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3月になり、新卒採用が解禁になりました。また、新年度から新天地での活躍を目指して転職活動をされている方もいらっしゃることでしょう。
今回のトライツブログは少し趣向を変えて、企業がB2B営業担当者を採用する際に見るべきポイントをもとに、これからのB2B営業に求められる力について考えてみたいと思います。
海外レポート「優秀なB2B営業担当者を採用する方法」
今回の調査記事の出展はビジネス用SNS大手のLinkedIn。全世界で5億ものユーザーを抱え、日本でもおよそ300万ものユーザーがいます。このLinkedInがFacebookと大きく異なるのはビジネス用途に特化しており、職務経歴を個人ページに詳しく書かれていたり、普段の仕事の内容についての投稿が多いこと。そのため、転職活動のツールとして活用している方も多いのではないでしょうか。
そのLinkedIn社の記事の中に「This Sales Interview Exercise Will Help You Hire Great B2B Sales Reps」というものがあります。この「優秀なB2B営業担当者を採用するためのインタビューの進め方」という記事をもとに、現在のB2B営業に何が求められているのか、市場から求められる営業担当者であるために何が必要なのかをチェックしてみましょう。
営業担当者に求められる「力」が変化している
記事は、B2Bの購買担当者の変化を起点として、営業担当者に求められるものの変化の解説からスタートしています。
購買担当者が自給自足スタイルで情報収集するようになり、B2B営業のルールが変化しています。多くの営業リーダーは、見込客とのやり取りにおいて豊かな知識をもとにコンサルティング型で支援的なアプローチをできる営業担当者を求めています。多くの営業担当者がこれまで育成されてきた「テレアポや足で稼ぐタイプの営業」は、いまや有効でないということがデータで示されるようになっています。
今日のB2B購買担当者は、より自社向けにカスタマイズされ、現実の問題に直結したアプローチに対してもっとも良い反応を示すことが明らかになっています。
その上で、採用インタビューの際は仮想の顧客データを事前に渡しておき、それをもとに「顧客キーマンと面談する」という設定でのロールプレイを候補者にさせることを勧めています。そして、そのロールプレイの中で見るべき大事な4つの要素を以下のように列挙しています。
「準備力」
どれだけ事前準備しているか。完全で十分な情報を集められているか。「顧客対応力」
仮想顧客のことをどこまで理解しているか。企業の置かれた環境や意思決定構造を理解し、それに合わせたプレゼンテーションができているか。「差別化力」
他の営業担当者と差別化できるものを持っているか。例えば、営業やマーケティングにおけるフレームワークを複数活用していたりするか。「傾聴力」
顧客役が話した情報を聞き漏らさず、しっかりとそれを反映した対応ができているか。
さらに記事では「追加で見るべきポイント」として以下の要素を挙げています。
・マーケティング部門と共同・連携して働けるオープンさを備えているか
・自分のネットワークを構築するための活動を、普段の仕事の中で当たり前にやっているか
・どれだけ高い目標・志を持っているか
・自発的に勉強し、市場の最新トレンドを押さえられているか
・「ソーシャルセリング」や「ABM」などの営業・マーケティングのキーワードを自分の言葉で語れるか
いかがでしょうか。なかなかハードルが高いと思われたのではないでしょうか。
自ら勉強する営業じゃないと市場価値がない!?
私がこの記事を読んで特に面白いと思ったのは、「B2B営業担当者の勉強する力」が非常に重視されているという点です。
もちろん、「傾聴力」や「ネットワーク構築の習慣」「目標の高さ」など、営業として当たり前に求められるスキルや姿勢もリストの中には含まれています。しかし、それ以上に「準備力」や「顧客対応力」「差別化力」といったスキルは勉強しない営業担当者では太刀打ちできませんし、「『ソーシャルセリング』や『ABM』などのキーワードを自分の言葉で語れるか」というチェックポイントに至っては、直接的に候補者の勉強する姿勢が問われています。
このように、顧客の業界の傾向や環境について、マーケティングや営業のトレンドについて、自ら勉強する営業じゃないと転職市場からは要らないと言われてしまう、というのはかなりショッキングなことだと思うのです。
そして、この「勉強する力」についてもう少し掘り下げてみると、もう1つの面白い傾向が見えてきます。
答えのない問題に自分なりの答えを出す「考察力」がこれからの営業に求められる
これまで、営業担当者の勉強と言えば、自社製品や技術について学んだり、業界の成り立ちや主なプレーヤーについて教わったりするOJTと、STARやFOCUS、SPINといった営業手法についてテキストを使って学ぶ営業研修が主でした。しかし、紹介した記事で求められる勉強は、それらとは異なります。
業界における顧客の意思決定構造や、市場のトレンド、最新のキーワードなどを体系的にまとめたテキストというものはありません。自分がこれまでに経験したことや、新聞・雑誌やカンファレンスなどで得た情報を自分なりにつなぎ合わせて、顧客や市場の趨勢について自分で意味を考え出すという「考察力」が求められているのだと思うのです。
これは、現在話題になっている大学の入試改革や講義の進め方の見直しとも軌を一つにしているように思われます。教科書に書いてあることをひたすら詰め込むのではなく、答えのないものに対して自分なりのアウトプットを考え出せる力を育もうというもの。この考え方が、これからのB2B営業担当者にも求められてきているのではないでしょうか。
営業だからこそ勉強しよう
「うちの営業は勉強しなくて・・・」
営業マネージャーや営業トップの方とお話をしていると、よくこのような話が出てきます。
営業担当者として市場から値を付けてもらえる、それもできるなら高い値を付けてもらえるようになるためには、自発的に勉強することが求められる。そのようなトレンドが日本のB2B営業にも訪れるでしょう。
とはいえ、何のインプットもなしに考察力を身に付けるのは大変です。
「そういえば、最近勉強していないな」という方はぜひ、職場の近くや家への帰り道にある書店を覗いてみることから始めてはいかがでしょう。平積みになっている新刊書や、棚に並んでいる背表紙を眺めているうちに、読んでみたくなる本や勉強したくなるテーマがきっと見つかるはずです。
B2B営業向け 勉強するならこの5冊!
「ヘルピング・クライアンツ・サクシード」(マハン・カルサー他、キングベアー出版)
「GIVE & TAKE『与える人』こそ成功する時代」(アダム・グラント、三笠書房)
「チャレンジャー・セールス・モデル」(マシュー・ディクソン他、海と月社)
「予算達成!法人営業7つのツール」(角川淳、日本経済新聞出版社)
「ビジュアル思考×EXCELで営業の成果を上げる本」(角川淳、翔泳社)
参考:「This Sales Interview Exercise Will Help You Hire Great B2B Sales Reps」(LinkedIn,Feb 21, 2018)
「営業として継続的に勉強する姿勢が大事」
文章に書くとシンプルなのですが、実際に継続して取り組むのはかなり大変です。特に、努力する方向性が見えていないと「やっても無駄になるのでは?」という心配が先に立ってしまいます。
トライツコンサルティングでは、それぞれの企業向けに営業担当者に目指してほしい方向性と道筋を示す「営業育成ロードマップ」の作成を支援しています。「営業担当者にもっと勉強させたい」「しかし、どのように育てたいかが不明確」という方は、お気軽にご相談ください。これまでの取組事例やサンプルシートなど、より具体的なヒントを差し上げられると思います。