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「あの営業さんは、なんだか信頼できるんだよね」 

B2B営業において、そう言っていただける関係性を築くことは、何物にも代えがたい武器になります。実は、トップセールスと呼ばれる人々が共通して磨き上げているスキルがあります。それが、商談の成否を分ける「フォロー」の技術です。 

もしあなたが今、丁寧な連絡を心がけているのに「いまひとつ顧客との距離が縮まらない」と感じているなら、それは大きなチャンスかもしれません。「フォロー」という言葉を3つのステップに分解するだけで、顧客にとってのあなたの価値は劇的に進化します。 

そのヒントをくれるのが、ニューヨークの不動産業界で年間数十億ドル規模の取引を動かすトップセールス、ライアン・サーハント氏です。 

「マンハッタンの不動産王」に学ぶ営業の真髄 

Netflixのリアリティ番組『マンハッタンの不動産王』で、超高額物件を次々と成約させるサーハント氏の姿を目にした方も多いでしょう。彼の営業スタイルは華やかですが、その根底にあるのは驚くほど泥臭く、本質的な「基本動作」の積み重ねです。 

彼が著書『Sell It Like Serhant』の中で明かしている、B2B営業でも即座に応用できる「3つのフォロー」という考え方をご紹介します。 

「フォロー」を3つに分解してみる 

サーハント氏は、営業の「フォロー」を以下の3つに明確に定義しています。 

  1. フォローアップ: 商談中や検討中の見込客へ、適切な頻度で連絡を絶やさないこと
  2. フォロースルー: 「やります」と約束したことを、100%やり切ること
  3. フォローバック: 過去の顧客や、一度お断りされた(失注した)相手に改めて連絡すること 

日本語ではすべて「フォロー」と一括りにされがちですが、これらは全く別物です。多くの営業が1の「連絡(フォローアップ)」に終始する一方で、信頼を勝ち取るプロは2と3を徹底しています。 

顧客の社内評価を底上げする「フォロースルー」 

3つの中で最も強力、かつ見落とされがちなのが「フォロースルー」です。 

「言ったことをやる。シンプルだが、これだけで周囲に圧倒的な差をつけられる」
(サーハント氏) 

B2Bの商談において、目の前の担当者は常に「社内の目」を気にしています。上司や他部署を説得する際、担当者が最も避けたいのは、自分が推薦した営業が「頼りない」と思われることです。 

ここで、こんなシーンを想像してみてください。 

営業: 「今の課題に近い他社事例、週明けにまとめてお送りしますね!」 
顧客: 「ありがとうございます。火曜日の会議で共有したいので助かります」 

もしあなたが多忙に紛れ、資料を送ったのが「火曜の朝」だったとしたら? 顧客は資料を読み込む時間がなく、社内で恥をかいてしまうかもしれません。反対に、「月曜の午前中」に完璧な資料が届けば、顧客は準備万端で会議に臨め、社内で「良いパートナーを見つけた」と評価されます。 

このように、約束を守ることで積み重なる信頼を、サーハント氏は「信用通貨(信頼という形のない資本)」と呼んでいます。 

フォロースルーの具体例: 

  • 「確認します」と言った30分後に、まずは「確認中」の進捗を入れる 
  • 「金曜まで」という期限に対し、あえて「木曜」に提出して顧客に余裕を持たせる 
  • 商談で出た細かい質問への回答を、議事録と一緒にその日のうちに解消する 

フォロースルーは、単なる事務作業ではありません。顧客が社内で動きやすくなるための「信用通貨」をプレゼントする行為なのです。 

「失注」を「次回の予約」に変える「フォローバック」 

もう一つの秘策が、失注先への「フォローバック」です。 

多くの営業は、断られた瞬間に「縁がなかった」と連絡を止めてしまいます。しかし、B2Bにおいて「今のNO」は「永遠のNO」ではありません。 

例えば、他社製品を選んだ顧客が、数ヶ月後に「導入してみたけど、思っていたのと違う……」と後悔しているケースは少なくありません。そんな時、あなたからこんな連絡が届いたらどうでしょうか。 

「先日はご検討ありがとうございました。その後、導入されたプロジェクトは順調でしょうか? もし何かお困りごとや、壁打ち相手が必要な際などは、いつでもお気軽にお声がけくださいね」 

この一言があるだけで、顧客にとってあなたは「売る時だけ熱心な人」から、「自分のビジネスを気にかけてくれるパートナー」へと昇格します。半年後のリプレイスや、別部署での新規案件の際、真っ先に電話がかかってくるのは、このフォローバックを欠かさなかった営業なのです。 

まとめ:あなたのフォローを「信頼」の資産に変えよう 

日々の連絡(フォローアップ)に、「やり切る(フォロースルー)」と「振り返る(フォローバック)」を加える。 

たったこれだけで、あなたの営業活動は「お願いして買ってもらうもの」から「信頼されて選ばれるもの」へと変わります。まずは今日、商談で口にした「小さな約束」を誰よりも早く形にすることから始めてみませんか? 

参考: Ryan Serhant (2018), “Sell It Like Serhant: How to Sell More, Earn More, and Become the Ultimate Sales Machine”