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現在は情報収集の手段として、書籍だけでなくYouTubeやLinkedInなどのSNS、ポッドキャスト番組など多様なものを安価で使えるようになっています。このトライツブログも普段のプロジェクトでの体験だけでなく、国内および海外の書籍やSNSへの投稿、営業関連のポッドキャスト番組などから日々ネタを集めています。
そのように安価な情報源が色々あるものの、トライツとして大事にしているのが対面開催のカンファレンスや展示会です。特に海外のカンファレンスは、参加費として10~20万円がかかるものの、著名な営業の講演者や著者の話を3~4日かけてじっくりと聞くことができる、とても価値のある情報源だと思っています。これまでに「海外カンファレンスレポート」を19本書いておりますので、お読みいただいている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このように広くおススメしたい「海外の営業カンファレンス訪問」ですが、なかなかこのテーマで書かれている記事がありません。そこで、今回は普段とは趣向を変えて、「海外の営業カンファレンスを安全に楽しむポイント」をご紹介したいと思います。海外のカンファレンスに興味をお持ちの方はぜひ参考にしていただき、そうでない方は珍しいタイプの旅行ガイドとしてお読みいただければ嬉しいです。
ステップ1:行きたいカンファレンスを探して参加登録
最初にしなければならないのが、参加するカンファレンス選びです。この手のイベントで外れくじを引いてしまわないために、保守的ではありますが「歴史があって」「評判のいい」カンファレンスを探すのがベストだと思っています。
大勢の人を集めるカンファレンスが充実したものとなる最低限の条件が、運営がこなれていること。主催者が変わらず、毎年開催されていて、LinkedInでの評判が良いものを探してください。私が実際に行ってみて良かったのが営業系だとOutBound、人材育成系だとUNLEASHとATDです。気になるカンファレンスが見つかったら、LinkedInで評判を確かめ、YouTubeで過去の講演動画を見てみるのが一番の事前調査だと思います。
行きたいカンファレンスが見つかったら、早めに参加登録しましょう。ほとんどのカンファレンスでは早期申込者向けにアーリーバード・レートという格安の価格を提示しており、直前の半値ほどで申し込めることも。そのため、半年ほど先に開催されるカンファレンスから選ぶことをお勧めします。
ステップ2:航空券とホテルの確保
参加登録が終わったら、次にするのが航空券とホテルの確保です。カンファレンスによっては特定の航空会社で使える割引コードや、会場近隣のホテルと提携した優待プランなどがあることがあります。特に近隣ホテルでの優待プランは一般料金の3~5割引とお得なものも。最近のアメリカのホテル料金の高騰はとんでもなく、大都市の中心では一泊で4~7万円くらいが相場だったりします。普段から使い慣れているサイトを見る前に、提携優待プランがないか確かめてみてください。
そして金額以上にホテル選びで大事なのが、カンファレンス会場までのアクセスです。アトランタのダウンタウンで開催されたOutBoundに参加したときは、同時期にDEI関連の会議や国際的なアニメショーなどのイベントが市内で行われていたため、隣接しているホテルが満室でした。そこでやむなく、カンファレンス会場まで徒歩7分程度のホテルに泊まったのですが、アトランタのダウンタウンだということもあって治安でずいぶん神経をすり減らしてしまいました。
なにしろ、ホテルと会場の間を移動するたびに毎回新しいホームレスの方に出会ってしまい、南部の州かつコロナ禍から間もなかったこともあって、こちらがアジア人だとわかると突っかかってこようとすることも何度か。また、路地を入ったところにはマリファナやフェンタニルなどの麻薬を吸って様子がおかしい人もちらほらいるなど、往復の移動が一番の苦痛となってしまいました。
「金で買える安全と安心はケチらない」のが安全に楽しむ一番のポイント
ですので、一番のおススメはカンファレンス会場に直結したホテルに泊まること。ホテルの中で開催されるカンファレンスも多々ありますし、カンファレンス会場によっては空中通路などで隣のホテルから直接行けるところもあります。このようなホテルだとグレードも料金も高めのところが多いのですが、「金で買える安全と安心はケチらない」のが一番です。
もちろんアメリカでもエリアによって治安には大きな差があります。すべての街がアトランタのダウンタウンのようにホームレスと麻薬常習者だらけということはありません。郊外の高級リゾート地で開催されるカンファレンスだと、朝夕に女性や子供が一人で街中をジョギングしている姿を見ることもできます。しかし、大都市でかつ治安が心配なエリアで開催される場合は、ダウンタウンを一人で歩かない、公共交通機関ではなくUberやLyftといった配車サービスを活用する、などして安全を確保するようにしてください。
ステップ3:現地でカンファレンスに参加
カンファレンスのチケットと航空券、ホテルの予約が取れたら、いよいよ現地でカンファレンスに参加します。
この記事を書いているときに、弊社の角川から「カンファレンスを楽しむコツとかはないの?」という質問がありましたが、これについては心配ご無用。なぜなら、このタイプの営業カンファレンスは立派なイベントとして、ゲストを楽しませるための演出が凝らされているからです。会場に入るときはメインプレゼンターがホームパーティーのホストよろしく笑顔で出迎えてくれますし、ド派手なオープニングセレモニーの映像で参加者のテンションが一気に上がります。
また、休憩時間になるとドーナツやフルーツが休憩室にどっさり用意されるなど、「本当に仕事で来ちゃっていいのかな?」と思ってしまうくらいの歓待をしてもらえます。このため、行けば(かつ最低限の英語ができれば)そのまましっかり楽しむことができるのが、日本で行われる展示会との大きな違いです。
もう1つの違いは、参加者同士がコミュニケーションを取る「ネットワーキング・イベント」がほぼ必ず用意されているというもの。そこでは、日本のように名刺をやり取りすることはあまりなく、お互いのLinkedInなどを見ながら「どんな仕事をしているのか」「何がきっかけでこのイベントに申し込んだのか」などの話をすることになります。なので、カンファレンス会場に入る前にLinkedInのページを作り、英文の自己紹介を追加/更新しておくのがおススメです。また、ネットワーキングイベントがカンファレンスの前日の夕方に予定されていることもありますので、スケジュールはよく確認しておきましょう。
また、特に営業系のカンファレンスだと講演者が自分でも展示スペースを押さえていて、そこで著書を無料で配っているということがしばしばあります。講演を聞いてみて興味があったらその場で手に入れられるように、スーツケースには余裕をもってお出かけください。
そして、とても細かいことですが、アメリカのカンファレンスではスクリーンの文字が小さいことがよくあります。私は視力がずっと1.0~1.5なのですが、それでも読めないほど小さい文字のスライドが投影されることもしばしば。スマホで画面を撮影して拡大して読むこともできますが、遠くの小さな文字が見えるようにオペラグラスや近視用のメガネを持っていくのを強くおススメします。
ステップ4:帰ってから
カンファレンスの全日程が終わって日本に帰ってからも、まだやることがあります。海外のカンファレンスは同じタイミングで複数の会場で別々の講演をやっていることも多く、見られなかった講演を期間限定のオンデマンドで見られるサービスを提供しているものもあります。だいたい、カンファレンス後1か月程度で見られなくなってしまいますので、見逃し分は帰りのフライトや帰国後の隙間時間を使って忘れずに見ておきましょう。
ご紹介したポイントを参考にして海外のカンファレンスを安全に楽しんでください
ここまで、海外、特にアメリカで開催される営業系のカンファレンスに参加する際のポイントをご紹介しました。海外のカンファレンスに興味をお持ちの方にはぜひ参考にしていただきたいですし、まだ行くつもりのない方にはカンファレンスの雰囲気をなんとなくイメージしていただける文章になっていたら嬉しいです。
2025年の海外カンファレンス・レポートは人材育成をテーマにお届けします!
そして、2025年の海外カンファレンス・レポートは5月下旬に開催される、世界最大級の人材育成系カンファレンス「ATD(Association of Talent Development)2025」を予定しています。その場で学んだ内容をかいつまんで5~6月にご紹介する予定ですので、どうかお楽しみに。