教えてもらう場面があります。営業マネージャはその場に同席して、自社の営業担当には見えていない盲点を探り出すことが必要です。

いつの間にか訪問しなくなった人はいないか、いつの間にかやらなくなってしまった営業活動はないか、いつの間にかケアしなくなった顧客情報はないか。このようにして見つけた盲点の中に、売上拡大につながるヒントが隠れているものなのです。

ポイント3:関係性の変化を起こす

3つ目のポイントは、新しい営業担当に商談をさせる前に、顧客との関係性を変える営業をさせること。
担当の長期化により売上が広がらない顧客のボトルネックは、商談や提案書の数ではありません。商談化の手前の段階である顧客との接点の数や、顧客から相談をされる話の幅といった顧客との関係性がボトルネックになり、ビジネスが固定化してしまっているのです。この状態から脱却するためには、やみくもに商談をさせるのではなく顧客との関係性を変えるような打ち手を打つことが大事です。

ある化学品メーカーでは、顧客との関係の変化を起こすために顧客の部署横断で交流会を開催しています。自社商品のプレゼンだけをするのではなく、本社の事業企画担当者や研究者に工場の技術者を集めて、自社の将来の事業計画や研究計画、生産技術まで含めて幅広く紹介し、第2部では出席者全員の自己紹介から始まる懇親会をおこなっています。

交流会の中で自社が取り組んでいる事業について多面的に紹介し、出席者各自が今取り組んでいる仕事について共有し合うことによって、今まで相談されたことのない部署から、今までにない相談内容が来ており、商談件数を一気に増やすことに成功しているのです。これは、顧客との関係性を変える有効な打ち手の例であると言えるでしょう。

ポイント4:関係性の変化をマネジメントする

最後のポイントは、売上や利益といった結果ではなく「関係性の変化」をマネジメントすることです。
関係性の変化を起こすための営業活動は手間がかかる上に、すぐに数字につながるものではありません。担当変更によって売上の拡大を目指すのであれば、営業マネージャは、担当変更から3か月なり半年なりと期間を区切って、顧客接点を増やすことができているのか、顧客からの問合せの幅が広がっているのか、という顧客との関係の変化を確認することが重要です

担当替えをリスクではなく売上拡大の施策にしよう!

一般的にはリスクだと見られることの多い担当替え。しかし、異動などの「結果として生じる担当替え」ではなく、「施策としての担当替え」として活用することができれば、固定化してしまった顧客との関係性を変え売上拡大へとつなげることができるのです。

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