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「お客さんのために動ける営業になりたい!」 そう思って提案書を作ったり、業界ニュースを送ったりしているけれど、「本当にこれで喜ばれているのかな?」と迷うことはありませんか?
10年ほど前、このブログで「御社の営業は世話を焼いていますか?「与える営業」のススメ」という記事を書きました。アダム・グラント氏の「GIVE & TAKE」を題材に「ギバー型の営業=上手な世話焼き」こそ最高の成果を出す、という内容でした。
ありがたいことに今でも読んでくださる方がいる、息の長い記事です。ただ、「具体的に何を与えればいいの?」という疑問への答えは少しぼんやりしていました。
そんな中、最近出版された『Give to Grow』(モー・バネル著・2024年)という本に、とてもわかりやすいヒントがありました。今回はこの本を参考に、特別な資料や手土産がなくても、日々の商談の中で今日からできる「3つの贈り物」をご紹介します。
営業が商談で渡せる「3つの贈り物」とは?
「贈り物」というと、分厚い提案書やノベルティなどを想像するかもしれません。でも、ここでいう贈り物は「モノ」ではなく、「お客さんへの向き合い方」のことです。
著者のバネル氏は、次の3つを挙げています。
- 理解の贈り物(「自分のことをわかってくれている」という安心感)
- 知恵の贈り物(「この人とは仕事が進みそうだ」という体験)
- 明確さの贈り物(「次はこう動けばいいのか」という道筋)
「ちょっと難しそう…」と思った方も大丈夫です。実はこれ、皆さんが普段の商談で少し意識を変えるだけで、すぐに実践できることばかりなのです。具体的にどうすればいいのか、よくあるシーンと一緒に見ていきましょう。
コツ1:自社製品をアピールしたくなったら「理解の贈り物」を思い出す
お客さん:「最近、社内の情報共有がうまくいかなくて…」
営業:「あ、それなら弊社のツール『〇〇』で一発解決できますよ!」
お客さんの課題を聞くと、つい「うちの製品の出番だ!」と解決策を急いで伝えたくなりますよね。でも、相手はまだ「自分の状況を本当にわかってくれているのかな?」と不安かもしれません。
そんな時、まずはグッとこらえて、相手の言葉を言い換えて確認してみましょう。
営業:「なるほど。例えば・・・部署間の壁があって、誰が何を知っているか探すのに時間がかかっている、ということでしょうか?」
お客さん:「そうそう、まさにそうなんです!」
この「そうそう!」を引き出せた瞬間が、「理解の贈り物」が届いた合図です。解決策を出すのは、この安心感を持ってもらってからで遅くありません。
コツ2:完璧な資料より、未完成の「たたき台」で「知恵の贈り物」を
営業:「(社内に持ち帰って)よし、お客さんを驚かせるような完璧な提案書を、徹夜して作るぞ!」
頑張りは素晴らしいのですが、これだとお客さんは「完成品を評価するだけ」の受け身になってしまいます。それよりもあえて、60%くらいの未完成な状態(たたき台)を持っていき、一緒に考えてみましょう。
営業:「まだ途中なのですが、こういう方向性で整理してみました。ここから先、〇〇さんのご意見も伺いながら一緒に作っていきたいのですが、どう思われますか?」
Wordやパワポの画面を一緒に見ながら、お客さんの意見をその場で書き足していくのもおすすめです。人は「自分が作るのに関わったもの」に愛着を持つと言われています(IKEA効果)。一緒に作り上げるプロセスそのものが、お客さんにとって価値ある「知恵の贈り物」になります。これはまさに、トライツがずっと大事にしてきた「顧客との共創」そのものです。
コツ3:商談の最後は「ご検討ください」ではなく、「明確さの贈り物」を
営業:「本日はありがとうございました。ぜひ、ご検討よろしくお願いします!」
お客さん:「わかりました。社内で揉んでみます(と言いつつ、忙しくて後回しに…)」
一見丁寧ですが、これは「次にどうするか」をお客さんに丸投げしてしまっている状態です。商談が終わる前に、次のアクションを一緒に整理して、迷わない道筋を作ってあげましょう。
営業:「今日お話しした内容を踏まえると、次のステップとして〇〇を進めるのが良さそうですが、いかがでしょうか? 私のほうで他社事例をまとめますので、〇〇様は来週までにA部長へ共有していただく、という進め方で無理はありませんか?」
「いつ・誰が・何をするか」が明確になれば、お客さんの負担がグッと減り、商談も前に進みやすくなります。これが「明確さの贈り物」です。
「与える」のは、特別なことじゃない
「理解・知恵・明確さ」の3つの贈り物。いかがでしたか? これらは特別な才能も、莫大な準備時間も必要ありません。
「お客さんの話に耳を傾け、一緒に考え、次にやるべきことを整理する」――。皆さんが日々、お客さんの役に立ちたいと真摯に向き合っているその姿勢こそが、実は最大の「贈り物」なのです。
あとはほんの少し、届け方のコツを意識するだけ。明日の商談で、まずはどれか1つを試してみませんか? きっと、お客さんの反応が変わるはずです。
参考:「Give to Grow: Invest in Relationships to Build Your Business and Your Career」(Mo Bunnell, Bard Press, 2024)
