トライツコンサルティング株式会社

あなたの文章やプレゼンがわかりにくいと言われたら

confused businessman talking and discussion with partnership or customer

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

「何が言いたいのかわからない」あなたは人から言われたことがないでしょうか?あるいは部下のアウトプットに対して、そんなフィードバックをしたことはありませんか?

もし、あなたが「わかりやすい文章を書く」「わかりやすく説明する」ためにはどうしたら良いか悩んでいるとしたら、それは「文章の書き方」や「話し方」という次元で考えていても解決しないかもしれません。

今回のトライツブログでは「わかりやすく伝える」ために効果的な「図にする」ということについて考えてみましょう。

 プログラミング、文章作成、プレゼンの共通点

私は高校生の時に初めてコンピュータに出会いました。当時はマイコンと呼ばれていて、容量はせいぜい32KBとか64KB位のものだったので、それでやりたいことができるようにするためには、ムダを徹底的に排除し、できるだけ効率的なロジックを考える必要がありました。大学時代もプログラマーとしてアルバイトをしていたのですが、そこでも複雑な機械制御が素早くできるプログラムを作るためには、ムダのないロジックづくりが不可欠でした。

そこで私がやっていたのは、最初からプログラムを考えるのではなく、自分がやりたいことの全体をできるだけシンプルな一つの図にすることでした。これがしっかり出来ていると、かなり複雑なプログラムであっても、効率的に作っていくことができたように思います。

コンサルタントという仕事をやり始めてからは、文章を書いたり、人前でプレゼンする機会ができましたが、私にとってそれらはプログラム作成ととても共通点のあるものでした。相手がコンピュータか人間かの根本的な違いはありますが、自分が伝えたいことの全体像をシンプルな図にして、そこから組み立てるというのは同じだからです。

 図には人を動かす力がある

以前、ある事業のトップの方が筆者のところに相談に来られた際に、事業として目指したい姿についての話になりました。詳しくは書けないのですが、その事業のこれからのビジネスモデルについてモヤモヤしているということでした。しばらくお話を伺ったあとに、「このようにいろいろなことを考えているんだけど、なかなか周りがわかってくれない」とも話しておられました。

そこで、私がホワイトボードに簡単な図を書いて、「お考えになっておられるビジネスモデルを簡単にまとめると、こんな感じでしょうか?」と聞いたところ、「なるほど! 確かに私の言いたかったことはコレだよ。スッキリした、ありがとう!」と、打って変わって明るい表情になり、興奮気味に帰られました。

そこで書いた図は本当に簡単なコンセプト図でしたが、その方は直感的に「この図を使えば、私の言いたいことを部下も理解してくれるだろう」と思われたようでした。その2週間後にお会いしたときには、そのコンセプト図をもとにした事業計画の資料ができあがっており、「これでウチの社長もメンバーも、この事業の目指す方向を正しく理解してくれるよ」と嬉しそうに話されました。これは、私自身にとっても図の持つ力を改めて実感した出来事でした。

 基礎ができていないのに飾り物でごまかしても伝わらない

文章を作るのがあまり得意でないという方の話を聞いていると、言いたいことはあるものの、それが頭の中で箇条書きなって並んでいるだけ・・・ということが多いように思います。全体として自分が伝えたいことがどういう構造になっているのか、それをどうしたいのか、というようなことがイメージできていません。それで文章を書いたり、人に話したりしても、話がアチコチ飛んでしまったり、大事なことが伝わらなかったりしてしまいます。

また、世の中にある「わかりやすい文章の書き方」とか「誰でもできるプレゼン」みたいな本に書いてあることは、どちらかというと表現方法のテクニックのようなことが多いので、それを取り入れても、基礎ができていないのに飾り物でごまかしたというような安っぽいものになってしまいがちです。

 一枚の図だけで語ってみるのも一つの手段

そこで、もしあなたやあなたの部下が文章を書くのが苦手、プレゼン資料も上手く作れない、というのであれば、無理に時間を掛けて文章を作成したり、PowerPointと格闘するのではなく、伝えたい相手に一枚の図だけで語ってみるというようなプローチに変えてみてはいかがでしょうか。

図を作るという準備プロセスにおいて、頭の中が整理されますし、全体像を意識しながら話をすることにもつながります。

そして、最初から立派な図を作って持っていくのでなく、ホワイトボードに手書きで図を描き、それを使って伝えたいことをシンプルに語るのです。そして、相手にもその図について語ってもらいます。ちなみにここでの図というのは難しいものである必要はありません。◯や△、矢印などを使って言いたいことの全体像が簡単に表現された概略図、いわゆるポンチ絵でOKです。

そこで出た話を整理していけば、単にこちらから一方的に伝えるだけでなく、「一緒に考える」という状況も作ることができるでしょう。
完成された文章にしてしまうと、どうしても一方的に伝えるということになりがちですが、一枚の図であれば、自由なコミュニケーションにつながりやすいというメリットもあります。

今までのアプローチにとらわれず、あなたも図の有効性を改めて見直してみてはいかがでしょうか?

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