トライツコンサルティング株式会社

メルマガ300号で振り返る、営業の進化と変わらない課題

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先週、トライツのメールマガジンが300号を迎えました。2013年からブログの記事を届け続けて、もう13年。せっかくの節目なので、過去の記事をあれこれ読み返してみました。

最初に気になったのが、2013年10月の「『忙しい』の連発は仕事上マイナス?」です。忙しいことと成果を出すことは違う、という話でした。一方、2026年8月の「これからの営業は、何に『頭』を使うべきなのか」では、AIで仕事を効率化した先で、何に頭を使うべきかを考えています。

タブレットが話題だった時代から生成AIの時代へ。道具はずいぶん進歩したのに、似たようなことを言っているなあ、と苦笑してしまいました。ただ、記事を追っていくと、営業を見る角度は確かに変わってきています。

2013~2018年:「営業をもっと強くする」ことを考えていた

初期のブログには、仕事の優先順位や上司と部下の関係、提案資料の作り方など、営業担当者がもっと上手く仕事をするためのテーマが並びます。

2014年には「巷に沢山あるツールをなぜ上手く活用できないのか?」という記事も書いていました。当時注目されていたのは、タブレット、SNS、クラウドサービスなど。今読むと登場する道具には時代を感じますが、「導入したのに使われない」という悩みには、あまり古さを感じません。皆さんの職場でも、似たような話があるのではないでしょうか。

2016年に紹介した「セールスイネーブルメント」も、そうした問題意識の延長にありました。営業研修をする、ツールを配る、資料を整備する。それぞれを単発の施策で終わらせず、成果につながる営業活動を組織で生み出そうという考え方です。

意外だったのは、その反応の大きさです。2017年には、読者にコピーされた回数が多い記事の上位3本を、セールスイネーブルメント関連の記事が占めました。個人の営業スキルだけでは限界がある、と感じていた人が少なくなかったのでしょう。

2019~2022年:「売り方」から「買い方」へ

そして、ブログを読み返していて一つの節目だと感じたのは2019年頃。それまで営業の記事では、どう開拓するか、何を聞くか、どう提案するか、という話が中心でした。そこへ「顧客はどうやって買うのか」という問いが、ぐっと前に出てきました。

この頃に紹介したのが「バイヤーイネーブルメント」です。当初は、Webサイトで製品を比較する、見積金額を試算する、デモ動画を見るといった、営業担当者に会わずに検討できる仕組みが目立ちました。

それが次第に、Webサイトの充実だけでなく、顧客の購買プロセス全体をどう支えるか、という話になっていきます。

その変化を一気に身近なものにしたのが、2020年のコロナ禍でした。訪問ができず、商談はWeb会議へ。画面共有に手間取ったり、相手の表情が読めずに戸惑ったり……そんな経験をした方も多いでしょう。

ところが、元に戻れるようになっても、営業は以前と同じには戻りませんでした。普段の情報収集は顧客自身がWebで行い、確認はリモートで済ませ、重要な議論は対面でする。今では当たり前の「オムニチャネル」です。ブログでも2020年にこの変化を取り上げ、2022年には対面・リモート・Webのセルフサービスという3つのチャネルに注目した「3等分の法則」を紹介しています。

もっとも、連絡手段が増えても、顧客が簡単に買えるようになるわけではありません。担当者が納得しても、経理部門は投資効果を気にし、現場からは別の懸念が出る。営業担当者が次の商談を設定できたとしても、顧客社内の話が止まっていることはあります。

2021年に「顧客中心営業」を取り上げたのも、こうした事情からです。「こちらが次に何を提案するか」と同じくらい、「顧客は次に何を決めなければならないか」を考える。営業の目線が、少しずつ変わっていったのだと思います。

2023~2026年:AIについての問いも変わった

2023年には生成AIが話題の中心になりました。この年に公開した記事の閲覧ランキングでは、上位4本がChatGPTや生成AI関連でした。提案書は作れるのか、メールは書けるのか、情報収集を任せられるのか。私たちも、あれこれ試しては記事にしていました。

2024年には登場直後の記事を読み返し、少し熱気に浮かされていたのではないか、と振り返っています。何ができるかを試すだけでなく、どの仕事を任せ、営業活動をどう変えるかを考える必要が出てきたからです。

ここで、2018年の記事を思い出しました。当時は「AIに営業の仕事を奪われるのか」が話題でした。2023年は「AIに何をやってもらえるのか」。2026年では「AIで浮いた時間を使って、提案の質をどう高めるか」です。

こう並べてみるときれいな三段階ですが、実際は今も三つの問いが混在しているのでしょう。ただ、一般的な情報なら顧客自身もAIで手に入れられるようになり、営業がどのような価値ある情報を提供できるのかが、以前より切実な問題になっているように思います。

2025年には、顧客に知識を教えるだけでなく、一緒に課題や解決策を考える「協業型」の営業を紹介しました。2026年には、優秀な営業担当者が「なんとなく」行っている判断を言葉にする記事も書いています。「この顧客にはなぜこの提案なのか」を説明できなければ、AIで資料が速くできても、肝心の中身は良くなりません。

SNS、SFA、DX、AI……道具が増えても残る悩み

こうして13年間を眺めると、SNS、SFA、営業DX、生成AIと、次々に新しい技術が登場しています。仕事が楽になった部分も多いでしょう。それなのに、2014年には「ツールをなぜ使いこなせないのか」と悩み、今は「AIを導入したのに現場が変わらない」と悩んでいる。少々耳の痛い話です。

例えばSFAです。顧客情報や案件の状況が見えるようになっても、営業会議で聞くのが「今月の数字は?」「次はいつ訪問する?」だけなら、せっかくの情報を十分に生かせていません。「稟議を止めそうなのは誰か」「反対している部門は何を心配しているか」と話し合えるようになって、初めて会議の中身が変わります。

生成AIも似ています。提案書のたたき台があっという間にできるなら、そこから先のことに時間を使いたいもの。例えば、顧客が言った要望をそのまま提案書に並べるのではなく、現場への負担や他部門への影響まで確かめる。実現方法を複数並べて、どれが顧客に合うのかを考える。その検討があれば、提案の中身は確かに変わるはずです。

AIでどの会社もそれなりの資料を短時間で用意できるようになったら、資料を速く作れること自体は、たいした差になりません。競争するのは、その先の部分です。

ツールを導入することと、営業のやり方を変えることは別の仕事。後者までできたかどうかを問わずに、次の新しいツールを探しても、昔と同じ悩みが繰り返されてしまう。トライツブログの13年では、この同じ悩みの繰り返しが何度も現れていました。

300号の先も、営業の「当たり前」を問い直していきたい

2013年の記事が問うていたのは、忙しい時間の中で何を生み出しているのか、ということでした。13年後の今、AIのおかげで作業の時間が短くなっても、やはり問われるのは仕事の中身です。

営業が顧客についてどこまで考えたか。その考えを、提案や対話にどう反映できたか。マネージャーなら、部下の行動件数だけでなく、顧客の判断を前に進めるために何ができたかを、一緒に考えられているか。見直すところは身近な仕事の中にいくつもあります。

13年前に書いたことが、今も通じるのは少し悔しい気もします。でも、同じ課題を抱えながら、道具や考え方を変え、試行錯誤してきた13年間でもありました。

301号までお付き合いいただき、ありがとうございます。これからも海外の新しい知見に目を向けながら、日本の営業現場で本当に役立つのかを考え、記事にしていきたいと思います。次の100号を迎えたとき、また「昔も同じことを言っていたなあ」と苦笑いするのでしょうか。それとも、少し違う話ができるでしょうか。ぜひ一緒に見届けていただければと思います。

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