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これまでにも取り上げてきたテーマですが、Webの浸透によって企業のビジネスのあり方が大きく変わってきています。

今回のトライツブログでは、戦略コンサルティングファーム・アクセンチュアの子会社であるAcquity Groupが実施した、B2B企業の購買調査レポート(Uncovering the Shifting Landscape inB2B Commerce|ACQUITY GROUP)の驚くべき結果をご紹介します。

調査結果1:自分のペースで購買したい購買担当者

最初に紹介する調査結果は、どのように購買を進めたいのかという質問に対するものです。

購買の検討・決定の段階で「実際に営業担当者と顔を合わせたい」と考えている購買担当者の割合は、わずか12%。購買に関する情報収集や意思決定は自分ひとりで行いたい、営業担当者とは必要なときに電話やチャットで連絡が取れればそれで十分だと考えている回答者がなんと71%にも上ることが分かりました。

また、回答者のうち11%は、購買プロセスをオンラインで完結させたい、営業担当者はまったく要らないと答えています。

調査結果2:増えるオンライン購買の支出額

次にご紹介する調査結果は、オンライン購買の支出額です。

2013年度にオンラインで購買を行っていると答えた購買担当者は全体の57%だったのに対して、2014年度では68%に増加。約半数(46%)の購買担当者は、購買予算の半分以上をオンラインで消費しています。そして、18%の企業は、購買予算の90%以上をオンラインで消費しているとのこと。

そして、購買支出におけるオンライン比率の上昇傾向は今後も続く見込みです。回答者の46%は、次年度の購買予算のうちオンラインでの支出を増やすと回答しています。

止められない購買のオンライン化

これらのデータから言えるのは、
「オンラインでの購買がさらに増えていく」
「購買担当者は、営業担当者に会いたいとは思っていない」
ということ。打合せの時間をできるだけ取らないようにして仕事を効率化したいなど、理由は人それぞれでしょうが、購買担当者の多くはできるだけ営業担当者に会わずに自分のペースで情報収集し、商品・サービスを購入したいと考えているのです。

もちろん、アメリカと日本という文化や風土の違いはありますが、Webを探せば必要な情報がすぐに見つかるという環境を活かしてB2Bの購買担当者がよりオンラインで購買を済ませようとする、という傾向は日本でも同じでしょうし、この流れを止めることは難しいでしょう。

日本では1995年から2010年までの15年間で、IT化の影響を受けて会計業務の担当者が100万人減少しています。この次は営業職だと言われており、実際に「これからなくなる仕事」として営業が挙げられている記事や書籍が数多くあります。

情報提供型営業から脱却し、Webでは代替できない営業に!

ただし、これらの結果から「営業という仕事がなくなる」「営業のお先は真っ暗だ」と悲嘆する必要はありません。あくまでも今回の調査結果は、「今の営業であるならばWebで十分だ」と企業の購買担当者が考えている、と捉えるべきなのです。

これまでの営業の機能の多くは、商品・サービスの機能や実績、価格、納期などの情報を顧客に提供する「情報提供型」でした。そのため、プレゼンテーションのロールプレイや、商品説明用のツールに商品デモ動画など、これまでの営業研修や営業施策のほとんどが情報提供力を強化するためのものになっています。

情報提供という機能で考えると、確かにいちいち営業担当者と会って話をするよりも、Webを使うほうがはるかに効率的でしょう。これからの時代で営業として生き残るためには、Webではできないことをやり、顧客に会いたいと思われる営業に変わる必要があります。次の15年で、営業がかつての会計のように激減する仕事になってしまうのか。それは、これからの営業のあり方・機能をどうつくっていくかに懸かっているのです。