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あなたの商談リストになぜ「おみそ商談」が多いのか?

Financial accounting

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東西南北に広い日本。それぞれにお国言葉があり、同じことを表現しているのに言葉が違う、ということがよくあります。有名な例はスコップとシャベル。数年前の大雪のとき、東北生まれの妻に「押し入れからスコップ持ってきて」と言われて、首をひねりながら小型のスコップを持っていったことがあります。私が育った西日本では、雪かきに使うような大型のものはシャベルで、スコップは公園の砂場遊びで使うようなものだったのですが、東日本では反対だと知って随分と驚きました。

同じように、鬼ごっこでタッチされても鬼にならない子の呼び方も、地方によっていろいろとあるようです。みそっかす、おみそ、ゴマメ、マメ、うどんこなどさまざまです。

営業会議に行くとこの「おみそ」を見掛けることがあります。商談リストの中には上がっているのに誰も触れようとしない、まるで「おみそ」のような商談です。

今回のトライツブログでは、商談リストの中に潜んでいる「おみそ商談」について考えてみたいと思います。

リストにあるけど誰も触れようとしない「おみそ商談」

皆さんの会社の営業部門でも、商談のマネジメントのために商談リストを作成していることでしょう。顧客名・案件名・受注予定日・受注金額・商談ランク(受注確度)などを横軸に、縦軸に商談がズラーっと並んでいるリストです。

色々な営業部門の商談リストを見ることがあるのですが、どこの会社のリストにも何カ月も前からリストに上がっているのに動きがなく、営業会議の中でも話題に上ることのない商談があります。商談としてエントリーされているものの、放置されていて誰も気に留めていない、言うなれば鬼ごっこでタッチされても鬼にならない、ただ参加しているだけの「おみそ」のような「おみそ商談」が営業リストの中に入っていることが多いのです。

おみそ商談は営業の実態を隠してしてしまう!

このおみそ商談、邪魔にならなければ何の問題もないのでは?と思われるかもしれませんが、これが混じっていると、営業の実態が分からなくなるという問題があります。

会議の中では触れられないものの「今ある商談中案件の合計を出そう」というときや、営業担当者の個人面談ではちゃんと商談としてカウントされてしまいます。そのため実態よりも商談が多くなり、その商談を抱えている営業担当者が忙しそうに見えてしまいます。しかし、期末に〆てみると受注に至らないままのものが多く、予算は未達のまま。「枯れ木も山の賑わい」という言葉がありますが、このおみそ商談に関してはまったくの逆で、周りの目を曇らせてしまいます。

では、なぜおみそ商談は生まれてしまうのでしょうか。

おみそ商談は商談にあらず!おみそ商談が生まれる理由

おみそ商談の発生の仕方はさまざまです。「とりあえず新商品のご紹介をして価格表を置いてきたから、商談リストに載せてみた」というもの。年度の初めに営業目標に対して既存の商談を積み上げていく際に「今は商談がないけどいずれ出てくるだろうから」と一旦リストの中に入れられたもの。他にも、営業の作戦会議で決まった「今度、ここに仕掛けよう」という結論のメモとしてリストの中に書き込まれたもの。このようにさまざまな経緯で、商談としての実態はないのに商談としてリストアップされたおみそ商談が生まれています。

これについてもう少し考えてみると、顧客からも商談だと認められている実態のある商談と、営業側の一方的な決意表明やアイデアでしかない商談の卵とが、同じ商談リストの中に並べられていることが分かります。つまり、今までおみそ商談と呼んできた、実態がなく放置されている商談は、「これからこの顧客に商談を仕掛けるぞ!商談発掘するぞ!」という商談発掘先リストなのです。しかし、多くの場合は商談発掘先をマネジメントするやり方を分けていないので、なんとなく商談リストの中に間借りさせている、というのがおみそ商談発生の主な原因だと考えられます。

営業には大きく分けて「顧客発掘」→「商談発掘」→「商談受注」という3つの段階があります。この区分で見ると、実態のある商談は「商談受注」という商談を受注する段階の対象であり、おみそ商談と呼んできた商談発掘先リストは「商談発掘」という別の段階の対象だということがお分かりになるでしょう。つまり、おみそ商談は商談と呼んではならず、商談リストに載せてはいけないのです。

事例:「商談発掘先リスト」を別管理すると営業担当者の意識と活動が変わる

では、商談発掘先リストをどのようにマネジメントしたらよいのか。

ある会社では、商談リストと商談発掘先リストを別シートに分けて管理し、さらにそれを連携させるシステムを使っています。「連携させるシステム」と書くと大げさですが、その実態は普通のエクセルシートです。営業会議で「今度この顧客に仕掛けよう!」と決めたものを商談発掘先リストに記入し、それが無事に商談化したらリストの右端についている「商談化」ボタンを押すと、そのデータが商談リストの末尾にコピーされて、そこから先は商談としてマネジメントするというものです。もちろん「商談化」の基準は明確に取り決めておきます。

この企業でも商談のかなりの割合をおみそ商談が占めていることはなんとなく分かっており、本来の商談マネジメントの妨げになっていると感じていました。また、商談発掘のためには顧客に仕掛ける活動が必要不可欠なのですが、分けて考えるべきおみそ商談が商談リストの中に埋もれてしまうことで、ほとんどの営業担当者は「やらないきゃ」とは思いつつもついつい先送りしてしまっていました。

それでは、ということで仕掛け顧客リストを単体でマネジメントするようにしたところ、これまでは二の次にされていた商談発掘活動に意識を向けることができるようになりました。マネジメントの仕方が変わったことで、営業担当者の意識が変わり、活動の仕方も変わったのです。

おみそ商談を拾い上げて、商談発掘先リストを作ってみよう!

商談発掘先リストを、商談リストとは別にマネジメントしてみる。当たり前のことだとは思いますが、なかなかこの当たり前をやれているところは少ないように思います。

1つの営業会議で複数のリストを扱うことに面倒くささを感じることがあるかもしれません。しかし、今の商談リストの中に潜んでいるおみそ商談を拾い上げて別のシートでマネジメントすることは、商談リストの密度を高め、かつ商談発掘の仕掛けにメンバーの意識を向かわせる手っ取り早いアプローチの1つです。

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