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非対面かつデジタルなのに注目されない?営業におけるSNS活用を考える

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コロナ禍の中、大企業を中心にテレワークを継続している企業も多く、営業活動を行おうにも顧客が会社に来ていない、会社にいないというお話をよく聞きます。このような状況下では否が応でもWeb会議やリモートの営業システムを活用して非対面の営業活動を行わなければいけません。

また、コロナ以前から営業のデジタル化による生産性向上は課題となっており、SFAやMAの導入、デジタル営業ツールの活用などが進んでいます。トライツも既存の営業活動から脱却し、新たな価値を見出すために営業のデジタル化(営業DX)支援をさまざまな企業で行っており、コロナ禍はそれを加速させていると感じています。

このように非対面の営業活動の必要性が増し、デジタル化によって営業の生産性を上げようという動きの中で、非対面かつデジタルであるにも関わらず、日本ではほとんど注目されていない分野があります。それは「SNSを活用した営業活動」です。

そこで今回は営業におけるSNSの活用、中でも営業個人がSNSを活用することの実態とこれからについて考えて行きたいと思います。

なかなか日本では普及しない「営業個人としてのSNS活用」

まず、営業におけるSNS活用方法には2種類あります。一つ目は企業としてSNSのアカウントを持ち、SNSに集う多くの人々に向けて情報発信やコミュニケーションを行いながら企業のファンを獲得するという活用方法、二つ目は営業が個人としてSNSアカウントを使って営業活動を行う方法です。前者はソーシャルメディアマーケティングとも言われSNS公式アカウントを持つ企業が増えてきていますが、後者はあまり広がりを見せていません。

トライツブログでも、2016年に「SNSを活用した営業が普及しない日本、その根本的原因を考える」と言うタイトルで営業のSNS活用について取り上げ、その後も何度かSNSを活用した営業活動、いわゆるソーシャルセリングについて考えてきました。

そのいずれも「アメリカでは盛んなものの日本の営業ではSNS活用が普及していない」という実態を書いており、2020年の現在でもその状況にあまり変化はないように思います。

これからの時代に有効な営業のSNS活用

先日、こんなことがありました。私どものクライアントである化学品メーカーで次の企画提案について会議を行っていた時のことです。ある中堅の営業担当者が新しい企画提案の切り口について発言し、会議参加者全員から「その切り口で企画をまとめてみよう」という賛同を得ることに。

これまでにない切り口だったので、いったいどこからその企画の着想を得たのか尋ねたところ、「Twitterで業界に特化した情報発信をするアカウントをフォローしていて、その人のツイートやブログなどから着想を得た」と話してくれたのです。

また、少し古い話になりますが、このトライツブログを始めた時の話です。

このブログは2013年にスタートしたのですが、ブログ始める際にコンテンツマーケティングの始め方や記事の書き方について支援していただいた株式会社イノーバの宗像代表とTwitter上で知り合い、ビジネスが始まったという経験があります。コンテンツマーケティングについて宗像代表がツイートしているのを読み、また個人的なツイートから人柄に興味を持ち連絡を取ったことを覚えています。

このように、SNSはビジネスのちょっとしたヒントや、新しい人と人とのつながりを作ってくれることがあります。これはGoogleに代表される検索エンジンから出てくるストレートな「答え」ではないのですが、ビジネスに役立つ「何か」を得ることができることがあるのです。

営業におけるSNS活用の始め方・SNSの選び方

この「何か」を具体化させると次の3つに整理できます。

1.業界・市場の「情報収集」や企画提案の「ヒントを探る」

2.ビジネス情報や専門性について情報発信し「自分を売る」

3.新たな顧客と出会ったり商談を発掘して「ビジネスを創る」

SNSを活用して「営業活動」と言うと、どうしても三つ目の「ビジネスを創る」に目が行きがちになります。「Facebookなんてやって遊びじゃないか」とか「仕事とプライベートは区別せよ」などと上司から言われたなどということも聞きますが、これはそもそも「馴染みの飲み屋でママさんに紹介された他業界の人と話をしているうちに、思わぬところから面白い話が出てきた」というのと同じことで、最初から「効率」とか「効果」を考えてしまうとなかなか上手くいきません。

ただハッキリしているのは、SNSは馴染みの飲み屋さんで偶然に出会うよりも圧倒的に多くの、しかも何らかの共通点のある人との接点が作れるということです。それを使ってビジネスの情報源・ヒントの源として常にウォッチし、自社のビジネス情報や気になったことを少しずつでも発信して営業としてのプレゼンスを高めておくと将来の顧客とのコミュニケーションを円滑にできるようになります。先ほどのイノーバの宗像代表が良い例なのです。

ただSNSと言ってもFacebookやTwitter、Instagram、Linkedin、などここには書ききれないほど多岐にわたります。そこで、大まかではありますが、先ほど述べた3つの目的別にどのように使い分ければよいか、トライツの経験をもとにご紹介します。

目的1:業界・市場の「情報収集」や企画提案の「ヒントを探る」

この目的においてはTwitter、Facebook、Quoraを活用すると良いでしょう。

Twitter、Facebookはほとんどの方がご存じのSNSなので詳しい説明は省略しますが、先ほどご紹介したような専門性を持ったアカウントをフォローしたり、関心のあるグループに参加したりすることで独自の情報源とすることができます。個人的な楽しみとは別に、ビジネス活用という側面でフォローするアカウントを考えてみると面白い使い方ができます。

Quora(quora.com)は公式サイトに「お互い質問や回答をし合うことで、世界中の知識を共有し、それを広げ深める場」とあるようにユーザー同士で質問と回答を投げ合い、情報共有を行うソーシャルQ&Aサイトです。ビジネスに直結するようなテーマ以外に芸術や哲学などさまざまなテーマでQ&Aがやり取りされており、ビジネスのヒントとなる情報を得ることができるでしょう。

目的2:ビジネス情報や専門性について情報発信し「自分を売る」

この目的においては、よりビジネスに近いという観点からLinkedin、Eightが活用できるのではないかと思います。

Linkedin(www.linkedin.com)はマイクロソフト社傘下のLinkedin社が提供する世界最大級のビジネス特化型SNSです。全世界で6億7千5百万人の登録者数を誇りますが、日本のユーザー数は230万人あまりとTwitterの4,500万人、Facebookの2,600万人からすると見劣りしてしまいます。しかし、他のSNSにはないビジネス特化型である点は重要なポイントです。Facebookなどではプライベートな発信とビジネスの発信が混ざってしまうため、どうしてもビジネス寄りの発信にためらいが生じますが、Linkedinにはそれがありません。コロナ禍を機にユーザーが増えてくればより活用に値するSNSになっていくと考えます。

もう一つは名刺管理アプリケーションのEight(8card.net)です。2015年からSNSとしての機能が追加され、名刺交換でつながった人へ情報発信ができるようになっています。まだ活発にコミュニケーションが行われているかと言うとそこまでではありませんが、Linkedinと同様ビジネス特化型であるという点で他のSNSと比べてビジネス情報発信のハードルは低いように思います。

目的3:新たな顧客と出会ったり商談を発掘して「ビジネスを創る」

この目的において、今のところ日本のSNSで「これ!」という決め手になるものがありません。強いて言えば、先ほどご紹介したLinkedinではないかと思います。

Linkedinはビジネス特化型である点が大きく、Linkedin同士でビジネス上のつながりを構築する機能や、直接Linkedinユーザーにメッセージを送る機能があり、上手く活用できれば新たな顧客との接点構築に活用できます。また、ユーザー数が少ないのは日本特有の話で、全世界に6億7千5百万人の登録者がいます。海外向けにビジネスを展開したり、海外とのビジネス上のネットワークを構築するにはもってこいのSNSです。

以上、3つの目的に合わせたSNSの選び方をご紹介してきました。まずは自分から発信することなく安心して使えるSNSを使った「情報収集」や「ヒントを探る」ところから始め、徐々に情報発信をすることによって「自分を売る」ところへ移行し、最後は新たな人脈づくりや双方向のコミュニケーションを通して「ビジネスを創る」ところまで活用を拡げて行くとよいと思います。

これからの営業におけるSNS活用の発展に期待

冒頭で述べた通り、新型コロナウイルスの影響で、営業活動は大きな変化を迎えています。このテレワーク時代に適応するために、非対面での営業活動とデジタル化による生産性向上は必要不可欠です。

ただ、その中でのSNSの営業活動は、テレアポのように始めたらすぐに目に見える結果が出るというものではないので、無理のない範囲でいろいろやってみるということが良いのではないかと思います。どんな世界でもそうですが、外から見ているのと中に入っていろいろやっていく中で見えてくるものは異なるものです。

私自身はトライツコンサルティングの営業担当としての役割もあり、もっとSNSにとっての道具になって欲しいという願望も持っています。小さな会社が効率的に情報発信をし、顧客との接点づくりを行うにはSNSは非常に魅力的なツールです。日本においてもSNSでビジネス情報の発信・共有を行うことが当たり前になり、SNSを通じて顧客が情報収集し、ビジネスが生まれる環境が整って欲しいと感じています。

そのためには、まずは多くのビジネスパーソンがビジネス目的でSNSを活用し、多くの情報がやり取りされるようになる必要があると思います。そこで、私自身は営業コンサルタントとして、また一人の営業パーソンとして、今後のSNSに期待し、これまで以上にいろいろトライしていこうと考えています。

皆さんとは今はこのブログでの接点が中心ですが、SNSを通じて、思わぬところで改めてつながったりできると面白いですね。

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