トライツコンサルティング株式会社

「こだわり」伝えてますか? 映画『シン・ゴジラ』に学ぶB2B営業で大事なこと

Tokyo, Japan - March 27, 2016: People walking through the commercial district of Shinjuku at night. Several advertisements for shops and restaurants can be seen in the background. In the background is the head of Godzilla overlooking a cinema complex as well as Hotel Gracery in Kabukicho.

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映画『シン・ゴジラ』が話題になっているようです。映画を見た人の「良かった!」という感想を耳にしたり、FacebookなどのSNSで目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。

この『シン・ゴジラ』は、大人世代を中心にSNSでじわじわと広がってブームになるという、一風変わったカタチで話題になっているという点でも非常に興味深いように思われます。

今回のトライツブログでは『シン・ゴジラ』を題材に、B2B営業で大事なことについて考えてみたいと思います。

SNSで広がる『シン・ゴジラ』のクチコミ

映画『シン・ゴジラ』は近年の映画の中でも、ちょっと変わった広がりを見せているように思われます。ハリウッド版ゴジラの興行収入を早々に抜き去るなど、数字のインパクトもそうですが、「見てきました」「良かった!」「もう一度見たい!」などとSNSやブログで映画を見た多くの人がコメント/シェアしていて、クチコミで広がっています。

かくいう私も、封切り早々に映画を見た角川からの猛烈な推奨を受け、先週仕事を早めに終わらせて見に行きました。

まだご覧になっていない方もいらっしゃると思いますので、内容についてはあまり触れないようにしますが、確かに面白く、見た人がFacebookなどでオススメするのがよくわかりました。

大人に受けて、見たらつい話したくなる「こだわり」がクチコミを生む

とは言え、この『シン・ゴジラ』、ハリー・ポッターやロード・オブ・ザ・リングなどのようにストーリーや世界観が斬新だというわけではありません。むしろ、ストーリーはこれまでのゴジラの型を踏襲した、「突如現れたゴジラで人々が恐怖に陥るも、最終的には皆が団結してやっつける」というものでしかありませんし、世界観は現実の世界をほぼ忠実に再現したものです。

むしろ、ゴジラ登場という想定外の出来事が起きたときに、硬直・形式化した組織がどのように対応してしまうのかの徹底した描写。
また、自衛隊の作戦の立て方や実行の仕方などミリタリー好きにはたまらないディテール。
そして、エヴァンゲリオンのファンは思わずニヤッとしてしまう庵野監督の演出。
さらには、豪華な俳優陣に、次作を期待させる伏線。
こういった、つい誰かに話したくなるリアリティや「こだわり」が随所に見られるので、ゴジラという虚構のストーリーであっても大人がついつい反応してしまっているのでしょう。

そして、映画を見た人がSNS上で拡散することで、それを見た人が「そんなに言うなら」とか「どれだけのものか見てやろう」と映画館に足を運ぶ。このように『シン・ゴジラ』はTVや雑誌などの従来型のメディアによる大々的な広告宣伝というよりも、映画を見た大人世代によるSNSでのクチコミでじわじわとまるで野火のように広がっているように感じます。

このように『シン・ゴジラ』が受け入れられた理由としては、先にも述べたように随所に見られる「こだわり」があると思います。そして、その「こだわり」を見つけた観客が面白いと感じて、クチコミが生まれているのだと考えられるのです。

説明しないと伝わらない!営業に大事な自社商品・サービスの「こだわり」

この「こだわり」をB2B営業に置き換えるなら、商品・サービスについての「こだわり」ということになるでしょう。しかし、映画であればそれをちゃんと見てもらえさえすれば観客にこだわりは伝わりますが、B2B向けの商品やサービスはそれを見ただけではこだわりが伝わらないことがほとんどです。そのため、自社の商品・サービスのこだわりをきちんと説明するのは営業担当者の大事な仕事になります。

商品・サービスへのこだわりの中身は、企業によってまちまちです。
品質管理に厳しい親会社の社風を守って、同業他社とはまったく違う品質管理のやり方を徹底しているという「こだわり」。
いかなる顧客環境でも正常に動作するようにと、世界中から多くの種類の部品を取り寄せて評価・検証しているという「こだわり」。
サービスのプロを育成するために、他社の倍以上の時間をかけて社内研修に取り組んでいるという「こだわり」。
多くの商品やサービスには、聞いた相手には面白い・凄いと思ってもらえて、顧客の社内で「さっき来た会社の商品が面白くてね」と拡散してもらえるような「こだわり」が隠れているものです。

もちろん、聞くつもりのない顧客に対して一方的に「こだわり」を押し付けるだけでは逆効果になってしまいます。しかし、最初に顧客に「面白いね」「凄いね」と思ってもらい、自社商品・サービスのファンになってもらうために、「こだわり」を伝えるのは大事なことだと思うのです。

多くのB2B営業ではせっかくの「こだわり」が顧客に伝えられていない

しかし、営業の現場を見ているとせっかくの商品・サービスの「こだわり」についてほとんど顧客に話していない、ということが多いように思われます。

商品開発当時の裏話や、サービス運用時に心がけていることなど、「これは面白い」「こういうことをお客さんに話したらいいのに」という話があるのにも関わらず、そのせっかくのこだわりについてはほとんど話をせずに、競合他社との機能の違いや導入メリットばかりを伝えようとしているのです。

話を聞いてみると、「自社がこだわっていることに顧客は興味ないはず」「結局顧客が知りたがるのは価格だけだ」などと思い込んでしまっていて、自社のこだわりを伝えてファンになってもらうことの重要性に気づいていない営業担当者が多いようなのです。これは本当にもったいないことです。

もっと顧客に自社の「こだわり」を伝えよう

すでに見たことのあるお約束のストーリーであるにも関わらず、徹底的にディテールにこだわることで『シン・ゴジラ』はこれだけ話題になる面白い映画になりました。それと同じように、たとえ他社でも扱っている定番の商品であったとしても、自社独自の「こだわり」を伝えることで顧客に面白がってもらえ、社内でクチコミされるようになる可能性がある。今話題の映画『シン・ゴジラ』は、自社の「こだわり」を顧客に伝えることの大切さを教えてくれているのだと思うのです。

そして、この記事を読んで『シン・ゴジラ』に興味を持った方は、ぜひ映画館に足を運んでみてください。
こうしてまた1つ、『シン・ゴジラ』のクチコミ記事が生まれたのでした。

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