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最近では新聞・雑誌で目にしない日はないと言っても過言ではない「働き方改革」。皆さんの会社でも、退社時間の設定や有給休暇の取得率向上などさまざまな施策が進んでいることでしょう。

とはいえ、突発的な顧客対応や膨大な社内業務など、なかなか営業部門では働き方改革を進めにくいという声をよく耳にします。そこで、今回のトライツブログでは、「B2B営業における働き方改革のあり方」について考えてみたいと思います。

今話題の働き方改革とは

近年話題の働き方改革ですが、メディアなどでは長時間労働をいかに是正するかという点が取り上げられることが多いようですが、政府が主導で進めている働き方改革実現会議では、9つのテーマを「働き方改革実行計画(概要)」で定めています。ご存知の方も多いとは思いますが、念のために9つのテーマを振り返っておきましょう。

1.非正規雇用の処遇改善
2.賃金引上げと労働生産性向上
3.長時間労働の是正
4.柔軟な働き方がしやすい環境整備
5.病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障がい者就労の促進
6.外国人材の受入れ
7.女性・若者が活躍しやすい環境整備
8.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定させない教育の充実
9.高齢者の就業促進

特に「長時間労働の是正」と「柔軟な働き方がしやすい環境整備」については、みなし残業代を支給する「裁量労働制」が営業職にも適用されるのかという点が国会でも議論になっていました。これは、「法人向け提案営業」を企画型裁量労働制の対象として含めようというものです。

ルールやツールだけでは営業の働き方改革は難しい…

さまざまな企業で働き方改革を営業部門で導入しようとしている様子を目にしますが、そこで少し気になっていることがあります。それは、多くの施策が「ルール」や「ツール」止まりになっていて、肝心の仕事の中身が改革されていないということです。

例えば、長時間労働を是正しようとして退社時間を設定したり、有給休暇の100%消化することを義務付ける、という「ルール」を導入している営業組織があります。また、この組織では営業担当者が出先でも柔軟に仕事ができるよう、社外にネットワークにつながるモバイル端末という「ツール」を全員に支給しています。これらのルールやツールは長時間労働の削減を意図したものではあるのですが、仕事が溜まっている人が家に仕事を持ち帰ってしまい、結果として労働時間が伸びてしまうことがある、などと言う話をよく耳にします。

B2B営業部門においては、ルールやツールだけでは長時間労働の是正はむずかしいのです。さらに言うと、営業部門にとっての最大の使命は「稼ぎを増やす」ということ。これは働き方改革のテーマでいうところの労働生産性向上に当たります。今、多くの営業現場で働き方改革の一環として導入されているルールやツールは、「稼ぎを増やす」ということにまだ目が向けられていないように思われるのです。

それでは、B2B営業の働き方改革のうち「稼ぎを増やす」、いわゆる「労働生産性の向上」において大事なものは何でしょうか。

営業の労働生産性向上の3つの切り口

トライツが考える営業の労働生産性の向上は、突き詰めると
受注確率の高い営業手法とそれに使うツールを作ること
ITやWebを活用し、人手をかけない営業のしくみを作ること
手間がかかる社内業務を削減/自動化するなどして、業務を効率化すること
の3点であると考えます。この3点に共通しているのは、仕事のやり方そのものに手を入れているということ。もちろんITなどのツールも使うのですが、大事なのは仕事の中身を改革することなのです。

1つ目の「受注確率の高い営業手法とそれに使うツールを作ること」の例は、新規事業での営業のやり方を構築する、大型商談を発掘するための手法やツールを設計する、というものです。ただ顧客に課題がないかとヒアリングするのではなく、先週のトライツブログで紹介した「顧客と一緒に顧客の商品や事業を俯瞰するツール」などを使って、顧客に気付きを与えて一緒に課題解決に取り組むことで、大口の商談を発掘し受注確率高く進めることができるようになったりします。

2つ目の「ITやWebを活用し、人手をかけない営業のしくみを作ること」としては、近年話題のマーケティングオートメーション(MA)などが当てはまります。自社のWebサイトからダウンロードできるホワイトペーパーを作り、ダウンロードした顧客に自動でメールマガジンを配信したり、自社セミナーへ招待したりすることで、営業担当者の人手を掛けずに見込客のフォローができるようになります。

3つ目の「手間がかかる社内業務を削減/自動化するなどして、業務を効率化すること」としてよく相談されるのが、社内に蔓延するExcelの帳票や報告書の自動化です。営業担当者が毎週時間をかけて活動報告を作成し、それをマネージャーが報告用の書式にいちいちコピー&ペーストする、ということがまだ多くの営業組織で行われていたりします。普段使っているSFAのデータをもとに報告書をボタン1つで作成できるようにすることで、煩雑で稼ぎを生まない社内業務を一気に効率化することができます。

これらのような、仕事の中身の改革が労働生産性の向上、ひいては働き方改革実現の近道になるのです。

働き方改革は営業改革の絶好の機会

営業の仕事は、突発的な顧客の要望に対応したり、開発や企画など社内の関係部署を調整したり、幹部向けの報告書を定期的に作成したりと、なかなか働き方改革を進めにくいというイメージがあると思います。

しかし、
「受注確率の高い営業手法とそれに使うツールを作ること」
「ITやWebを活用し、人手をかけない営業のしくみを作ること」
「手間がかかる社内業務を削減/自動化するなどして、業務を効率化すること」
という観点で仕事の中身を見直してみると、そこには無駄な業務を削減し、労働生産性を向上させるためのヒントが数多く見つかります。

今話題の働き方改革。社内のルールづくりや意識改革など一筋縄ではいかず、正直面倒くさいと思われることもあるでしょう。けれど、見方を変えれば、自分たちの営業のやり方を見直す絶好の機会だとも考えられるのです。

この機会を逃さず、営業現場の働き方改革に取り組みたい、また現在取り組んでいるが、このまま進めて良いか分からない、と言う方はぜひトライツコンサルティングにご相談ください。具体的な事例をご紹介しながら、一緒にこれからの改革について考えましょう。