業務の流れをまとめた「業務フロー図」は、社内マニュアルからプレゼンテーション資料まで幅広い用途に使われています。

ただ、実際の営業現場を見渡してみると、営業の業務についてしっかりと業務フロー図を作成していることはあまり多くありません。これは業務そのものが「見える化」できていないことを意味します。

そのような状態にも関わらず、なんとなく見えている問題点から思いついた解決策に手を出してしまうことが少なくないように思います。製造現場で当たり前に行われてきた「カイゼン」の手法が営業現場に根付いていないのです。

それではなかなか本質的な問題解決にならず、もぐら叩き的な対応になりがちで、いつまでも生産性が向上しません。

そこで、今回は営業改革の第一歩となる「業務フロー図」を描き、それを軸に営業の現場カイゼンを進める上での大切なことについてご紹介します。

5つのステップで業務フロー図を作る

1. 目的を明確にする

作成にあたり、「何のために作るのか」という目的を明確にしましょう。それが変わると作り方が変わるからです。

例えば、「販促キャンペーンの効率を上げる」「展示会やイベントの来場者を増やす」「提案に対する受注確率を上げる」「問い合わせに対する回答を早める」「営業の受注に関する作業を削減する」「受注後から納品までのスピードを早める」などいろいろあると思います。

できれば「来場者数を30%アップさせる」「必要な期間を2割削減する」などというように数字目標を設定しておくようにします。

2. スタートとゴールを決める

業務フロー図作成の第一歩として、スタートとゴールを設定しましょう。範囲を明確にするということです。どの部分のプロセスを視覚化したフロー図なのかを意識しながら作ることで、議論を絞ることができます。

3. ステップを書き出して「名前」をつける

ゴールを明確にしたら、そこに至るための具体的な手順を書き出し、それらをわかりやすくいくつかのステップに整理します。この時に意識することは、分岐点をなるべく少なくし、見やすくわかりやすくできないかということです。

そしてステップには分かりやすい「名前」をつけましょう。一言でパッとステップをイメージできる名前がついているだけで、業務フロー図を使って一緒に仕事をするメンバーとの意思疎通がスムーズになります。また、メンバー間の共通言語をつくるためにも役立ちます。

4. 模造紙と付箋でつくる

業務フロー図をはじめから完璧に作ろうとはせずに、まずは一度メモを見ながら、壁に貼った模造紙と付箋で作ってみましょう。必要に応じて、色を分けたり写真やイラストで具体的にイメージできるよう装飾したりして、視覚効果を利用することで見やすくなります。

模造紙と付箋でつくるメリットは他にもあります。模造紙と付箋ならそれぞれのステップの移動や、新しいアイデアを追加することも簡単にできますし、フローが伸びたりしても簡単に対応できます。

いきなりPowerPointで作成する人も多いと思いますが、仲間と一緒に模造紙を囲んでワイワイやる方がクリエイティブな発想ができますし、結果として短時間でできるでしょう。パソコンで清書するのはその後でOKです。

5. 現場から意見を求める

作った本人が完成だと思っても、現場から「もっとこうしたほうがいい」という声があるかもしれません。また、作成中に非効率な業務プロセスが発見されることもあるでしょう。このように、改善を重ねることで、業務の効率化にも役立つフロー図を描くことができるのです。

現場の意見を求める時にも模造紙と付箋が役に立ちます。大人数のアイデアを持ち寄り、共有することに活用しましょう。

どこをどう変えたいのかを明確にする

出来上がったものが「当たり前のことを整理しただけのもの」というレベルではなく、「なんとなく頭の中ではわかっていたつもりだったけど明示化できていない仕事の手順について、大事なことがちゃんと整理されていて、皆が共通の考え方で仕事ができるベースとなるもの」というように皆が思うようなレベルにまとまっていればOKです。

そして、それをどの部分をどう変えることで、目的が達成できるかを考えていきます。その際、複数の案が出ることがありますが、実現可能性と効果の二軸で評価して、最適な案を選択するようにしましょう。

最後に選択した案を実行するために必要なタスクを整理し、役割分担とスケジュールを決めておきます。

業務フローを軸に考え、改めることで生産性を高めていく

この後はそれぞれのタスクを実行していくことになりますが、そのマネジメントをどのような体制で行うのかも明確にしておくことも忘れてはなりません。

そして、定期的に作成した業務フローを見て、目指した方向に変わっているか、新たな課題や問題が発生していないかを常に「業務フロー」を軸に見ていくのです。

もし、最初に計画した通りの案が上手くいかないのであれば、その理由を検討し、必要であれば案を変えるなど柔軟に進めていくことが大切です。

営業カイゼンは営業担当者のスキルアップにもつながる

「営業改革」というと、派手なデジタルツール導入などに関心が集まりがちですが、このように現場単位で業務の流れを図にし、考え、改め、また考える、ということを習慣化させるということも、とても有効な営業改革のアプローチだと思います。

また、このような取り組みを進めることで、営業現場での「図にして考える」というスキル強化にもつながり、それは顧客に対する提案力やドキュメント作成力の向上にもつながります。

トライツコンサルティングでは、このような営業現場レベルでのカイゼン活動に関するアドバイスや研修なども実施しています。ご興味のある方は下記よりお問い合わせください。