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コロナにより「新技術の導入がこれまでにない速さで進み、10年分の大転換が10カ月で起きた」(Forbes Japan)と言われています。このような書き出しなので「またリモート会議の話か」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、そうではありません。今回のテーマは動画コンテンツです。

2020年以前からB2B営業での動画活用がブームになりつつあり、特に海外の雑誌や調査レポートでは「今年こそは動画元年」という言葉が何回も登場していながらも、ブームに乗り切れないでいました。

しかし、コロナによって動画コンテンツが一気に浸透し、市民権を獲得しています。それまでは動画制作のノウハウを持った人たちだけが作成していたのですが、今では研修や講演会などを動画ファイルで納品するのが当たり前になっており、私たちトライツも含めて動画制作を仕事としてやってこなかった会社でも動画を作るようになってきました。

このように誰もが動画制作をできるようになった背景の1つに、専門的な知識がなくても直感的に使えて安価な動画編集・加工ソフトが普及したことがあると思います。そこで今回のトライツブログでは、トライツが実際に使っている動画制作に役立つソフト/システムをご紹介したいと思います。自社内での動画による研修教材や商品紹介資料作りを考えている方には、参考になる内容ですのでぜひお読みください。

おススメソフト①簡単に録画・配信できる「OBS Studio」

最初に紹介するのは、フリーの録画・配信ソフト「OBS Studio」(以下、OBS)です。撮影・録音した映像や音声を1つの動画にまとめることができます。

例えば、PowerPointのスライドショーの内容を講師が説明するという研修動画を制作するとします。このとき、作ろうとしている動画には3つの情報源(ソース)が必要です。1つは、PowerPointのスライドショーの映像。2つめは、スライドショーの内容に合わせて身振り手振りをしながら解説している講師の映像。そして3つめは、講師が話している音声です。動画を制作する際はこれら3つのソースを組み合わせることで、スライドショーに合わせて講師が画面の手前で解説している動画が出来上がるのです。

OBSはこれらのソースを1つにまとめて録画・配信することができるソフトです。さらに、講師を撮影するときに背景を緑や青の一色にしていれば、背景を透明にして講師だけをスライドショーの前面に登場させる(クロマキー合成)などの専門的な編集も簡単にできます。クロマキー用のカーテンや照明機材なども安価かつ簡単に手に入るようになりましたので、一昔前なら撮影スタジオに行かないとできなかったこれらの処理を、専門知識や経験がなくてもできるようになりました。

また、研修の最初や最後に研修タイトルの静止画を見せる、といった処理もシーンの切り替えという機能で簡単に行えますし、シーンを切り替える際のエフェクトもPowerPointのアニメーションのように簡単に設定することができます。OBSは無料なのに機能が充実しており、さらに使いやすいという優れものソフトなのです。

おススメソフト②自動で字幕を作成「VREW」

次に紹介するのは、これまたフリーの自動字幕作成ソフト「VREW」です。搭載されているAIによって、撮影した動画に自動で字幕を付けてくれます。

使い方はとても簡単で、VREWを開いて動画ファイルを読み込むと、自動で音声を認識して字幕を作成してくれます。もちろん、AIなので誤変換や聞き間違いもかなりありますが、8割がた出来上がっている字幕を修正するだけなので、すべてをイチから手入力していた一昔前と比べれば圧倒的に楽です。

また、このVREWでは動画の微修正も簡単にできます。言葉がつっかえてスムーズに出なかった部分や無音の部分など、気になる箇所を簡単に削除して詰めることができるので、撮影時に多少の言い間違いや言いよどみがあってもいちいちカメラを止める必要はありません。まとめて動画にしておいて後から要らない部分を削除する、というのが手軽にできるようになって、動画撮影・編集の効率が随分上がったように感じます。

おススメソフト③手軽にマインドマップ「MindMeister」

そして最後に紹介するのが、動画のストーリーライン作りに役立つマインドマップ用ソフト「MindMeister」。マインドマップは2000年代に話題になった思考法で、中心的なテーマから放射線状・段階的にアイデアを発想していくもの。当時は書店で平積みされるなどしておりましたので、読んだことがある方、聞いたことだけはあるという方も多いのではないでしょうか。

当時のマインドマップは無地のノートや模造紙に手書きでまとめるものでしたが、最近はクラウドで使える無料のソフトがいくつも出てきています。その中でも使い勝手が良くおススメなのが「MindMeister」です。

実際の画面の利用イメージは上の通りです。動画をテーマ/タイトルに沿って、話したいトピックを列挙し、さらにイメージが湧かせながらをトピックの内容を具体化・分解していく、というもの。上の図は文字情報だけですが、関連する図表やグラフなどの画像を貼り付けることもできますので、一覧性を保ちながらアイデアを拡げていける便利なツールです。

このツールが面白いのが、自動でプレゼンテーションを作成できるということ。マインドマップ形式でストーリーラインが出来上がったら、PowerPointの叩き台を作らずにこのまま関係者に共有することができるので、とても便利です。

今の環境でできるところから試行錯誤してみよう

本日は動画制作に役立つソフトとして「OBS」「VREW」「MindMeister」の3つをご紹介しました。3つとも無料で簡単。そして実際に利用している人も多いため、ちょっと困ったときにWebで検索すれば必要な情報をすぐに手に入れられます。

このように無料で使い勝手の良い動画編集・加工用ソフトが充実していて、高性能なビデオカメラがリーズナブルに手に入れられるようになっており、さらにマイクやクロマキー用のカーテン、照明などの専門的な機材もAmazonなどを通じて簡単に入手できるようになっている現在では、動画の撮影・編集は特別なことではありません。リモートワークが推進されている現在の状況では、これまで本社や研修所に集めて行っていた研修や、技術開発担当者が各拠点に出向いて実施していた商品説明会などを、動画やライブ配信に置き換えることで出社比率を下げるだけでなく、これまでの業務自体を大幅に効率化できるようになっているのです。

今回のトライツブログをお読みの方で、まだ自分で動画を撮影・編集したことがないけれど興味があるという方は、ぜひ今の恵まれた環境を活かして、試行錯誤してみてほしいと思います。国産メーカーの高画質なビデオカメラでも10万円未満で手に入りますし、映像と音声のズレなどが生じないように気を付けられればスマートフォンでもある程度の動画を撮影することが可能です。そして、今回ご紹介したツールは無償で利用することができます。まずは今の環境でできることをやってみる。そこから画質や音質の調整の仕方を学んだり、必要な機材を追加したりすることで、より見栄えがよくわかりやすい動画を作るコツを身に付けられるようになることでしょう。

トライツコンサルティングでは、研修や商品説明などの動画を活用したコンテンツの企画・制作をサポートしています。「自分たちでやってみたけど難しかった」「自分たちが習得するまで待てない急ぎの施策がある」など、動画制作にお困りの方はご相談ください。