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コロナ禍を経て変化する「B2B営業に求められる素養」

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歴史的な転換点の中に「グレート・○○」と呼ばれるものがあります。有名なのは、1929年のニューヨーク株式市場の大暴落をきっかけに世界中に波及した「グレート・ディプレッション(世界恐慌)」や、日本ではリーマンショックと呼ばれている2008年ごろからの大不況「グレート・リセッション」です。また、昨年(2021年)のダボス会議のテーマが、より良い世界のためにあらゆる社会・経済制度を見直して刷新するという意味の「グレート・リセット」だったことを覚えている方もいらっしゃるでしょう。

そして2022年現在ではコロナ禍からの景気回復に伴い、多くの従業員がより良い待遇・環境の職場を目指して離職・転職する「グレート・レジグネーション」がアメリカで大きな問題になっています。働き手はより良い賃金を目指して今の職場を辞めて次の職場を探そうとしていて、企業は業務が増える一方で人手が減っているので急いで採用しなければならない、というもの。

そんなグレート・レジグネーションの影響で、B2B営業についての調査レポートやブログ記事でも「転職」や「採用」に関連するものが増えてきています。それを見ていて気付いたのが、求められる人材像の変化ということです。

そこで今回のトライツブログでは「採用面接の質問リストから学ぶ、今のB2B営業に求められる素養」と題し、最近の採用面接での質問リストについて書かれた記事を参考にして、企業が現在求めているB2B営業人材像はどのようなものなのかを見ていくことにします。

海外記事「B2B営業の採用面接で問うべき26の質問」

今回ご紹介するのはB2B営業向けの専門情報サイトSales Hackerに最近掲載された記事「26 Sales Interview Question」。単に採用面接でよく聞かれる質問が並んでいるだけでなく、その質問をする企業側の意図や背景と、求職者はどのように回答すべきかということまでが載っているので、これから別の会社の営業職に転職しようという方には、とても役に立つ記事になっています。

26の質問リストの多くは、誰もが昔から聞かれてきたようなものです。いくつか抜粋したものを見てみましょう。

「これまでの成功体験を教えてください」
「あなたが失敗したときのことを教えてください」
「なぜ○○業界の営業を志望されているのですか」
「当社について何を知っていますか」
「私に当社のことを売り込んでみてください」
「あなたを採用すべき理由を教えてください」

新卒での就職活動や転職時の面接で一度は聞かれたことのある質問ばかりではないでしょうか。このような、いわゆる「ベタ」な質問がしっかり網羅されていつつも、今の時代を反映した特徴的な質問が3グループ紹介されています。

特徴①勤務環境の変化への適応

1つ目のグループは、勤務環境についてのものです。

「ここ数年、自宅とオフィスのどちらで仕事をしていましたか」

「在宅勤務だった場合、一番大変だったことは何ですか」
在宅勤務への移行は誰にとっても、特に営業担当者にとって大変なことでした。面接官はあなたがどのような困難な状況に直面したのか、そしてそれをどのように乗り越えたのかを知りたいと思っています。

「在宅勤務で、どのようにモチベーションを保っていましたか」
ZoomなどのビデオソフトやSlackなどのチャットソフト等、人とつながるために使用していたツールについて。また、コーヒーを飲みながらの定期的な雑談や同じ地域に住む同僚とのコワーキングなど、仕事仲間とのつながりを感じるために参加していたイベント/行事について、考えてみてください。面接官は、あなたのモチベーションを高めるものが何なのか、そしてそれを上手に維持する手法を見つけているか、また維持するための活動を計画的に行っているかを知りたいと思っています。

これらの質問は、単純に企業側の勤務場所(オフィスまたは自宅)と求職者がこれまでに経験してきた勤務場所が同じかどうかを確かめるだけのものではありません。オフィスから在宅勤務への移行という環境変化に対応できるのか、そして自らのモチベーションを維持する方法を自分で見つけ、自らコントロールできる能力を持っているか、を確認しようとしているのです。

特徴②テクノロジー活用

2つ目のグループは、テクノロジー活用についての質問です。

「営業活動を進める際に、現在どのようなテクノロジーを活用していますか」
面接官は、採用後に必要な研修として何が必要かを理解するために、自社の営業組織で利用しているテクノロジーと、あなたが慣れ親しんでいるテクノロジーとの重複度合いを確認しようとしています。

「最近最近見聞きした、もしくは学んだテクノロジーの中で、特に興味をそそられたものはどれですか」
テクノロジーについての好奇心は、優れた営業担当者に必要不可欠な素養です。また、顧客のニーズや好みなどが変わっても、それに対応する柔軟性を持っているかを測る質問でもあります。

日本のB2B営業で活用しているテクノロジーと言うと、SFAや、TeamsなどのWeb会議のツールが代表的ですが、欧米のB2B営業では様々なツールが活用されています。例えば、Web会議やEメールに電話などの複数の顧客接点を統合し、SFAと連携するツールである「セールスエンゲージメント」や、複数のSNSへの投稿や見込客の育成状況を管理する「ソーシャルセリング」、メールマガジンへの反応やWebページの来訪状況からアタックすべき見込客を自動で計算・選定してくれる「リードエンゲージメント」、営業関連資料を保管したりノウハウを共有したりする「コンテンツマネジメント」など。これらの多種多様なテクノロジーを横断的に使うのが当たり前になっているので、求職者がどのテクノロジーを使えるのかを知っておく必要があるのです。

また、2つ目の質問は、テクノロジー全般に対してオープンな好奇心を持っているか、そして新しい変化に対して積極的かつ柔軟に適応しようとする姿勢を持っているか、を把握しようとするもの。営業で使用するツールやテクノロジーが今後さらに進化するであろうことは確実ですので、それに対応できる人材かどうかは重要な確認事項です。

特徴③自発的な創意工夫

そして3つ目のグループは、自発的に創意工夫するタイプかどうかについての質問。

「アポイントを取得するために、最近チャレンジした創意工夫について教えてください」
面接官は、目標達成のための積極性について知りたいと思っています。ルールや手本に従って、いつも同じように行動するタイプの営業担当者は、時間の経過とともに業績が低下し、燃え尽きてしまう傾向があります。

テクノロジーの導入に伴って、多くの営業組織で使用するコンテンツの共通化や活動の標準化が進められています。もちろん定められたツールや手順の理解・活用が求められてはいるものの、それぞれの状況に応じて創意工夫することも同時に必要とされています。組織で活用するコンテンツや活動を継続的に改善するために、工夫を惜しまないタイプであることも現在のB2B営業担当者にとって大事な素養なのです。

現在のB2B営業に求められる3つの素養を身につけるために

これらの内容をまとめると、現在のB2B営業担当者には、コミュニケーション能力や失敗から立ち直る力、積極性などの従来から言われていたような素養だけでなく、「変化する環境に自分で適応できる」「テクノロジーを柔軟に使いこなせる」「自ら進んで創意工夫ができる」という3つの新たな素養が求められている、ということが分かります。

皆さん自身は、また皆さんのチームのメンバーは、この3つの素養を持っているでしょうか。先ほどの質問に対して自信を持って答えられるでしょうか。

今回ご紹介した質問リストは、市場価値の高いB2B営業のプロフェッショナルを見極めるための質問です。そのため、現在営業職に転職しようとしている人だけでなく、転職の見込はないけれど自身の市場価値を高めて今後さらに活躍したいと考えている人にとっても大事な質問なのです。

皆さんの営業チームのメンバーが「変化する環境に自分で適応できる」「テクノロジーを柔軟に使いこなせる」「自ら進んで創意工夫ができる」という3つの素養を身につけ、先ほどの質問に胸を張って答えられるようにするために、どのような経験を積ませればよいのか。そしてその経験を積ませるためにはどのような施策を実施すればよいのか。

採用面接だけでなく、チームメンバーの育成や営業施策の設計・運用という観点でも、今回の質問リストとそこから抽出された3つの素養を参考にしてみてはいかがでしょうか。

参考:「26 Sales Interview Question」(Hana Elliott, Sales Hacker, Mar 09, 2022)

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