トライツコンサルティング株式会社

顧客の購買プロセスを進めるためのキーコンセプト『CCV』とは何か?

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3月17日に弊社代表の角川の新著「予算達成!法人営業7つのツール」(日本経済新聞出版社)が発刊されてから1か月余り。多くの皆さまから「読んだよ」との声をいただきました。まことにありがとうございます。

さまざまなご感想をいただいているのですが、とりわけ一番多いのが、「自社の営業プロセスではなく、顧客の購買プロセスを進めることが大事だ、という部分が印象的だった」というお声です。

今回のトライツブログでは、この「顧客の購買プロセスを進めること」についてもう一段深掘りしてみたいと思います。

顧客の購買プロセスに『関与』する営業になろう!

本を読まれていない方もいらっしゃるかと思いますので、自社の営業プロセスよりも顧客の購買プロセスがなぜ大事なのか、本の中から一部を抜粋してご紹介します。

法人営業(BtoB営業)の場合、目の前にいる顧客の担当者が、こちらの提案を受けて衝動買いで商談を決めてくれる、ということはほとんどありません。
課題を整理し、解決策としてこちらの提案を採用して、社内ルールに基づき意思決定する―――という顧客側の「購買プロセス」をきちんと踏まなければ、顧客は購入できないのです。(はじめに、P.4~5)

顧客の購買プロセスを考えず、懸命に提案をしたり、課題解決のための支援を行っても空振りに終わってしまうだけです。少しでも良い提案を、良い支援を……と自分たちがやることを悩んでいても、それは「顧客のため」ではなく「自分たちの思うように事を進める」ことを考えてしまいがちで、ますます最終目的から遠くなってしまうことが少なくありません。
営業とはモノを組み立てるように、決められた手順通りに作業を行えば、ある程度のアウトプットがでる、というものではありません。だからこそ、こちらが決めた手順通りに事を進めることは重要ではないのです。それよりも強く意識しなければならないのは、顧客の購買プロセスです。これをいかに進捗させられるか、そこで自社商品が選ばれるようにするかということです。(第1章 御社の営業が「未達成」を繰り返す理由、P.42)

このように、自社の営業プロセスにこだわるのではなく、顧客の購買プロセスを理解してそれを進めることが大事なのです。そして、顧客の購買プロセスを進めるためには、それを遠巻きにして眺めているのではなく、そこに入り込んで顧客と一緒に知恵を絞って汗をかくことが必要です。営業担当者は顧客の購買プロセスを意識して商談するのではなく、顧客の購買プロセスそのものに『関与』し、自分もその主体者として前に進めなければならない。ここに大きな発想の転換があるのです。

「顧客の購買プロセスに関与する」とは、自社商品の購買の先にある、顧客のやりたいことを実現するために必要な人間になる、ということ。こういう意味でも、前回のトライツブログ(「御社の営業にはキャッチコピーが付いていますか?」)でご紹介したように、顧客に一言で価値が伝わるキャッチコピーを持った営業になることが大事になってくるのです。

顧客に関与するためのキーコンセプト『CCV』

とは言え、「顧客の購買プロセスに関与する営業になろう」と思っても、実際にそこに関与させてもらうためにはハードルがあります。それは例えば、普段は家の手伝いなんかしない子どもが、誕生日やクリスマスといったイベントの前になると「何かお手伝いさせて」と言ってくるのと同じこと。子供の場合はカワイイのでいいのですが、これまで売り込みモード全開だった営業担当者からいきなり「一緒に考えましょう」「お手伝いします」と言われても、顧客はなかなか気持ちのドアを開いてくれないでしょう。

そこで本の中では、顧客の購買プロセスに関与するための手段として「ツール」をご紹介しています。本では直接的に触れていませんが、実はツールの中には顧客の購買プロセスに関与するための『CCV』というコンセプトが含まれています。

このCCVというのは、Crossover(横断的)、Collaborative(共創的)、Visualising(視覚的)という3つの英単語の頭文字を取ったもので、トライツオリジナルなものです。それぞれのコンセプトがどのようなものなのか、以下に見てみることにしましょう。

CCVその1:Crossover(横断的)

Crossover(横断的)には、境界や垣根を超えるという意味があります。営業活動をしているとどうしても自社と顧客との間に境界線が引かれてしまうものです。それは売り手と買い手という境界、要望を言う人とそれをもとに企画する人という境界、企画を提案する人と評価する人という境界。このように境界線が引かれることで、お互いの立場が分断されてしまい、ついつい「相手」対「自分」という対立構造になってしまいがちです。

この境界線を乗り越えるのがCrossoverです。顧客のことを境界線の向こうにいる、自分とは別の立場の存在だと考えるのではなく、同じゴールを目指す仲間として接することで営業の活動は大きく変わってきます。自社が売りたいものを売るための提案は、顧客にとって最善な企画を顧客と一緒に作り上げる活動になるでしょうし、「あの提案どうなりましたか?」という自社都合の提案フォローは、顧客社内の購買プロセスを通すための顧客との作戦会議へと変貌するでしょう。

CCVその2:Collaborative(共創的)

Collaborative(共創的)は、いわゆる「コラボ」です。複数のメーカーが一緒に一つの商品を作る、それと同じようなことが営業活動でも実現できるのです。営業のコラボの代表例は提案書です。売り手だけが作る提案書はどうしても独りよがりなものになってしまいます。マーケットにはどんな課題があるか、それを解決する自社の商材はどんな強みを持っているのか、この商材がおススメである理由は何か。一般によく出来ていると言われる提案書ほど、売り手の都合・ロジックで作られており、顧客不在になっているのではないでしょうか。

コラボできている提案書は、上のような提案書とはまったく異なります。マーケットの課題ではなく、顧客が見た自分たちの課題を顧客と一緒に明らかにしていく。自社商材の押し付けではなく、顧客にとって最適な解決策を顧客と一緒に探索・評価する。一方的に納入条件を伝えるのではなく、顧客と一緒に導入スケジュールを描く。このような顧客と一緒に作ったページの集大成としての提案書が出来上がるのです。

CCVその3:Visualising(視覚化)

最後はVisualising(視覚化)です。これは「文字ばっかりの提案書ではなく、イラストや図解も入れましょう」というだけではありません。以前のトライツブログで、B2B営業では1つの商談(購買)を意思決定するために顧客社内で6.8人が関わっている、というアメリカのデータをご紹介しました。ここで、営業担当者が資料に頼らずにトークで勝負しようとした場合にどうなるでしょうか。たとえ目の前の顧客担当者のことを説得できたとしても、残りの5.8人を説得するのは顧客担当者です。そして、その顧客担当者の手元には大事なトークの内容がほとんど載っていない一般的な資料だけが残されている、ということになってしまいます。

Visualisingでは、顧客の購買プロセスに関わっている残りの5.8人にも分かりやすい資料づくりをすることをあらわします。それは、自分がトークで補っていることを資料に書き加えるだけではありません。
「もっと顧客にとって分かりやすく」
「顧客が自分で説明できるように」
「忙しい決裁者が一目で見て分かるように」
このように考えて工夫することで、顧客に渡す資料、顧客と一緒に作る資料の質が大きく変化するのです。

CCVを意識すれば、顧客の購買プロセスの進め方が見えてくる

我々はこのようなコンセプトを持ちながら営業ツールを考えています。「どうすれば壁を越えられるか」「もっと一緒にやれないか」「どう表現すればもっとわかりやすくなるか」そうしていくうちにいろいろなアイデアがでてきます。それが顧客の購買プロセスを進めることにつながります。

このCCVを意識して本を読み返していただくとまた少し違う気づきが得られるのではないかと思います。また、5月19日に開催するセミナーをお聞きいただければ、自社での活用に向けてより一層理解を深めていただけることでしょう。ご期待を裏切ることのないよう、準備を進めておりますのでお楽しみに。

◆セミナーの詳細はこちら

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