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2021年の年の瀬もいよいよ押し迫ってきました。年末になると増えてくるのが、1年間を振り返る企画。例えば、PR TIMES社の「プレスリリースキーワードランキング」によると、2021年の1~10月に企業が配信したプレスリリースに登録されたキーワードを集計した結果、1位は「DX」だったそうです。この結果からは、2021年はコロナ禍をバネにした新事業の創出や経営改革など、DXの取組が各企業で現実のものとなった1年だと言えるでしょう。

このトライツブログでもこの時期には毎年、1年間の振返りをしています。360本以上あるすべての記事の中でどの記事がよく読まれているのか、1年間で50本近く発表している新作記事の中ではどうかといったデータから、それぞれの年で読者の皆さんが何に興味を持っているのかが見えてくるというもの。この1年間で多くの方に読まれた記事は何か、そこにどのような傾向があり、2021年の世相をどのように反映しているのか、早速見ていくことにしましょう。

2021年に多く読まれたブログ記事Top5

最初にご紹介するのが、トライツブログとして公開している約360本の記事の中で、この1年間(2020年12月15日~2021年12月14日)に多く読まれた記事のランキングです。ページビュー(PV)数の上位5つは以下のようになっています。

  1. 身近になったAIと「共存」するために必要なこと(2018年7月公開)
  2. 営業組織に起こりがちな「名が体を表していない」という問題(2017年9月公開)
  3. 営業のモチベーション向上のカギは「ゲーム化」にあり!(2019年8月公開)
  4. せっかくの成功事例を埋もれさせない!社内での展開・再現に欠かせない「モデル化」とは(2019年6月公開)
  5. 営業支援スタッフが社内資料ばかり作ってはいませんか?(2016年1月公開)

2020年にこのランキングを調べたときには、「Web会議」などの外出自粛やリモートワークに関連した記事が上位に来ていたのですが、今年は2019年に上位だった記事がランキングに返り咲いています。このことから、2021年はWeb会議やリモートワークにも慣れてきて、AI活用や営業のモチベーション向上、営業支援組織/スタッフのあり方などの普遍的なテーマに改めて関心が集まるようになってきたのだと言えるでしょう。

この上位5つの記事のうち、2021年に新たにランクインした「せっかくの成功事例を埋もれさせない!社内での展開・再現に欠かせない『モデル化』とは」は、成功事例を単にストーリーとして共有するのではなく、要点を構造的に整理して「モデル化」することで他のメンバーが再現しやすくなる、というもの。リモートワークが普及して個人で業務を進めなければならない状況になったことで、業務を「モデル化」するニーズが高まった結果としてのランクインなのだと思います。

2021年にじっくり最後まで読まれたブログ記事Top5

次にご紹介するのが、約360本の記事のうち、時間をかけてじっくり読まれた記事のランキングです。先ほどのランキングは「PV数」でしたので、タイトルで使われているキーワードや文章への関心度を示すものでしたが、こちらの「平均滞在時間」は最後まで読んでくれる人が多いということですので、記事としての質の高さを示すものだと言えるでしょう。

  1. コスパでコンテンツを考える!コンテンツマーケティングのヒント(2017年2月公開)
  2. あなたのWebページは顧客に見つけてもらえる?今知りたいキーワード分析(2018年12月公開)
  3. 営業デジタル改革で顧客管理を強化し売上拡大を実現する(後編)(2018年5月公開)
  4. 第二回「営業マネージャー/営業企画のための統計活用入門」統計の基本『統計量』とその落とし穴(2019年2月公開)
  5. AIの次は何?B2Bマーケティングで注目される新テクノロジー10撰(2017年5月公開)

Webマーケティングや営業DXにAIなど、話題になってはいるものの独学するには難しいテーマの記事が多くランクインしています。残念なことに、この5つの記事の合計PV数は、先ほど紹介したPV数トップ5の100分の1程度しかなく、自分で言うのもなんですが「隠れた名作」となっているようです。ご興味のあるテーマがありましたら、ぜひお読みください。

そして、例年のランキングではあまり登場することがない「統計」についての記事が4位にランクインしています。トライツブログではB2B営業・マーケティングの現場で使える、統計/データサイエンスの基礎を紹介する記事を40本ほど用意していますので、ご興味のある方はぜひトライしてください。

2021年に新たに作成した中で、多く読まれたブログ記事Top5

最後にご紹介するのは、2021年に新しく作成した50本近くの記事の中で多くの人に読まれた記事のランキングです。このランキングを作成するにあたって、単純なPV数だと公開してからの日数が多い記事の方が有利になりますので、PV数を「公開してからの日数に応じて増えるPV数」と「公開してからの日数に関係ない、記事そのものが持つ実力としてのPV数」の2つに統計的な操作を施して分解し、後者の数字のランキング上位5つを抽出しています。

  1. B2B営業は「課題解決型営業」から「顧客中心営業(Customer-Centric Sales)」へ(2021年8月公開)
  2. 複雑化する顧客接点の救世主?セールスエンゲージメントとは(2021年7月公開)
  3. コモディティ化する「課題解決型営業」から抜け出すには(2021年8月公開)
  4. 新たな経営モデル「パーパス経営」を営業の武器にする(2021年10月公開)
  5. データドリブンで人材育成を考える「営業スキルモデル」とは(2021年1月公開)

ランキング1位と3位は、2021年になってから海外の多くの調査レポート/ブログ記事で提唱されるようになってきた新コンセプト「顧客中心営業」についてのものでした。「顧客中心営業」とは、顧客がWebなどを活用して情報を集めるなどして、購買プロセスを顧客自らが主体的に進めるようになっているため、営業担当者にはWeb上に氾濫する大量の情報を整理したり、顧客の関係者の合意形成を支援したりといった「コンサルティング的な関わり」が求められる、ということ。営業担当者が主導権を握って商談を進めてきた従来の営業から、考え方を大きく変える必要があるというインパクトの強い記事ですので、多くの方に注目・閲覧されたのも納得です。

ランキング2位には、Web会議や電話にメールなど、多様化・複雑化している顧客接点を統合するデジタル技術・ツールである「セールスエンゲージメント」についての紹介記事がランクイン。4位には、今年多くの書籍が出版され、新聞や雑誌でも頻繁に取り上げられた「パーパス経営」を営業でどう活用するかについての記事がランクインしました。

5位にランクインしている「データドリブンで人材育成を考える『営業スキルモデル』とは」は、データ分析の手法を用いてB2B営業担当者のスキルアップの進め方を効率化・最適化するという、トライツが実際にコンサルティングで取り組んでいる内容をダイジェストで紹介したものです。営業担当者の育成を体系的・理論的に進めたいという方はぜひお読みいただきたい記事になっています。

2022年もB2B営業の普遍的な課題と最新コンセプトの両方を情報発信します

今年1年間のトライツブログの閲覧状況を集計した結果、「これまでの記事全体の中では、B2B営業についての普遍的な課題に関する記事が多く読まれる」傾向があり、「直近1年間で作成した記事の中では、『顧客中心営業』や『セールスエンゲージメント』『パーパス経営』などの新しいコンセプトについての記事が多く読まれる」傾向があることがわかりました。デジタル活用やモチベーション向上など以前からある課題に取り組みつつ、最新のコンセプトについての情報収集もおこなわなければならないという、現在の営業組織が置かれている状況を反映した結果になっていると言えるのではないでしょうか。

2022年も、トライツブログではB2B営業についての普遍的・根本的な課題についての解決方法を探求しつつ、それと同時に時代の最先端を映す新しいコンセプトやキーワードについても情報発信していきます。特にこの2年間でのリモートワークの定着は著しく、感染の再拡大も相まって海外企業の中でも在宅勤務の延長や出社要請の撤廃が行われるなど、私たちの働き方や企業の購買活動のデジタル化がさらに加速する可能性があります。この加速する購買・営業活動のデジタル化というトレンドにも引き続き注視していきますので、2022年もこのトライツブログにご注目いただければと思います。

また、今回ご紹介した記事の中で改めて関心をお持ちの記事がありましたら、ぜひご一読ください。2021年にB2B営業の世界でどのようなことが起きていたのか、また、多くの方が何に悩んでいたのかが、ご紹介した記事を通じてきっと見えてくるはずです。