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Webに頼っているとガラパゴス化するってホント?最新の営業トレンドをおさえるためのポイントとは

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隔週発行のメルマガでお送りしているこのトライツブログですが、年末年始や盆休み、ゴールデンウィークなどを除く毎週火曜日にトライツのWebページで新作を公開しています。ブログをスタートしたのは2013年で、当初はWebコンテンツ制作会社のサポートを受けてネタを提供してもらっていましたが、やり方がわかってきたので途中からはネタ探しから完全に自分たちで取り組むようになっています。 

以前(2022年10月)にWebを使った情報収集のコツについて「トライツが実践する『海外情報収集のノウハウ』教えます」という記事でご紹介しましたが、実は最近、Webだけでは最新の面白い海外の営業トレンドを掴みにくくなってきています。 

そこで今回はグローバルな営業情報を収集する際のポイントと、そこから感じられる日本と海外の違いについて書いてみました。営業の最新トレンドの調べ方に興味がある方も、日本と海外との情報格差について気になる方も、ぜひお読みください。 

営業情報の変化①「海外の話題の営業本が日本語で読めなくなってきている!」 

海外の営業情報を手に入れようとするときに一番手っ取り早いのが、日本語に訳されて販売されている海外の営業本です。『営業の赤本』(ジェフリー・ギトマー)に『セールス・アドバンテージ』(デール・カーネギー)などのロングセラーが有名です。 

しかし、最近では海外で話題になっている営業本がなかなか邦訳されなくなっています。例えば「チャレンジャー・セールス・モデル」が日本でも話題になったマシュー・ディクソン氏の最新作『JOLT Effect』は、優柔不断でなかなか意思決定できない顧客の導き方について書かれた好著。2022年に発売された際には、このトライツブログでも「海外で話題の営業本『ジョルト・エフェクト』から学ぶ!優柔不断な顧客を支援する『4つの処方箋』」という記事でいち早くご紹介したのですが、その後一向に邦訳される気配がありません。 

また、マシュー・ディクソン氏のように邦訳がある人はまだ良い方で、「脱・下手な鉄砲!『基本形』を知って営業メール・営業電話の効率を上げよう!」で紹介したジェブ・ブラント氏の『Fanatical Prospecting』や、「顧客からの『ノー』を乗り越えるための3つのポイント」で紹介したマイク・ワインバーグ氏の『New Sales. Simplified.』もまごうことなきベストセラーなのですが、どちらも翻訳されないままでいます。 

このように、海外の営業本を日本で見る機会が少なくなっているのです。 

営業情報の変化②「生成AIの影響でWeb上の記事の中身が薄くなってきている!」 

その一方で、この1年半ほどでWeb記事に掲載されるネタの品質も大きく変化しています。 

まず1つめの変化として、生成AIが作ったであろう入門レベルの記事がとてつもない勢いで増えていることです。毎週「B2B sales research」などのキーワードで最新記事を検索しているのですが、「B2B営業の基礎」「B2B営業とB2C営業は何が違う」といった、新人向けの中身が薄い記事が多くヒットするようになり、調査会社による大々的な調査レポートや、斬新なアイデアを提唱する独自性の高い記事が減っているように思います。 

営業情報の変化③「最新トレンドがポッドキャスト番組で紹介されるようになっている!」 

もう1つの変化は、Selling Power Sales & Marketing Management誌といった営業系のWeb雑誌に、営業のグルと呼ばれるような有名人が今までほどは寄稿しなくなったというもの。その代わりに、そのような人たちは自分でポッドキャスト番組を立ち上げているのです。 

先ほどご紹介したジェブ・ブラント氏もマイク・ワインバーグ氏も自身の営業ポッドキャスト番組を持っており、週に1~2回の頻度で最新のアイデアを話したり、気になった営業本の著者を招いて対談したりしています。また、前回の記事「データが証明!アポイントにつながる営業電話のオープニングトークとは」でご紹介したニック・チェゲルスキー氏とアーマンド・ファロック氏は、30 Minutes to President’s Clubという超有名な営業系ポッドキャスト番組のホストでもあります 

このように営業のグルと呼ばれるような有名人がこぞって、自分のポッドキャスト番組でリスナーを囲い込むようになりました。そのため、これまでの「Web記事が話題になる または 本が出版される」→「TwitterやLinkedInでシェアされてバズる」→「営業系のカンファレンスに呼ばれる」というサクセスストーリーから、「本が出版される」→「本を目に留めた営業のグルのポッドキャスト番組に呼ばれる」→「それが好評で他のポッドキャスト番組に次々と呼ばれる」→「営業系のカンファレンスに呼ばれる」というものへと変化しつつあります。 

3つの変化のせいで情報を集めているつもりでも知らないうちにガラパゴス化していることも・・・ 

ここまでご紹介した
「海外で話題の営業本が邦訳されにくくなっている」
「Web記事の情報の濃度が薄まっている」
「最新トレンドがポッドキャスト番組で紹介されるようになっている」
という大きな変化が起きたことで、普通に日本で/日本語で情報収集をしているだけでは、最新の海外の営業トレンドについていけなくなってきています。書店で「営業」のコーナーにある和訳された本を読んでいても、最新作はほとんどありません。Web検索をしてもハッとするような記事に出会いにくくなっています。また、海外の営業系のカンファレンスにしょっちゅう呼ばれるような人を日本に招くようなイベントもまずありません。 

ということはつまり、日本で/日本語でどれだけ頑張って情報を集めようとしていても、海外の最新トレンドには触れられず、知らないうちにガラパゴス化してしまい「最近は海外でも営業の新しい話が出てこないねぇ」となってしまう、ということなのです。 

(皆さんは)手間をかけずに新鮮で面白い営業トレンドをトライツブログでお楽しみください 

そのため、この1年半ほど前から、このトライツブログのネタ探しのやり方を大幅に変えています。Webの最新記事も一応チェックはしますが、それ以外に営業系のポッドキャスト番組を一通りチェックし、そこで話題になっている営業本があればそれを読んでいます。そして年に1度くらいの頻度で海外の営業カンファレンスに行って営業のグルの顔ぶれを押さえなおすということをやっているので、ほぼリアルタイムに近い状態で海外の最新トレンドを押さえられているのではないかと思います。 

これをお読みの皆さんの中には、そこまで英語が得意ではないという方もいらっしゃるでしょうし、いくつものポッドキャスト番組を聞いたり本を読んだり、海外のカンファレンスを訪れたりするような時間的余裕がない方がほとんどでしょう。ですので、ぜひこれからもこのトライツブログ/メールマガジンをお読みいただければと思います。手間暇かけて新鮮で面白い素材を選り抜いていますので、最新の営業トレンドを一緒に勉強していきましょう。

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