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人工知能を持ったロボットが人間をサポートしながら、共生する。子どものころにアイザック・アシモフや星新一などの科学SFを読みながら、未来の世界について思いを馳せた方も多いのではないでしょうか。そのようなSFの世界が、B2B営業でも現実のものになりつつあるようです。

今回のトライツブログでは、B2B営業で導入が始まりつつある「ロボット」についてご紹介します。

「購買のオンライン化」と「商談の前工程の長期化」が進むB2B営業

ロボットの話に入る前に、今のB2B営業を取り巻く環境を手短に確認しておきましょう。

これまでトライツブログでも紹介してきたように、B2B顧客の購買活動のオンライン化はとどまるところを知りません。最近発表された統計データをいくつか見てみましょう。

  • B2B購買担当者の89%は購入する企業を選定するためにインターネットの情報を使用している(Millward Brown Digital)
  • B2B購買担当者の59%は調査の初期段階で営業担当者に会うのではなく、オンラインで調査することを望んでいる(Forrester Research)
  • 2018年までにB2B購買活動の50%は、営業担当者を介在せずにオンラインのみでおこなわれる(Forbes)

そしてこのような購買活動のオンライン化に伴って、見込み客から商談を発掘するまでの前工程の期間が長くなっています。これについてBright Funnel社が実施した調査結果をいくつかご紹介します。

  • 受注までに必要な顧客接点の数は、2014年と比べて52%も増えている
  • 受注までの顧客接点のうち、商談発掘までが53%を、商談発掘以降が47%を占める
  • 見込み客が売上に至るまでの平均期間は2014年と比べて32%も増えている
  • 見込み客が売上に至るまでの期間は平均して512日で、そのうち商談発掘以降のセールスサイクルと言われる期間は108日、つまり商談の前工程に400日以上かかっている

これらの調査結果から言えるのは、顧客は営業担当者に会わずにオンラインで調べものをしようとしており、商談化までの前工程に馬鹿にできない期間と手間が必要になっている、ということです。

手間と時間のかかる営業初期を手助けする?ボットの登場

このような結果を受けて、アメリカの大手調査会社であるForrester Research社のSteven Casey氏がDemand Gen Reportで以下のようなコメントをしています。

顧客の購買体験の初期段階からそれを生身の営業担当者に手渡すまでの間、ボットが見込み客に対応できるようになることでしょう。興味関心を持っているかもしれないが、企業や商品・サービスのことを良く知らない顧客に対してボットは情報提供を手助けし、それを通じて見込み客を商談化済み顧客へと変えることができる。

ここで言う「ボット」こそがB2B営業を支援するロボットです。では、このボットというものが何者なのか、簡単に確認しておきましょう。

B2Cで実用化が進むチャットボット

ボットとはロボットを略したものです。特にオンラインでタスクを自動的に実行することに使われています。例えば、皆さんがお使いのGoogleやYahoo!などの検索エンジンは、インターネット上のさまざまなWebページを高速で巡回しながらデータベース情報を作成しているので、私たちが入力したキーワードに関係するページを表示できます。このボットはクローラと呼ばれています。他にも、Twitterを利用している方は、有名人の発言や名言を自動的に(一日に何度も)つぶやいているボットを見たこともあるでしょう。

このような一方通行型で単純作業をこなすボットに人工知能の技術を反映させることで、まるで人間同士が会話しているような対話サービスが可能になります。これは「チャットボット」(ChatBot)と呼ばれ、最近実用化が進んでいます。Forrester ResearchのCasey氏が言っているボットはこのチャットボットのことです。

現在このチャットボットは主にB2Cのお客様サポートで使用されています。日本でもWOWOWのオンラインサポートや、オフィス通販大手のアスクルが手掛ける個人向け通販のLOHACOのお客様サポートは、チャットボットで運用されています。

チャットボット活用でB2B営業はどう変わる?

このチャットボットをB2B営業で活用することで、営業担当者に会いたがらず、商談化するまでに手間や時間のかかる見込み客のフォローを自動的・効率的にできるようになる。そのようにCasey氏は言うのです。自社のWebサイトに来た見込み客の疑問に答え、自社商品・サービスの情報を提供しながら顧客情報を蓄積する。これを続けて商談化するタイミングで生身の営業担当者に顧客・商談をバトンタッチする。そのような営業支援ロボットの活用がB2Bの世界でも始まっています。先ほどのDemand Gen Reportでは実際にB2B営業でチャットボットを活用して、営業担当者を増やさずに顧客のエンゲージメントレベル(ロイヤルティ)を倍増させたCoolfront Technology社の事例を紹介しています。

このようなチャットボットが営業部門に導入されたら、どのように活用されるのでしょうか。

辛くて厳しい新規開拓もチャットボットで楽になる?

例えば、新規顧客の開拓をする場合、新規にテレアポをするのは大変ですし、当たるも八卦当たらぬも八卦の顧客リストをもらっても困ってしまいます。そのようなリストに対して仕掛けたとしても、手間が掛かる上に商談化の確率は低いので労多くして得るものが少なくなってしまいます。

その代わりに、顧客の購買活動のオンライン化という傾向に合わせ、Webマーケティングで見込み客を集めて、チャットボットなどを活用して情報提供しながら育成するという新しいタイプの新規開拓が可能になります。この場合は営業担当者にとってストレスのかかる新規向けのテレアポはありませんし、なかなか商談化しない見込み客への対応もチャットボットが自動的にこなしてくれるので、数字が足りない営業担当者が焦って無理やり商談化してしまうといったこともなくなります。営業担当者は購買意欲がある程度高まった顧客に対してのみ商談をすればよい、新規開拓で苦心している営業担当者にとって、そんなSFのような世界がすぐそばに来ているのです。

「ボット」「チャットボット」はこれから要チェック!

現在、B2B企業向けにFacebookやSalesforce、Conversicaなどの企業が続々とチャットボット機能をリリースしています。各社ともB2Bでは英語対応が中心ですが、近い将来日本のB2B営業でもチャットボットの活用例を目にすることになるでしょう。今後のB2B営業を一変してしまう可能性のある「ボット」「チャットボット」。トライツブログでも継続してチェックしていきたいと思います。

参考:Demand Gen Report「Are Bots The Next Generation Of B2B Marketing Employees?

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今回のトライツブログでご紹介したチャットボット以外にも、RPAの進化に伴いロボットが業務の中に入り込むようになってきました。このような現在では、「どの業務を生身の人間である営業担当者がやるべきで、どの業務を自動化できるか」ということを考えていかなくてはなりません。トライツコンサルティングは、数多くの企業と営業の業務プロセスの再構築と標準化に取り組んでいます。「Web化/ロボット化している現在に合わせた営業プロセスを再構築したい」という方は、下記よりお気軽にご相談ください。