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最近のアメリカの営業のキーワードの1つに「営業開発(Sales Development )」というものがあります。

今回のトライツブログでは、アメリカで進化を遂げている営業開発の実態と、日本における営業開発の今後の進展について考えてみましょう。

XeroxやSalesforceといった大手B2B企業をクライアントに持つ、アメリカの営業/マーケティング分野の調査会社TOPOが「The Sales Development Technology Report」というリサーチの結果を発表しました。このレポートでは、アメリカの営業開発部門(Sales Development Reps)におけるテクノロジー導入の傾向がまとめられていますので、ご紹介したいと思います。

アメリカのB2B営業の要!『営業開発』とは?

レポートの中身に入る前に、営業開発部門(Sales Development Reps)という言葉について簡単に説明します。日本で営業開発と言えば、技術営業のように営業活動をサポートする技術スタッフや、営業推進のように営業活動を後方から支援するスタッフのことがイメージされがちですが、ここではまったく別の意味です。

ここで言う営業開発部門とは、電話やメール/チャットなどを活用して見込み客から商談のアポイントを取り、営業担当者に商談をつなぐ部門のことです。別の表現で「インサイドセールス」という言葉が最近使われていますが、これとほぼ同じだと考えてよいでしょう。

アメリカでは、この営業開発部門(≒インサイドセールス)のパフォーマンスが非常に重視されています。この部門が見込み客とのコンタクトの「質」と「量」を向上させることが、B2B営業の成功のカギとなっているのです。

拡大と進化を遂げるアメリカの営業開発用アプリケーション

営業開発部門の役割とその重要性を踏まえて、「The Sales Development Technology Report」の内容を見てみましょう。

まずこのレポートによると、高い成長率を誇る販売開発部門では、営業に特化したEメール用アプリや電話発信用アプリなどの営業開発用のアプリケーションを、平均して5つも利用しています。そして、テクノロジー導入の勢いは衰えず、72.4%の企業が2015年内に新しいテクノロジーの導入を予定しています。

このように多数のアプリケーションが必要になる利用として、ビジネスの場におけるSNS活用の広がりが挙げられます。ビジネス用SNSとしてアメリカで普及しているLinkedInがCRMソフトやEメール用のアプリとまだ統合されていないため、営業担当者と共有できる見込み客データを作るのに多数のアプリケーションが必要となっているのです。このため、営業開発用アプリケーションという分野でのマーケットシェアを高めようとしているベンダーの中には、乱立しているアプリケーションを自社のプラットフォームにまとめようという動きも出始めています。

また、見込み客とのコンタクトの「量」と「質」を向上させるために、それぞれのアプリの進化も進んでいます。「量」の向上のためには自動でメール送信や電話発信をおこなうオートメーション機能が、「質」の向上のためには施策の効果を予想・解析できるインテリジェンス機能が、欠かせないものとなっている、とレポートではまとめています。

なぜ日本では『Sales Development 』の浸透が遅れているのか

このように盛り上がりを見せているアメリカの営業開発部門ですが、日本では「インサイドセールス」という言葉が知られるようになってきたばかりで、まだまだ一般的なものではありません。その理由として、アメリカと日本のB2B営業のあり方の根本的な違いが挙げられます。

日本は代理店や卸などによるきめ細かいケアにより、見込み客とのコンタクトを維持しながら都度発生する商談を取りこぼさないように対応する「関係構築・維持型」の営業スタイルが、いまだに多くの業界で主流となっています。

これに対して、アメリカではSales Repsと呼ばれる営業担当者による「一本釣り」型の営業スタイルが中心です。そのために、よりよい見込み客を見つけるための手間を惜しまず、営業開発部門にさまざまな投資をおこなっている、というのが実態だと思われます。

変化している日本のB2B営業で、高まる『Sales Development 』の重要性

しかし、日本のB2B市場でも従来型の代理店網に頼らずに営業活動をおこなう事例が増えてきています。もちろんテクノロジーの進化により、潤沢な営業体制を持っていない売り手企業でも、簡単に数多くの売り手企業とコンタクトを取れるようになってきている、という技術的な変化もその一因です。

さらに、それ以上にインパクトが大きいのは、Webの進化により代理店や卸を経由せずに売り手が持っている情報を知ることができるようになった、という買い手の変化です。買い手企業からすると、直接売り手企業とコンタクトを取ることで入手する情報の質を向上できますし、購買活動全体のスピードアップも図ることができます。

このように購買活動および営業スタイルが変化しつつある日本のB2B営業では、買い手企業に直接コンタクトを取って商談を作り出す「Sales Development 」の重要性が今後高まっていくことが想定されます。

まずエンドユーザーと直接コンタクトを取る手段の探索から始めよう

とは言うものの、代理店や卸を活用した営業活動をおこなっている企業の場合、現状ではまだまだ買い手企業のことはよく分かっていないというのが実態ではないでしょうか。代理店や卸が間に入っているため、どのエンドユーザーが自社のどの商品をどれだけ買ってくれているのか分からない、という企業も多くみられます。

日本のB2B営業における「Sales Development 」の重要性は長い目で見て、確実に高まるものと思われます。事実、それに向けてB2B企業においてもWebページを活用し、今からエンドユーザーと直接コンタクトを取る手段を模索する動きが始まってきています。

Sales Development (営業開発)についてもっと知りたい、取り組んでみたいという方は、下記よりお気軽にトライツコンサルティングにご相談ください。トライツコンサルティングでは、それぞれの企業に合わせた営業戦略の策定を支援しています。