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3月10日に拙著「ビジュアル思考×EXCELで営業の成果を上げる本」が刊行されました。「ビジュアル思考」という考え方を元に、EXCELを使って営業を改革しようという内容です。
この本でのEXCELは、ビジネスの「インフラ」という位置付けになっています。改めて考えてみると、EXCELほど社内だけでなく、顧客においても当たり前に使っているアプリケーションはありません。誰もが使えるビジネスの基盤となっているものなので、敢えて「ツール」でなく、「インフラ」としているのです。
今回のトライツブログでは、このようなEXCELだけでなく、B2B営業・マーケティングの世界における「インフラ」の大きな変化について考えてみたいと思います。
SFA・MAがビジネス・インフラになってきた
B2B営業・マーケティングの世界では、今や空前のSFA・MA(マーケティングオートメーション:デジタルマーケティングの自動化・効率化システム)ブームが起きています。私が知っている大手企業では昨年ごろから続々とSalesforceに代表されるSFAの導入が進んでいますし、MAの検討を始めている企業も複数あります。
これらの企業に共通しているのは、基本的にそれらのシステムを自分達がやりたいことを実現するために不可欠な基盤(インフラ)として捉えているということです。
昔、携帯電話が普及し始めた当初、営業担当者に携帯電話を持たせるかということが議論の対象になりました。PCも同じです。しかし、今や携帯電話を持っていない営業担当者はいません。PCも一人一台は当たり前になりましたし、EXCELが使える環境も整っています。それらはいつの間にか当たり前のビジネス・インフラになったのです。
そしてSFAが登場してもうかれこれ20年近く経過しますが、スマホの普及やMAとの連携ができるようになってきて、やっとインフラとしてのポジションができてきたように感じています。これはとても大きな変化です。
今の仕事のやり方を前提にSFA・MAの必要性を議論していないか?
しかし、まだまだ多くの企業ではこのSFAやMAなどのツールが「自社に必要か?」という議論がなされています。そこでテーマになっているのは、今の仕事をしていく上で、「必要なツールか?」ということのように思います。
従って、「EXCELで十分ではないか」とか、「わざわざ入力せずに集まって話した方が効率的ではないか」というような意見が出てなかなか決まりません。ただ、それはあくまでも今の体制で今の仕事のやり方を続けていることが前提になっています。携帯電話が普及し始めた時に、「事務所には内勤のスタッフがいつもいるし、お客さんも携帯電話は持っていないので、持つ必要はないよね」と言っていたのと同じです。でも、時代と共に内勤のスタッフがいなくなり、お客さんは全員携帯を持っているようになりました。仕事の環境が変わったのです。
それと同じような大きな変化が訪れようとしています。セールスとマーケティングの垣根がなくなり、Webとリアルな営業の連携も不可欠になってきています。そんな中では、SFAやMAをインフラとして活用した新しいスタイルの営業を確立していかなければなりません。そうでないと顧客に相手にされない時代が訪れようとしているのです。
必要か?ではなく、どう使って、どう営業するかを議論しよう
これまで営業の世界でやりたいことを実現するためのインフラとしての役割を担ってきたのがEXCELであり、会議やワークショップ、プロジェクトなどという社内の人の集まりです。これらは多少非効率であっても、直接的にお金が出て行くことがありませんから、ある意味やりたい放題でした。トップが見たい数字を作るために、EXCEL上で皆が手作業で時間を費やしていても、情報共有のためだけに沢山の人件費と交通費が費やされていても、大きく問題視されることはなかったのです。
しかし、Webで顧客とつながることで状況は大きく変わってきています。EXCELを駆使しても、社内で人が集まってもできないところで、顧客の購買が左右される時代になってきたのです。まさにインフラがないと最適な営業ができないようになってきたということです。
そうなると「必要か?」という議論はもはやナンセンスで、あることを前提にして「どう使って、どう営業するか」ということをさっさと考えていかねばならないということになります。
もし、今あなたの会社でSFAやMAが必要か?という議論をしていたとしたら、ぜひそれをさっさと止めて、それを使ってどんな営業をするかということを話し合うべきでしょう。また、それを導入すればいくら儲かるかという議論もあまり意味がありません。携帯電話を導入したら、いくら儲かるかということを話すのと同じだからです。これからのビジネスに不可欠なインフラを失敗することなく導入するためには誰をパートナーにして、どう進めればいいかを検討するべきです。
今あるインフラももっと工夫し、来るべき日に備えよう
また、そんな議論を進めながらも、片方では既存のインフラをもっと有効に活用し、より効果的な営業手法、よりわかりやすくて成果につながるマネジメントを模索することも大切なことです。
今回、改めてEXCELの本をまとめてみて感じたのは、「まだまだEXCELにも可能性がある」ということでした。この汎用的なツールをもう少し工夫し、上手く活用することで、SFAやMAが導入された際にも活かせるノウハウがいろいろ得られるはずです。
携帯電話が職場に導入された時、きっとあなたは使っているシーンをイメージして「これでいろいろ便利になるな」と思われたはずです。それと同じようにSFAやMAがインフラとしてあなたの職場に導入された時、「こんな使い方がしたい」とイメージできるようになるためにも、身近なEXCELの使い方から今一度見直してみてはと思います。
来るべき日は目の前まで来ています。その日に向けて備えを始めようではありませんか。
そのヒントを得たい方はぜひ拙著「ビジュアル思考✕EXCELで営業の成果を上げる本」をご覧ください(笑)
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