営業戦略

顧客が直面する『購買改革』のカギはテクノロジー

顧客が直面する『購買改革』のカギはテクノロジー

前回のトライツニュースでは、「購買担当者がAIに変わる?営業が乗り越えるべき購買AI化の波」というタイトルでB2B企業の購買部門に押し寄せている購買のAI化という大きな潮流について見てきました。そこでは、近年話題のAI化は私たちのような営業部門だけでなく、その対岸の購買部門の仕事のあり方にも大きな影響を及ぼしつつあることが分かってきました。

今回のトライツニュースは「B2B企業の購買部門の変化」第2弾として、「B2B企業の購買部門に求められる購買改革」について見ていきたいと思います。顧客の購買部門には何が求められていて、どのように変化しようとしているのか、そして営業はそれに対してどのように対応していけばよいのかを確認していきましょう。

調査レポート①:購買部門に求められるのは業務成果の効果的なアピール

米国のボストンに本社を構えるArdent Partners社は企業の購買・調達部門を専門とする調査・コンサルティングサービス企業です。同社が毎年定期的に刊行しているレポート「CPO Rising」の最新版「CPO Rising 2018 The Age of Intelligence」が最近発表されました。レポートではB2B企業の購買部門や購買トップ(CPOはChief Procurement Officerの略)にとっての課題や、今後の打ち手について丁寧に記述されています。お時間のある方は原典をお読みいただきたいのですが、48ページと大部なので内容を抜粋してご紹介します。

購買トップに求められる業務の範囲や有効性は様々であるものの、自分たちのチームの成果を効果的にアピールできるようになることが、多くの購買トップにとっての課題となっていることが明らかです。2018年の調査結果では、コスト削減など現実に成果を出すこと(32%)よりも、成果を分かりやすく伝えること(34%)の方を購買トップは求められていることが分かりました。

このように購買部門には、業務の成果を経営層やユーザ部門などのステークホルダーに分かりやすく伝えられるようになることが求められています。では、そのように業務のレベルを高めるために、購買部門は何をしようとしているのでしょうか。

調査レポート②:最優先の戦略は「データの分析・見える化能力の向上」

業務自動化ツールやクラウドアプリ、モバイルサービスにIoTなどのインターネット接続機器に、ビッグデータの浸透などによって、毎年これまで以上に多くのデータが生成されています。その結果、世界はますますデータ駆動型に変わってきており、世界中の企業がそれを活用する機会を得ています。この傾向には過半数(53%)の購買トップも同意しており、この調査が始まって以来初めて、「データの見える化と分析能力の向上」が購買部門のパフォーマンスを高めるための戦略の中でトップにランキングされています。

 

調達業界における最大の進歩の1つが、高度な分析で分散した様々なデータをインテリジェンスへと変換し、そのインテリジェンスを企業価値に変えることです。調査結果によると、購買トップのうち3人に1人(33%)が「高度な分析技術の活用」を今後の最優先の事業機会だと捉えています。

調査レポート③:インテリジェントな購買への改革のカギは最新のテクノロジー

どうやら、購買部門では「データの分析・見える化」が大きなテーマになっているようです。レポートではデータを活用して迅速かつ客観的に意思決定できるようになることを「インテリジェントな購買」と呼んでおり、インテリジェントな購買部門に進化するために購買業務の要素である人(スキル)、プロセス、システムのそれぞれで業務改革に着手すべきだと述べ、具体的な施策として以下のものを列記しています。

✓先手対応型で迅速な業務プロセスの構築
✓AIなど次世代技術への積極的な投資
✓業務管理指標の設計
✓サプライチェーンを統合した業務改善
✓データサインエス技術を持つメンバーの育成/採用
✓コア業務の自動化技術への投資
✓既存業務システムの能力向上/リプレース
✓デジタル改革のロードマップ作成と着手
✓IT部門と連携し、AIや機械学習等の新技術のチェック
✓ビッグデータを活用する業務改革の計画づくり

上記の施策を見ていると、ビッグデータに自動化、AIなどテクノロジーに関するものが数多く挙げられています。B2Bの購買部門では、最新のテクノロジーを取り入れてスピーディかつデータに基づいた客観的な意思決定ができるようになることが重要視されていることが良く分かるレポートであると私は思います。

顧客の購買改革についていくために、カギとなるのは「テクノロジー理解力」

AIやビッグデータといったテクノロジーの進化により、営業部門のみならず購買部門でもビジネスのあり方が大きく変わりつつあります。日本の営業においてAIや高度なデータ分析、自動化のテクノロジーがSFAやMAといった業務システムを通じて浸透してきたように、これらのテクノロジーは購買・調達を電子化するeProcurementやeSourcing等の購買システムに組み込まれて日本の購買部門にもいずれ広がってくることでしょう。

そのように顧客の購買部門がテクノロジーを軸として業務改革をしようとする中では、営業に求められるスキルは従来の「自社商品・サービスの理解力」「顧客の課題解決力」だけでは不十分です。顧客がどのような業務改革に取り組もうとしているのか、その話についていくためにAIやビッグデータ、自動化(RPA)などの「テクノロジーの理解力」を身に付けておく必要があります。それぞれのテクノロジーの細部まで知る必要はありませんが、顧客の購買部門はどんな目的でどのようなテクノロジーを導入しようとしているのか、そのテクノロジーを使うに当たってどのようなデータをもとにどのような処理がされるのか、営業としてはそれに対してどのように対応したらよいか、といったことが分かっていないと顧客の購買改革についていくことができずに声を掛けてもらえなくなってしまうということも十分に起こりうるのです。

これから来るであろう顧客の購買改革についていくために、また自分たちの営業のやり方をより良いものに変えるためにも、AIやビッグデータ、自動化(RPA)などのテクノロジーは現代のB2B営業における必修科目だと言えるでしょう。最新のテクノロジーを理解することは、決して外国の先進企業だけの課題ではなく、B2B営業に関わる人すべてにとっての課題となりつつあるのです。
これからもトライツニュースでは、営業や購買に関連する最新のテクノロジーを紹介していきますので、一緒に学んでいきましょう。

参考:「CPO Rising 2018 The Age of Intelligence」(Ardent Partners, Jul 10, 2018)

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
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