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デジタル化の時代における営業の存在意義とは?顧客の満足度を高める購買支援のポイント

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ChatGPTに質問する際のテクニックの1つに、質問文(プロンプト)を英訳し、ChatGPTからの英語の回答を日本語に翻訳する方が精度が高くなる、というものがあります。私も確かめてみたことがあるのですが、プログラミングやデータサイエンス、経済学や経営学といった英語での情報量が圧倒的に多い分野について質問する場合は、確かに精度が上がったように感じました。 

「言語によって入手できる情報が限られてくる」という問題は、トライツブログのネタ探しでも頻発しています。ハーバードビジネスレビュー(日本だとダイヤモンド・ハーバードビジネスレビュー)や、各種調査会社の記事やレポートは日本語化されているものもありますが、本国のWebサイトを見てみると、とても面白いのに日本語になっていないものがごろごろ出てきます。 

その中から今回ご紹介するのは、ガートナージャパンではまだ和訳・紹介されていない英語のレポート「Gartner B2B Buying Report」です。営業担当者を介さない購買を望むようになっている現代のB2B顧客がどのような課題に直面していて、それに生身の営業担当者がどのように対応することが期待されているかが明快に記載されています。 

これからの営業の目指す姿に興味がある方、また顧客の購買に役立つWebコンテンツについてお考えの方にも参考にしていただける情報が満載ですので、ぜひお読みください。 

営業担当者不在の購買体験を顧客は好むものも・・・ 

レポートは1つの、そしてB2B営業に関連する人にはかなりショッキングなデータの紹介から始まります。 

B2B購買担当者の75%が、営業担当者を介さない購買体験を好むと答えています。

しかし、セルフサービスによるデジタルで購入した担当者は、それを後悔する可能性が高くなっています。

B2B購買担当者の75%が、担当者を介しない購買体験を好む」というデータが衝撃的なため、いろいろな記事やSNSでの投稿で引用されています。いわゆる営業担当者不要論や、戯曲の古典「セールスマンの死」をもじった「B2Bセールスマンの死」といった論の根拠として使われているようです。 

しかし、2文目から様子が変わってきます。どうやら、営業担当者抜きでの購買は、そんなにいいものではなさそうなのです。では、どのような購買が顧客にとって後悔せず、満足度の高いものなのか。次のデータをご覧ください。 

生身の営業担当者の支援で顧客の購買の満足度が高められる! 

購入方法別にみた、購入後の後悔が大きいと回答した購買担当者の割合 
・セルフサービスによるデジタルでの購入 43% 
・営業担当者主導の対面での購入 26% 
・営業担当者の支援を受けたデジタル主体の購入 21%  

数字は後悔している人の割合ですので、低ければ低いほど後悔が少ない≒顧客の満足度が高いということになります。顧客が自分だけでデジタルで購入した場合、4割以上が何かしらの後悔をしているのに対し、営業担当者が支援することでその割合が半減するとのこと。顧客の購買を生身の担当者が支援することに大きな価値があるのがわかりますね。 

注意していただきたいのが、対面かつ営業主導の購買が最善の選択肢ではないこと。あくまでもデジタルを活用した顧客主導の購買をベースとして、そこに営業担当者が必要な支援をするというのが大事なのです。 

顧客の購買を支援する新概念「価値構築(バリュー・フレーミング)」と「価値確定(バリュー・アファーミング)」 

では、生身の営業担当者はどのように顧客の購買活動を支援したらよいのか、それを考えるための枠組みとして、レポートでは顧客が購買プロセスを進める際の要素を整理しています。 

バリュー・フレーミングとバリュー・アファーミングという考え方を使えば、顧客の購買プロセスはシンプルになります。 
(中略)これにより、購買が成功するかどうかの不確実性を減らし、購買の質を向上させることができるのです。  

ここで目新しい単語が2つ出てきました。バリュー・フレーミング(Value-Framing)を日本語にするなら「価値構築」でしょうか。顧客の状況に合わせてどのような価値を提供できるのか、そのためにどのような製品/サービス構成にしたらよいかを具体化する活動です。 

そしてもう1つのバリュー・アファーミング(Value-Affirming)の日本語は「価値確定」。製品/サービスの導入によってどれだけの金銭的な価値が得られるのか、それがどれだけ確からしいのかを明確にする活動です。 

価値構築と価値確定で顧客のデジタル購入体験マップと営業担当者による支援方法を具体化する 

この2つの要素を使って、自社の製品/サービスを顧客がデジタルで購入する基本的な流れを整理し、どの部分で顧客が不便を感じるのか、それに対して生身の営業担当者がどのような支援をするかを考えよう、とレポートでは述べています。レポートの中で示されている顧客のデジタル購入体験マップの例を以下に示します。表の中の黒字部分は典型的なデジタルコンテンツの一例です。 

この考え方に基づいて、対面やオンライン会議などの場で営業担当者が製品の選定や活用法、さらには具体的な価値の金額予測を伝えるなどして、価値構築と価値確定の両面について顧客をサポートしようというのが、このレポートの最終的な提言でした。 

ガートナー社のレポートの価値①「価値構築と価値確定という新コンセプト」 

今回ご紹介したガートナー社のレポートは2つの意味で有効だと私は考えています。 

1つめは、価値構築(バリュー・フレーミング)と価値確定(バリュー・アファーミング)という2つの要素で顧客の購買プロセスを整理するという考え方です。 

このマップによって、顧客が購買プロセスを進めるために何が必要で、自社のどんなコンテンツをどのように提供すればいいかを考えやすくなりました。冒頭で述べたように、営業・マーケティング用のWebコンテンツについてお考えの方にはとても参考になる枠組みだと思います。 

ガートナー社のレポートの価値②「B2B営業担当者の価値の証明」 

そして2つめは、現代のB2B営業における生身の営業担当者の価値が証明されたことです。顧客の購買がデジタル化/セルフサービス化する中で、何度も「B2Bセールスマンの死」というタイトルの記事が発表されてきましたが、営業担当者が顧客の購買を支援することで、より後悔することが少なく満足度の高い購買につなげられることがわかりました。 

とはいえ、手放しで喜べる内容ではありません。あくまでも顧客にとっての価値が高いのは、デジタルを活用して顧客が主導する購買活動に対して必要な支援をできる営業担当者。つまり、製品紹介やヒアリング、プレゼンテーションのようなプロセスを営業が主導するのではなく、顧客の購買プロセスに寄り添う存在。さらに、対面での商談にこだわるのではなく、デジタルを活用して顧客と関われる存在にならなければならない、ということなのです。 

「日本は関係ない」じゃない!日本にも訪れている若い世代の購買活動の変化 

と、ここまで読んでこられた方の中には「デジタルを活用する顧客が購買を主導するっていうけど、アメリカでの調査結果だし、日本には関係ないでしょ」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。 

しかし、若い世代のライフスタイルや購買活動はグローバルで共通化しています。Amazonなどでものを買い、それをInstagramに上げ、NetflixやYouTubeで見たい番組やチャンネルを見る。そのため、企業の購買活動の中心が若い世代へと先に移行しているアメリカで先行しているものの、いずれは日本にも間違いなく訪れるトレンドなのです。 

これから目指すべき営業は「ハイブリッド対応可能な顧客中心営業」 

今回ご紹介した、目指すべき営業担当者像にはもうすでに名前が付けられています。それは「顧客中心営業」であり「ハイブリッド営業」です。顧客の購買プロセスに寄り添って後押しする顧客中心営業と、デジタルと対面の両方のチャネルを使いこなせるハイブリッド営業。この両方を兼ね備えた「ハイブリッド対応可能な顧客中心営業」が、顧客の購買満足度向上をもっとも実現できる、これから目指すべき営業担当者の姿なのだと思います。 

「顧客中心営業」について、11月15日のセミナーで詳しくご紹介します 

この顧客中心営業というコンセプトを始めてトライツがご紹介したのは2年前の2021年。それ以降、様々な資料をもとに調査をしながら、クライアントの皆さまとその実践や教育に取り組んできました。 

2023年11月15日に開催する弊社セミナーデジタル営業時代の新コンセプト 顧客中心営業(Customer-Centric Sales)で成長し続ける営業組織をつくる』では、この2年間の取り組みを通じてわかってきたことや、これから必要だと思われる育成や組織のあり方、そして実際に使っているツールなども併せてご紹介します。今回の記事を読んで「顧客中心営業」に興味を持たれた方はぜひお越しください。 

参考:「Gartner B2B Buying Report: How to adapt your sales and marketing strategies to the current state of B2B buying」(Gartner, Inc., October 12, 2023 

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