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B2B企業が見込み客に対して的確な営業をするためには、相手がどのような状況なのかを正しく理解することが大切です。今回は、見込み客の状況を4つのステージに分け、それぞれのステージで求められる営業の役割について一緒に考えてみましょう。

B2B見込み客の4つのステージ

ステージ1.無関心と拒絶

B2B見込み客は基本的にここからスタートします。そもそも問題意識がないので、商品・サービスに対しては無関心であり、営業担当者から売り込まれることに対して拒絶反応を示します。そのような相手に自社の商品の特徴を一生懸命に説明しても心の扉は開かず、態度をかたくなにさせてしまうだけ。重要なことは相手の「気を引く」ことです。顧客がどんなことに関心を持っていそうか、どんなことに悩んでいそうかなどをしっかり考え、そこに応えられるような情報発信をしていきましょう。自分が顧客だったら、こんな情報がもらえたら嬉しいだろうな・・・と思えるものにこだわって準備することがポイントです。

ステージ2.関心と躊躇

自社の商品やサービスに関心はあるものの、まだ購入しようという気持ちになっていない状況です。興味を持ってもらえているので、営業担当者はついつい売り込んでしまいがち。しかし、営業担当者が説明をすればするほど、相手の中で気になる要素がどんどん増えていってしまいます。このステージでは一方的に売り込むのではなく、相手の課題や考えをじっくりと聴いて相手に「共感する」ことを心がけましょう。自分が悩んでいることを理解してもらえた、共感してもらえたと思えると、話がすんなりと入ってきますし、営業からの提案も受け入れやすくなるものです。見込み客との「共感」をベースにして、相手が躊躇している原因を一つひとつ取り除きながら、「関心」を「確信」へと変えていきましょう。

ステージ3.選択

自社の商品やサービスに興味をもっているものの、本当にそれが最適なのか、見込み客が他社の商品・サービスと比較検討しているステージです。どうしても自社の商品やサービスを買ってもらうんだと、営業が相手を論破しようとしてしまいがちですが、ここで大事なのは相手が納得して自社を選択しているという状態をつくること。そのためには、見込み客からの質問や意見に対して、客観性を保ちながら「相談に乗る」ことが大事です。見込み客が自ら選択できるようにと、真摯な姿勢で相談に乗ってくれることで自社への信頼感も高まることでしょう。

ステージ4.意思決定

見込客の担当者は自社の商品・サービスの購入を前向きに考えており、相手の社内で意思決定されれば購入してもらえるというステージです。しかし、残念ながらここで社内での意思決定は相手の仕事だと考え、任せっぱなしにしてしまうケースが少なくありません。こうしてしまうと、意思決定に時間が掛かるばかりでなく、場合によっては営業が気づかないうちに見送りになっていたということも。このステージでは、必要な資料を準備したり見込客の決裁者への説明の場を設けるなど、相手が意思決定するのを積極的に「後押しする」ことが重要です。

ステージに合わせて使い分けたい!営業の「4つの役割」

このように見込み客を4つのステージで区分けすると、営業も各ステージごとに

  1. 「気を引く」
  2. 「共感する」
  3. 「相談に乗る」
  4. 「後押しする」

という4つの役割を果たすことが重要であるということがわかります。
営業の役割とは「売り込み」だと言われますが、デキる営業担当者の「売り込み」はこの4つをうまく使い分けています。逆に売れない営業担当者は自分のペースで一方的に押し込んでいることが多いのです。従って、この4つのステージの考え方を知り、自身の役割の使い分けを学ぶことで、メリハリの効いた営業活動ができるようになります。
ちなみに我々が営業現場での実践支援を行う中で、全体的に「共感する」と「後押しする」の2つの役割が不十分なケースが多いと感じています。これは顧客の話を十分に聞けていないまま話を進めてしまったり、商談がある程度まで進んでしまうと相手任せにしてしまうということなので、そこを補う策を講じることで、パフォーマンスが大きく改善するのです。

また、営業担当者それぞれを見ていくと、人によって4つの役割の得手不得手があるのも事実です。そこでうまく組み合わせてチームで顧客対応をすることで、難しい顧客対応に成功することもあります。そして営業ツールにおいても出来の悪い営業ツールは言いたいことが詰め込んであるだけですが、4つのどの役割を果たすことを支援するのか狙いを明確にすることで、とても使い易いものに改良することができます。

見込み客の4つのステージとそれに合わせた営業の役割。とてもシンプルなものですが、このようにいろいろな場面で気付きを与えてくれます。ぜひ活用してみてください。