「新商品の売れ行きが良くない」
「今期の数字が足りない」
「大事な商談を失注してしまったらどうしよう?」
すでに起こっているものも、まだ起こってはいないものも含めて、仕事をしていると(家庭でも)何かしら「問題」は起こるもの。そして、起こった問題に対し「今回は様子見」というのも含め、誰もが何かしらの「対策」を考えて実行しています。

ですが、この「対策」というのがなかなかのクセ者。
例えば「新商品が売れない」という問題に対しては、「価格が高い」「消費者が求めている機能が弱い」などの原因に手を付けるタイプの対策も考えられますし、原因には手を付けずに「期間限定で新商品の提案件数を増やす」「新商品が持つ別の機能にスポットライトを当て商品の位置づけを仕立て直す」というタイプも考えられます。このように一口で対策と言ってもそこにはいくつかの種類があり、議論しているメンバーの間でどの種類の対策をとるかの認識がズレていると、話はなかなか前に進みません。

そこで、今回のトライツブログは、問題解決のフレームワークの中でもあまり書籍等では触れられることが少ない「対策の種類とその考え方・使い方」に絞ってご紹介したいと思います。

「モグラ叩き」型の対策では真の問題解決は図れない

私もいろいろなところで営業活動や営業マネジメントの問題解決をご一緒していますが、そこで話を聞いていると、どうやら今起こっている問題だけを見て、それをつぶそうと一生懸命になっている「モグラ叩き」型の問題解決が多いようです。「何が問題になっていて」「その原因として何が考えられ」「どういう種類の対策をとるのか」といったことが明確にされないまま具体的な対策の中身ばかりが議論されているため、何度も同じような問題(モグラ)が発生し、その対応に忙殺されてしまうのです。

特に多く見られるのが、どのような種類の対策を講じるのかを決めないままに、対策の中身を考えてしまうということ。その結果、原因に手を付けるものとそうでないものがまぜこぜになって議論されたりしているのです。

知ると知らないでは大違い。「対策」の5つの種類

それでは「対策」と呼ばれるものには、どういった種類があるのでしょうか。それを簡単にまとめたのが下の表です。

上の表はまず、問題の種類を「今発生している問題」と「これから発生する可能性のある問題(潜在的問題)」の2つに分けており、その上で対策の種類を「是正対策」「暫定対策」「適応対策」「予防対策」「緊急対策」の5つに分けています。

今発生している問題に対する3つの対策:「是正対策」「暫定対策」「適応対策」

まずは「今発生している問題」に対する3つの対策を、冒頭の「新商品が売れない」の例で見ていきましょう。

まずは「是正対策」から。是正対策は問題を引き起こす原因を取り除く対策です。
例えば、新商品が売れないという問題を引き起こした原因が「顧客の求める機能が弱い」である場合、「商品の機能を顧客の多くが満足するレベルまで改良しよう」というのが是正対策です。

次は、原因が分かるまで時間を稼ぎ、被害を最小にする「暫定対策」。
新商品が売れないという事実は分かっていても、その原因が分かるまでには時間がかかるものです。そのようなときに、「いったん新商品の提案件数を増やしてみてそこで顧客のNG理由をヒアリングしてこよう」といったものや、反対に「情報が入るまでいったん新規の提案をストップしよう」といったものがこれに当たります。

3つ目が「適応対策」で、原因を取り除けない場合に、被害を最小にする対策です。
売れない原因が「顧客の求める機能が弱い」だと分かったものの、商品の機能は変えられないということもよくあります。そのような場合は、「商品の機能のうちスポットライトの当て方を変えてターゲットや使い方を変える」という対策をとることになります。この適応対策の例としてよく知られているのは、3M社が開発した付箋です。これは、「接着剤にしては接着力が弱い」という機能の弱点を、「簡単に貼ったり剥がしたりできる」という別のメリットに置き換えて成功した事例です。

潜在的問題を解決するための「予防対策」「緊急対策」

残る「予防対策」と「緊急対策」は、今発生していないものの、これから発生する可能性がある「潜在的問題」についての対策です。ここでは、部署の予算達成に大きな影響を与える商談があり、この商談を落としてしまうことを潜在的問題として設定する場合を考えてみましょう。

例えば、「顧客のキーマンが異動したら、その商談を顧客社内で推進する人がいなくなる」ことが大きな商談を失う原因だと想定するなら、その原因そのものを除去するために「キーマンの上司や同僚を交えた説明会を開いて、その商談の内容を共有する」などの打ち手が考えられます。これが「予防対策」です。

色々と予防対策を尽くしたにも関わらず、商談を失注してしまったときでも被害を最小限にしようというのが「緊急対策」です。「別の商談を並行して探っておく」「来期売上予定の商談のうち一部を早めに売上られないかを相談する」といったものがこれに当たります。

対策の「質」は「問題」と「原因」の設定の仕方に左右される

ここまで2つの種類の問題と、5つの種類の対策をご紹介してきました。1つの問題であっても対策には複数の種類が存在し、それらを組み合わせて考えることで、いろいろな打ち手を考えられるようになるということがお分かりいただけたと思います。

ここで当たり前なのですが、とても大事なポイントをご紹介します。それは「何を問題とし、何を原因とするかによって、考えられる対策は大きく変わってくる」というものです。

予防対策と緊急対策のところで出てきた「部署の予算達成に大きな影響を与える商談」の話も、「商談を失注する」よりも大局的な「予算が達成できない」を問題にすることもできますし、よりミクロな「顧客社内での推進者が不在になる」を問題にすることも可能です。しかし、前者の場合は原因が「大型商談の失注」となるので予防対策がざっくりとしたものになってしまいますし、後者の場合は原因が「顧客キーマンの異動」となって予防対策の打ちようがなくなってしまいます。ちょうどよい対策を考えられるかどうかは、問題と原因の設定の仕方によって大きく異なってくるものであり、シェイクスピア風に言うならば「何が問題か、それが問題だ」ということなのです。

自分にとっての問題解決のバイブルを手に入れよう

ちょうどよい問題と原因の設定の仕方ができるようになるためには、日常のいろいろなケースで実際に問題解決に取り組む実践経験が欠かせません。その実践経験を重ねていくうえでぜひ手元に置いておきたいのが、自分にとってバイブルとなる問題解決のテキストです。世の中には問題解決に関する書籍がいくつも出版されています。その中で、ワークシートがそろっていたり、体系的かつ事例が豊富に説明されているようなお好みの書籍を手に入れておくと、問題解決スキル向上にきっと役立つことでしょう。

ちなみに、今回のトライツブログで説明した用語や考え方は、「問題解決と意思決定のツールボックス」(ウイリアム・J・アルティエ、2000年、東洋経済新報社)から引用しています。廃版になって久しいのですが、バイブルとして自信をもってお勧めできる本です。たまに古本で見かけることがありますので、ご興味がありましたら手に取ってみてください。

そして、もしわからないことがありましたらお気軽にご相談ください。また、自社の営業に問題解決力をつけさせたい!とお考えの場合、それぞれの企業に合った研修メニューの設計から実施まで行っています。ご興味のある方は下記よりお問い合わせください。