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「ないものねだり」という言葉があります。学生時代になぜ自分がモテないのかと悩んで、もっと運動神経があれば、もっと見た目がよければ、何かの才能があれば、などと空想していた人も多いに違いありません。
組織の中でも色々な「○○がない」を聞くことがあります。「時間がない」「人がいない」「予算がない」などが主だったものでしょうか。ただ、それに対して「ないものねだりをするな」などとたしなめられている姿も同じくらい目にします。ビジネスでの「○○がない」は本当にただのないものねだりなのでしょうか?たしなめるよりも良い対応の仕方はないのでしょうか?
今回のトライツブログでは、営業現場で耳にする色々な「○○がない」について、それが何を意味していてどのような対応が求められているのかを考えてみたいと思います。
営業現場で耳にする「人手が足りない」「時間がない」「売れるものがない」
営業組織の課題や問題を把握するために、営業現場にインタビューをするということがあります。すべての部署で目標を達成できていればよいのですが、新規開拓や既存大口顧客の深耕など、やりたいことがなかなかできていないということがよくあります。
そこで話を聞くと
「人手が足りない」
「時間がない」
「売れるものがない」
という3つの理由をよく耳にします。簡略化のために、以下ではこれらを「営業現場の3大『ない』」と総称することにしたいと思います。
「営業現場の3大『ない』」は組織の硬直化のバロメーター
この「営業現場の3大『ない』」ですが、このような発言が出ること自体は、悪いことではないと思っています。
「人が足りないから、社内外から人を集めよう」
「商談する時間が足りないから、余計な社内会議を削減して空き時間を捻出しよう」
「売れるものがないから、顧客の要望を聞いて商品をリニューアルしよう」
などと、その状況を改善するための具体的なアクションにつなげられているのならば、悪いことではないどころか大変に素晴らしいことです。
しかし、往々にしてこの3つの理由が、やりたいことができない理由として組織内で横行してしまっている。そして、人手を増やしたり、時間を捻出したり、売れる商品を作ったりといった具体的なアクションにつながっておらず、組織が硬直化してしまっていることが問題なのです。
皆さんの営業現場で「営業現場の3大『ない』」を耳にすることはあるでしょうか?
もし、この3つの理由のどれか(もしくは全て)がずっと言われ続けている組織があるならば、それは組織が有効なアクションを考えられずに硬直化してしまっていることを示すバロメーターなのかもしれません。
「営業現場の3大『ない』」は、営業現場からのSOS!?
別の観点から「営業現場の3大『ない』」について見てみましょう。
改めて、「人手がない」「時間がない」「売れるものがない」ということは、一体何を示しているのでしょうか。
それを一言で言うならば、「アイデアがない」ということだと思うのです。人手がないから、時間がないから、売れるものがないから、どうしたらよいのかと考える。しかし、その答えが自分たちだけでは思い浮かばない。
もちろん現場には知恵があります。しかし、仕事に忙殺されていたり余裕がなかったりすると、目の前の仕事に対応することで手一杯になり、なかなかアイデアが出てこなくなるものです。営業現場で交わされている「営業現場の3大『ない』」は、今の苦しい状況は自分たちだけではどうしようもないというSOSでもあるのです。
SOSを出している営業現場には、アイデアを持った助っ人が必要だ
病気にかかっても軽めの風邪なら身体の抵抗力で治ってしまいますが、自分の体力だけではどうにもならなくなってしまったら、病院に行って注射してもらうなり薬を処方してもらうなり、何らかの外的な助けが必要になるものです。それと同じように、自分たちだけでは難しいというSOSを出している営業現場には、外部からの手助けが必要なはずです。
しかし、SOSとしての「営業現場の3大『ない』」を耳にしても、具体的な支援を外部からもらえるということはまれなようです。「しんどいだろうけど踏ん張ってほしい」と励まされるだけだったり、「そこを何とかするのがマネージャーだろう」とたしなめられたり、場合によっては「すぐに対策を考えてレポートを出すように」と逆に仕事を増やされてしまったりする。これでは問題が解決されることなく、何も変わりません。
「営業現場の3大『ない』」は組織の硬直化のバロメーターだと述べましたが、その硬直化の理由の一部にはこのようなSOSをただの営業現場の弱音や嘆き節だと周りの人たちが捉えてしまい、具体的な対策を講じないままほったらかしにしてしまっている、ということがあるように思います。
このような時こそ、アイデアを持った助っ人が営業現場に必要なのです。それこそ、営業企画などの営業支援部門の出番ですし、社外の相談相手を活用するというのも1つの手です。
トライツにも営業現場で行き詰った営業マネージャーが相談に来られることがあります。社内で考えてみたもののどうも煮詰まってしまったということなので、話を聞かせていただき、それに対して感じたことをお伝えしたり、「こういう視点で考えたら?」とアドバイスをしたりする。それによって「新しいアイデアが見つかった」「今、何をすればいいか分かった」などと言っていただけることがあります。自分たちだけでは行き詰ってしまうときには、アイデアを出してくれる相談相手が必要なのでしょうし、そうやってお役に立てるのをうれしく思っています。
営業支援部門は営業現場のSOSに応えよう!
営業現場でよく耳にする「人手が足りない」「時間がない」「売れるものがない」。これは実は硬直化してしまった営業現場からのSOSのサインなのではないでしょうか。そして、そのような現場には、アイデアや刺激が必要です。
「うちの営業はいつもできないことの言い訳ばかり」と捉えてしまうのではなく、SOSだと思って腰を据えて話を聞いてあげて、助け船を出してあげる。そして必要があれば、社外のプロを呼びよせる。そこに営業支援部隊としての大事な役割があるのだと思うのです。