トライツコンサルティング株式会社

買い手が自分で情報収集する時代にB2B営業担当者はどうふるまうべきなのか

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ウェブが生活の中にすっかり浸透してきました。以前からこのトライツブログでも何回も取り上げてきましたが、レストランや料理屋に行くときはグルメサイトで口コミを調べ、出張でホテルを予約するときは予約サイトで評判を確認する、というように個人としての買い物の仕方は大きく変わりつつあります。

そして、この変化の波がB2B市場にも大きな影響を与えつつある、という具体的な調査結果をご紹介しながら、そのような中でB2B営業担当者はどのようにふるまうべきなのかを一緒に考えてみましょう。

企業の購買部門の行動に変化あり!

それでは、企業の購買部門の行動はどのように変わってきているのでしょうか。

コンサルティング会社のアクセンチュアのWebマーケティング関連子会社であるAcquity Groupが、「Uncovering the Shifting Landscape inB2B Commerce」という興味深い調査結果を発表しました。以下に要点を抜粋します。

「商品やサービスの購入を決める前にウェブで情報収集する」企業が増えてきている。企業の購買部門の94%は、業務に使用する商品やサービスを購入する前に、何らかの形でウェブ調査を行っている。

購買部門はウェブでの情報収集により時間を費やすようになっている。規模の大きい企業が$5,000以上の商品やサービスを購入する際には、34%の企業が3時間以上かけてウェブで情報収集を行っている。

ウェブの閲覧先として最も多いのは「(購入を考えている商品やサービスを提供している)企業のウェブサイト」(回答者の83%)である。しかし、企業のウェブサイトで情報収集を行っている購買部門のうち「企業のウェブサイトが情報源として最も優れている」と回答したのはわずか37%しかいない。

企業のウェブサイト以外のウェブの情報源は、「Google検索」「使用者によるレビュー・クチコミ」「Amazonなどの第三者のウェブサイト」「ブログ」「ソーシャルメディア」など。

この調査結果から、以下の2点を読み取ることができます。
「B2Bの購買部門は購買の意思決定をする前に、より自らで情報収集をするようになっている」
「その情報源として、企業のウェブサイトのような建前の情報だけでなく、第三者による本音の情報を大事にするようになってきている」

もちろん、アメリカでの調査結果なのですべてが日本に当てはまるわけではありませんが、企業の購買部門がこのように変わってきているのは、日本でも同じであると思われます。

顧客は顧客の生の声を探している

そもそも、このように買い手の行動が変わってきている背景として、ウェブの発展により誰もが情報を発信でき、情報にアクセスできるようになったということがあります。以前であれば、業界団体の集まりにでも出かけないと、購入を検討している企業の商品やサービスについての評判を聞くことはできず、情報収集するにはその企業の営業担当者と話をするしかありませんでした。

しかし、誰もが気軽に情報を発信できるようになったことで、状況は大きく変わりつつあります。買い手が情報を探す対象が、Amazonなどのサイトでの口コミやツイッターでのつぶやき、Facebookへの投稿、ブログや掲示板などへと広がっており、他の顧客の「生の声」を知りたがっているのだということがわかります。

これをさらに掘り下げると、買い手は企業によってコントロールされた表向きの情報だけでなく、「本当のところはどうなの?」をこれまで以上に知りたがっていると言えるでしょう。このような中で、B2B企業のマーケティング/営業部門はどのように対応すればよいのでしょうか。

自社サイトでの情報提供には限界がある

まず、第一に言えることとしては、これらの情報は企業にとってコントロールできない情報であるということです。ポジティブな内容であれ、ネガティブな内容であれ、拡散してしまった情報はウェブの中に残り続け多くの人の目に触れることになります。

これに対抗しようとして、自社のウェブサイトの情報をいくら手厚くして「顧客の声」を増やしてみたところで、第三者の本音を知りたがる顧客は引き続きSNSやブログ、他社サイトでの口コミ情報を探し続けることでしょう。そのため、企業としては広がってしまった自社の情報は、もうコントロールできないものだと割り切って対応する必要があるのです。

対策1:自社がどのように言われているのかを知る

しかし、企業としてまったくなすすべがないというわけではありません。買い手は事前に情報収集してはいるものの、最終判断のために営業担当者にコンタクトをとります。そこで営業担当者としては買い手の疑念や不安を払拭して、安心して購買の意思決定ができるように後押しすることが求められます。

そのためにまず大事なことは、ウェブにある自社の情報について知っておくことです。

ウェブにある情報の多くは、自分が直接関係しているものではないでしょう。特に大企業であれば、同じ会社の中で起こったことなのに「よそでの出来事」のように感じてしまいます。また、社内でも関係者以外には情報が回ってこず、新聞や雑誌に載っている以上の情報がないということもままあります。

だからと言って、買い手に質問されても「知らない」「わからない」では、買い手からは意図的に情報を隠そうとしているように見え、逆効果になってしまいます。自社がウェブ上でどのように言われているのか、買い手がどのようなコメントを見ている可能性があるのか、意識しておくことが大事なのです。

対策2:営業担当者が自分なりの意見を持つ

また、自社の情報について知っておくだけでなく、その情報について自分なりの意見を持っておくことも大事なことです。

買い手から「これについて○○さんは、どう考えてるの?」と聞かれて、煙に巻こうとしたり押し黙ってしまったりするのではなく、ちゃんとした意見を返すことができるのか。そこでプロとしての見解を示せているかどうか、誠実に回答しようというスタンスなのかどうかを買い手が見ることによって、「信頼できそうか」「取引をしても大丈夫か」判断されてしまうのです。

ウェブ時代だからこそ、対面での価値提供を大事に

ウェブでさまざまな情報を読み込んで「わかっているつもり」になっている買い手から、「都合のいいことばかり言って・・・」と思われてしまうのか、「さすがプロだな。ちゃんと話を聞いてよかった」と思ってもらえるのか。これは顧客を自分に都合の良いように説得しようとしているか、それとも顧客の役に立とうとしているか、というスタンスの違いによるものです。

本当のプロフェッショナルとは、「顧客の役に立つ」ということと「自社の利益を出す」ということを両立できる人。これができる人はウェブ時代においても存在価値のある営業担当者として役割を果たしていけると言えるでしょう。

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