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優れた上司は社員にやる気を起こさせ、生産性を向上させるというのは当然のことかもしれません。では、「優れた上司」というのは一体どのような上司のことをいうのでしょうか?
米国のリーダーシップ開発コンサルティング会社 Zenger/Folkmanは、世界各地の約16万人の会社員と約3万人の管理職を対象に、社員のやる気と上司の性質に関する調査を行いました。今回は、この調査の結果を参考に、「優れた上司」のあり方についてご紹介したいと思います。
叱咤激励タイプと協調タイプの上司
まず、この調査では上司のタイプを「叱咤激励タイプ」と「協調タイプ」の2種類に分けています。前者は、高い目標を設定し、部下を叱咤激励することによって、限界と思っていた以上の働きぶりを部下に発揮させ、目標を達成しようとするタイプのことをいいます。後者は、部下が抱える悩みや問題に理解を示し、アドバイスを与え、信頼関係を築くことによって、生産性を向上させようとするタイプです。
叱咤激励と協調。両方のバランスが大切
同コンサルティング会社が別に行ったアンケート調査では、部下側も上司側も「協調タイプの方が社員にやる気を起こさせるだろう」と考えている人が多いという結果が出ていました。ところが、今回の調査では上記の予想と若干異なる結果が出ました。
まず、ワンマンタイプで押しが強く、要求の高い「完全に叱咤激励タイプ」の上司の下では、社員の満足度が低く、やる気が起こらないという結果は予想通りでした。しかし、理解ばかり示し、プッシュしない「完全に協調タイプ」の上司の場合、叱咤激励タイプの上司の場合よりも、差は若干ですがやる気レベルが低いという傾向がみられました。そして、両方の特徴を兼ね備えている場合に、やる気レベルが向上するという結果が出たのです。
当然といえばそうですが、どちらのタイプが優れているというのではなく、業務や役職、部下の性格などに応じて両方の特徴をうまく使い分けるバランス感覚が必要ということです。
協調タイプの上司がかかる罠
さて、今回の調査で明らかになった協調タイプの上司の意外な罠。一体どこに問題があるのでしょうか?
別のコンサルティング会社がアップルやマイクロソフトを含む、100社を超えるハイテク企業の管理職1000人を対象に行った調査結果によると、半数が「いい人だけど、押しの弱い上司の下で働いていた時に成長しなかった」と感じていました。
協調タイプの場合、波風を立てるのを嫌い、社内における自分のポジションも含め、現状維持の守りの姿勢に入っているため、向上心を欠き、部下の能力を引き上げるどころか、無意識の内に部下の向上心や野心を萎えさせてしまっている場合があるようです。たとえば、部下がせっかく「こうしたらもっとよくなるのでは?」と革新的なアイディアを提案しても、「まぁ、今のやり方で問題なく業績も順調だし、君は今のままで十分頑張っているよ」などと優しい言葉をかけつつ、実際には部下のやる気をくじいている場合がそうです。また、協調タイプの上司は社内で目立たず、パッとしない立場にあることがあり、そんな上司の社内での評価や印象がチームのメンバーの評価に影響してしまうこともあるようです(例:「あのチームはやる気がない」など)。
まとめ
一般的にリーダーシップのコンサルティングなどでは、叱咤激励タイプの問題点が指摘されがちで、協調タイプの問題点についてはあまり触れない場合が多いようです。
優れた上司になるためには、自分が「叱咤激励タイプ」と「協調タイプ」のどちらの傾向が強いか見極めて、叱咤激励タイプの人は、部下の声に耳を傾け、理解を示し、褒めるべきところは褒めて信頼関係を築くよう心がける。また協調タイプの人は、問題点については厳しく指摘し、高い目標に向けて励ましながら部下の潜在的能力を引き出すように努めると良いのではないでしょうか。
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参考:
Nice or Tough: Which Approach Engages Employees Most?
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