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B2Bの購入決定に「価格」は最重要ファクターではなかった!

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B2Bの営業においての「価格」は、顧客にとって重要な意思決定のための条件です。リーマンショック以降、その重要度は益々強くなり、「お客さんは価格にしか興味がない」と言い切る営業担当者もいるほどです。
しかし、それに対して米国で興味深い調査結果を見つけましたので、今月のトライツブログはこの調査結果を元にした海外の記事を紹介しながら、一緒にこのテーマについて考えてみたいと思います。

顧客は「過去の経験」を重視して購入先を決めている

この記事ではある調査結果をこのように紹介しています。

より多くのビジネスを獲得するには「低価格」が大切であると、そう教わってきた人は多いのではないでしょうか。しかしこの定義は、B2Bの購入に関しては必ずしも当てはまるものではありません。SiriusDecisions社が行った 2015年度の購買に関する調査によると、 回答者1,000人を超えるなかで、新規の購入で購入先を決めるにあたり「価格」が最も重要なポイントであると回答したのは、わずか8%にとどまりました。では、最も重要な決定ポイントはなんだったのでしょうか 。第1位となった「その企業との過去の経験 」の回答率は34%で、これは第2位の「買い手のニーズに合ったオファーを提供してくれること」の約2倍となりました。ちなみに、「顧客からの推薦」のほうが、「価格」よりも重要なポイントであるという結果も出ています。

もしあなたの企業が、ミッドマーケット(中堅・中小企業向け市場)をターゲットとしたB2B企業であるならば、「価格」が最も重要であると回答した割合は、さらに低い6%であることに注目しましょう。「その企業との過去の経験」は31%、「買い手のニーズに合ったオファーを提供してくれること」は20%であり、それらは「価格」よりもはるかに重要度が高いことがわかります。また、「顧客からの推薦」「セールス担当者との関係」「カスタマーサポート」なども、「価格」よりも重要なものとして考えられていました。

引用元:Price: Not the Most Important Driver of B-to-B Buying Decisions|SiriusDecisions

この調査結果からは、ビジネスライクだと思われがちな米国においても、「過去の経験」を重視して購買の意思決定をしていることがわかります。これは、その顧客で過去に購買して「良かった」という経験をしていれば、また継続して購買してくれると解釈できます。そして、常に安さを第一に購買先を選んでいるわけではないということであり、価格以外の他のことを重視しているとの結果になっています。

営業担当者はもっと「顧客の体験」に関心を持とう

マーケティングや商品開発の世界にUX(User Experience)という考え方があります。これは直訳すると利用者体験となりますが、モノそのものの機能や品質でなく、ユーザーが製品やサービスを買う、使う、所有するという中で感じる「嬉しい」「楽しい」「面白い」「ワクワクする」などという体験で差別化しようという考え方です。

これはモノやサービスづくりにおける考え方ですが、この調査結果からわかるのはB2Bの営業を考えるにおいても、顧客が購買の検討を始めてから、購買してその商品の持つ価値を享受するまでの一連のプロセスの中でいかに顧客が満足した体験をするかということが重要だということではないかと思われます。それはUXではなく、顧客体験=CX(Customer Experience)を大切にした営業活動が重要だということになります。

「この会社と一緒にやれば、自社の課題が解決できるかもしれない。」
「おお、解決できるぞ。すごいな。」
「いやあ、いろいろ大変だったけど、上手く行ってよかった。良い選択をしたな。」
「○○社とはいろんな壁を乗り越えてここまで来れた。大切なパートナーだ。」

長い付き合いの中で、顧客はいろいろな経験をしていきます。これが累積していくことで、顧客との関係が深くなり、安定して継続していくでしょう。
これは顧客との関係が上手くいっている営業担当者にしてみたら「そんなの当たり前」かもしれません。確かに結果としてはそうなっているでしょう。しかし、多くの営業現場においては、「買ってもらうこと」だけを重視しがちであり、顧客がそれぞれのタイミングでどのような体験をしているかということにあまり関心を持てていないことが少なくありません。それで顧客の「もっと安ければ・・・」という声にだけとらわれて、顧客の変化を見過ごしてしまっていたりするのです。営業担当者は自分と顧客が一緒に歩む中で、どんな体験をしているかに強い関心を持つ必要があります。

「顧客の体験」を大切にした営業のやり方を考える

実際の営業活動を考えてみると、工場や研究施設、ユーザーなどの見学とか、技術者同士の交流会などのイベントは顧客の中での体験を大きなものにすることに役立ちます。また、顧客が感じていることをしっかり聞く時間も、体験の価値を顧客と共有化したり、顧客の中でしっかりと認識してもらうためにも重要なことです。

顧客に良い体験をしてもらう・・・そのような策を持つということは、これからの営業を考える上で重要なポイントになると思います。なんとなく続けていることであっても、一度「顧客の体験」という視点からより有効なものになるように見直しをしてみてはいかがでしょうか。

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