トライツコンサルティング株式会社

戦略的に「商談ツール」について考えてみませんか?

Golf course

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調査会社IDC Japanの発表によると、クラウドサービスを中心とする国内のPaaS(Platform as a Service)市場は年率45%超で急拡大しているようです。そしてその中でトップシェアを占めているのがSFAで有名なセールスフォース・ドットコム社。また、Webマーケティングに目を転じると、従来型のWeb広告やSEO以外にもコンテンツマーケティングやモバイルマーケティングなどの新しい分野が生まれ、市場規模も順調に伸びています。

これはそれだけまだまだ営業を強化したいとニーズが強いということだと思いますが、本当にそれが自社の現状に最適な施策なのかということは冷静に判断する必要があります。

ゴルフをやるのにクラブなどの道具が欠かせないのと同じように、商談にも商談ツールが欠かせません。商品カタログや提案書のような商談の場面で従来から使われてきた「商談ツール」を見直す方が、ずっと短期間で得たい成果につながるということにも注目すべきです。

ここで言う商談ツールは営業が商談時に使うツール全般のことで、会社案内やキャンペーンチラシ、価格表や導入事例、商品ごとの標準提案書なども含んでいます。また、会社によっては「○○ニュース」や「○○ジャーナル」といったミニ冊子を定期的に刊行していますが、これも立派な商談ツールです。

今回のトライツブログでは、最近、営業施策の中で注目されることのない「商談ツール」について考えてみたいと思います。

B2Bの営業施策でも注目度の高いSFAやWeb

営業力強化のための施策にはいろいろな種類があります。マス顧客を対象とするB2Cでは、大量の購買データやSNS上のデータなどを組み合わせて売れる傾向を探る「ビッグデータ」がここ数年でブームになっていますし、法人向けのB2B営業では、SFAやCRMにWebマーケティングなどといったITCの活用が話題になることが多いように感じます。我々にもご相談をいただくこともよくあります。

ちなみにシンプルに表現すると、SFA/CRMは主に商談/顧客情報を共有してマネジメントするためのものですし、Webは見込み客を作るためのものです。実は、ほとんどのB2B営業においては、それを導入したからと言ってすぐに目に見えて稼ぎが増えるというものではありません。
いくらしっかりマネジメントしても、いくらWebからの問い合わせが増えても、営業担当者による客先での商談力が良くなければ「糠に釘」という状態になってしまうからです。

「一応揃っているし、営業がどうにかしている」商談ツール

商談ツールについて、企業の営業部門や営業企画部門の人と商談ツールについて話をしていると、どうも以下のような傾向があるようです。

傾向1:既に十分な商談ツールが揃っていると思っている

新規事業となると話は変わってきますが、「既にこの事業に取り組んでウン十年」であればそこにはたくさんの商談ツールが揃っていて、それを使ってそれなりに商談活動を進めることができていますし、同じパターンで内容の変更があれば更新もなされています。

傾向2:不満や要望があっても営業が現場でどうにかするものだと受け止められている

もちろんそれらの商談ツールについて「情報が足りない」「使いにくい」「周知展開が遅い」などの不満や要望の声が営業から出てくることは頻繁にあります。しかしながら、そんな中でも「工夫して何とかするのが営業の腕」という考えが根強く、誰も既存の商談ツールを大きく見直そうとしないということが続いていることが多いのです。

この2つの傾向から考えると、
「既にそれなりに揃っていて、現場で何とかして使いこなしている商談ツール」
「まだまだ不十分で、これからもっと活用していくべきSFAやWeb」
というような捉え方で、どうしても後者の方が注目され、投資もなされているように思います。

即効性があるのは商談ツールに手を入れること!

しかし、当たり前にWebを使って情報収集をするようになったり、購買のプロセスが複雑化・長期化して慎重に選ぶようになっていたりするなど、B2B営業において顧客の購買行動は大きく変化しており、営業担当者個人の工夫だけでは対応しきれなくなってきています。そこで、提案書や商品カタログといった個別のツールの見直しだけでなく、戦略的に営業活動全体を見直して商談ツールを再設計することが必要になってきているのです。

ただ実態はどうかというと、SFAやWebの導入はプロジェクト化されて予算も配分されているのに、商談ツールはメンテナンスが誰かの業務に組み込まれているだけで、戦略的に根本から見直すなどということはほとんどありません。

これは、ゴルフのスコアをアップさせるために、プレーの内容をしっかりマネジメントしようとか、ゴルフに行く回数を増やそうとか言っているのと同じこと。もっと即効性があるのは、その人に合った使いやすい道具を与え、プレーの内容を変えることです。「そこはプレイヤー次第だから・・・」と任せておいては、ジリ貧状態になってしまうのです。

商談ツールの工夫が営業の行動を変え、顧客の反応を変える

ここで、商談ツールの見直しがどれだけ有効かをお伝えするために、事例をご紹介しましょう。

業務システムを扱うある会社では、顧客への初回訪問時にシステム概要や導入事例、デモ動画を紹介して、「自社でも具体的に検討したい」と言ってもらえたら具体的な提案に進む、という活動をしていました。ただ、「面白いものを見せてくれてありがとう」どまりになってしまうことが多いのが悩みの種でした。

そこで、デモ動画の紹介と質疑応答が終わったあとに使う商談ツールとして作ったのが、その顧客にとってのシステム導入メリット検討シート。一通りの紹介を聞いた顧客が、
・現在抱えている問題と発生している損失
・このシステムでどこまでその問題を防げそうか
・どのようなメリットが得られるのか
をその場で営業と一緒に書き込んでいくシートです。

とても簡単なシートなのですが、効果はてきめん。「面白いシステムだね」と他人事として話を聞いていた顧客が、「うちで使ったらどうなるか」と自分事として真剣に考えてくれるようになったのです。

このようにほんの些細な工夫であっても、商談ツールには商談の場での営業の行動を変え、さらには顧客の反応を変える力があるのです。

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