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新型コロナウイルスの影響により、多くの企業でリモートワークが推奨された結果、これまで以上にWeb会議を多用するようになったという声をお聞きします。

そして、我々もいくつかのクライアントから顧客との間でのWeb会議やオンライン営業の進め方について相談を受けており、2018年に掲載したトライツブログ「ちょっとした工夫で活性化!Web会議の有効活用術」の閲覧数やコピーされる頻度も上がっていることからWeb会議への関心が高まっていることがうかがえます。

そこで今回のトライツブログでは以前掲載した「ちょっとした工夫で活性化!Web会議の有効活用術」をアップデートしてご紹介しようと思います。

導入が加速しつつあるWeb会議システム

離れた場所をつないで会議を行うと言えば、以前は専用の機器が必要なテレビ会議が一般的でした。しかし、ここ数年パソコンにシステムをインストールすればすぐに始められ、様々な場所や用途で活用できるWeb会議を導入する企業が増えています。

営業部門においても、本社スタッフ、工場や開発メンバーとの打ち合わせにWeb会議を活用しているという話を伺いますし、ベルフェイスに代表されるオンライン商談システムの広がりもあり、遠隔地にある顧客に対する営業活動にも積極的にWeb会議を活用する企業が増えてきました。

さらに、2020年2月から厚生労働省が中小企業を対象に新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規導入する企業に助成金を支給する「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」を創設したり、シスコシステムズやベルフェイスが期間限定でWeb会議システムを無償提供しているので、広まりつつあったWeb会議の導入が加速するのではないでしょうか。

Web会議とは、五感の一部を封じたコミュニケーション手段である

もしあなたが水中メガネをして、耳栓と首にコルセットを付けて明日の会議に参加したらどうなるでしょうか。きっと見えるところは限られているし、声は聞き取りにくいし、とてもストレスを感じることになるはずです。

Web会議はこれと似たようなところがあります。伝達される情報が限られているために、好きではないという人も少なくないと思いますが、わざわざ時間を掛けて移動する必要がないのは大きなメリット。ではもっと上手く使って、効率的にコミュニケーションをはかるためには何がポイントになるのでしょうか。

我々も時々、クライアントの中で開催されるWeb会議に参加することがあります。そんな中で「ここは上手いな」「もうちょっと工夫した方がいいな」と感じることがあります。そのような経験から考える、「Web会議のコツ」をご紹介しましょう。

Face to Faceの会議より2割テンション高めで

まず上手くいっているWeb会議は、とにかく雰囲気が明るいです。内容的に暗くなりがちな厳しい話題であっても、参加者のテンションが高く、積極的な姿勢が伝わってきます。そこには参加者全員が「伝わりにくいコミュニケーション手段である」ということを認識し、いつもよりテンション高めで参加することが習慣化しているように思います。

そのような様子を見ていると、役者さんがカメラの前でなく広い舞台で演じる際、演技や声がメリハリの利いたものでないと観客に伝わりにくいのと同じで、まずWeb会議を上手く進めるためには、参加者がいつもより2割位はテンション高めで!というのが基本なのだとわかります。

そのテンション高めをリードするのは、ファシリテーターです。ファシリテーターが暗い感じで始めてしまうと、ずっとその会議はテンション低いままになってしまいますし、明るく元気にスタートすると、それに全体が引っ張られ、テンション高く進んでいくように思います。

また、上手いファシリテーターはスタート時点で全員に何か発言してもらう機会を作ったり、参加者の状況を意識しながら発言のない人の名前を呼んで意見を求めたりと、積極的な姿勢と緊張感を維持しながら会議が進むように働きかけています。

目は口ほどにものを言う

また、自分がテンションを上げ、単なる情報共有の場でなく参加者全員にとって価値のある時間にしようとファシリテーションに挑んだら、もっと参加者の様子を知りたくなるはずです。

しかし、そのためにカメラで全員の顔を映そうとすると、自分の顔が映るのは恥ずかしいと嫌がる人や、そこまでしなくても声で十分という声も出るのではないでしょうか。実はこれがWeb会議に対するリテラシーの低さを表しています。社内にWeb会議のシステムを導入する際に、Web会議のしっかりとしたやり方を誰も教えず、「こうやれば顔も映せるので表情がわかります」というように機能の解説しかしていないので、その価値、重要性がわかっていないのです。

これに対し、上手く使っている会社はその重要性が全員で共有されていて、多少面倒であっても必ず顔を映すようにしますし、参加者の名前の横に出る「プロフィール画像」にもしっかりと本人の顔が入っています。だから、Web会議の画面が賑やかですし、参加者の雰囲気が伝わってきやすくなっています。

また、科学的な分析にもとづいて会議の生産性向上ノウハウをまとめた書籍「スーパー・ミーティング」(スティーヴン・G・ロゲルバーグ著・サンマーク出版)でも「音声だけで出席する電話会議は『社会的手抜き』と『コミュニケーションの難しさ』という問題がある」と指摘されており、メンバーそれぞれの姿が見えるWeb会議の活用を推奨しています。すなわち、メンバーの顔や姿を映さないWeb会議では意味がないと言うことです。

“目は口ほどにものを言う”と言う通り、表情は多くの情報を伝えます。それを伝える機能があるにも関わらず使わないというのはまさに“宝の持ち腐れ”なのです。

議事メモを書いていくことで、ディスカッションが活性化する

また、PowerPointやExcelの資料やホワイトボードの写真などを資料として共有しながら話を進めることが多いと思いますが、そこで話した内容や決定事項は後で議事録作成係の人がまとめ、参加者にメールで送付するというルールになっていることが多いのではないでしょうか。

これもWeb会議をつまらなくしている習慣の一つです。とりあえずお互いに持っている情報を共有し、意見交換するだけで、何が決まったのか、これからどうしていくかなどその場で明文化して共有できていないので、「~ができた」とか「~を決めることができた」というような達成感を共有することがしにくいのです。

そこでオススメは議事メモをその場で書き、それを常に画面上で共有しながら進めていくことです。Web会議のシステムには「メモ」などというテキストを共有できる機能があったり、あるいはメモ帳などのアプリを画面の一部に表示することで、それは簡単に実現できるはずです。

議事メモの作成係が、あいまいなことも「~と書いておきますが、よろしいですか」とか「結論はどうまとめておきましょうか?」などと確認していけば、皆でどんどん意思決定していっていることが見える化できますし、最後にファシリテーターが全体を振り返ることにも活用できます。

冷たい感じで進んでいきがちなWeb会議ですが、議論の「見える化」をすることでクリエイティブな雰囲気を作ることができるのです。

危機をチャンスに!Web会議の有効活用を考えていこう

すでに多くの企業で日常的に使うツールとなっており、さらに導入が加速しているWeb会議。五感の一部が封じられてしまうという問題はありますが、コミュニケーションの効率化のためには不可欠なものになっていくはずです。

前回のトライツブログでは「アフター・コロナ」の働き方についてご紹介しました。この新型コロナウイルスという危機をチャンスに変えて、まだWeb会議を導入していない企業は助成金や無償提供を活用しながら賢く導入し、すでに導入している企業は自社のWeb会議のシステムが持つ機能を改めて見直したり、ルールを決めたりして、より良い活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。

トライツコンサルティングではデジタルツールを活用した営業の働き方改革・生産性向上を支援しています。また、Web会議を活用した社内外との会議の進め方、営業活動の方法についても研究しています。「新しいテクノロジーを営業に導入したい」「社内外とのコミュニケーションを円滑に進めたい」とお考えの方はぜひご相談ください。