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スキルアップ研修はもう要らない?「最高のB2B営業研修」とは

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「人は城、人は石垣、人は堀」。歴史が好きならご存知の方も多いでしょう。戦国時代の兵書である「甲陽軍鑑」の中にある、武田信玄のものとされる言葉です。甲斐一国から信濃や駿河・美濃へと領国を拡げ、京をうかがう戦国の大大名となった信玄を支えたのが、武田家臣団と呼ばれる強固な集団。戦国の世の頃から、人材を集め育てることは大切だと考えられてきたのだと思います。

リモートでの営業活動にAIの活用など、急速に進んでいるデジタルツール活用の広がりと歩調を合わせるかのように、営業人材の育成にも今まで以上に注目が集まっているように感じます。実際にトライツにも、1年ほど前から営業人材育成についてのご相談を、それまで以上に多くいただいています。

そこで、今回のトライツブログでは海外の記事「The Best B2B Sales Training Investment You Can Make in 2021」(2021年最高のB2B営業研修)をもとに、営業人材育成施策の定番、「営業研修」について考えてみましょう。

「2021年最高のB2B営業研修」とは?

今回ご紹介する記事「2021年最高のB2B営業研修」を書いているのは、米国の営業コンサルタントであり著述家のノア・フレミング氏。邦訳こそされていませんが、「Evergreen」という有名なB2B営業の本の著者として知られています。Evergreenとは常緑樹という意味で、常に新規顧客の開拓に追われている企業は枝から葉(顧客)が離れ落ち続ける落葉樹のようなもので非効率的であり、企業は葉(顧客)を維持し続ける常緑樹であるべきだ、というもの。昨年のオーディオブックランキングの上位に入っていましたし、一昨年には中国で訳書が出版されるなど、出版から6年が経った今でも注目されている名著です。

それでは早速、B2B営業向けの最高の研修がいったいどのようなものなのか、記事の中身を見ていくことにしましょう。

とても魅力で好感を持てる研修講師から素晴らしい事例が紹介されるのだけど、自分の仕事とは全く関係がない、という営業研修を受けたことがあるのではないでしょうか。
言うまでもなく、事務所の外に出て受ける研修は気分が良いものです。しかし、スキルアップにも、毎日の行動の変化にも、研修費用の回収にもつながらない、という研修がこれまでにあったことでしょう。(中略)
このような状況に対して私が常々言ってきた言葉を捧げます。「99%の確率で、あなたのビジネスにはこれ以上の営業研修は必要ない」のです。

記事では続けて、このように主張する理由が述べられています。

「これ以上の営業研修が要らない」2つの理由

多くの研修会社が、1つの研修プログラムをすべての業種・業態に当てはめようとする過ちを犯しています。このような研修プログラムでは、汎用化された研修事例を使わざるを得ません。(中略)
しかし、自分たちの実際の業務に関係しないワークを一日中受けていたいと思うような営業パーソンは一人もいません。

では、自分たちの業界にカスタマイズされたものが最高の営業研修なのかというと、そうではないようです。多くの営業組織において、業績を上げるために必要なのはスキルアップのための営業研修ではないと、フレミング氏は述べます。

「自分たちには営業研修が必要だ」と考えているほとんどの場合において、本当に必要なのは別のものです。(中略)真に必要とされているのは、より良いプロセスであり、より良い組織構造であり、より良いツール/システムであり、より良い営業文化なのです。
もしあなたの組織がこれらの問題に最初に手を付けていないのであれば、営業研修をしても金のムダになってしまいます。研修によって興味深い技法を学ぶことができ、一時的に業績が良くなることがあるかもしれませんが、根源的な問題に手を付けなければ、高い営業実績を維持することは不可能です。(中略)
その一方で、あなたの営業組織の価値観や文化、ツール/システムやプロセスに連携させることができるのであれば、どのような研修もずっと効果的になるのです。

フレミング氏が「これ以上の営業研修は要らない」という2つ目の理由がこれです。話題の目新しいスキルを習得させるのではなく、プロセスやツールなど自分たちの営業活動の根源的な問題に手を入れ、それに研修を連携させることこそが最高の営業研修だというのが、この記事のメインメッセージなのです。

プロセスやツール/システムに続いて「文化」や「価値観」という言葉が出てきています。記事の最後の方で「首尾一貫した継続的な営業文化」という表現が出てきますので、ここでの「文化」「価値観」は「Evergreen」などの著書で主張していた、既存顧客の維持を重視する文化や価値観のことを指しているものだと捉えて間違いないでしょう。

自社の営業ならではのプロセスやツール/システムを整備することで、本当に必要となるスキルはごく限られたものになり、巷にあふれている汎用的な研修の多くは不要であるという考え方は非常に明快です。

最高のB2B営業研修とは

例えばゴルフのスコアUPを実現しよう!と考え、専門家のアドバイスをもらったとします。そこで「体幹から鍛えなおしましょう」とか「ゴルフに取り組む姿勢から見直しましょう」と言われたらどうでしょうか。多くの人は「そこまではできないので、手軽にできるテクニックを教えてほしい」と思うのではないでしょうか。また、中には「やってみよう!」と取り組んでみるものの、仕事の都合や家庭の事情などで挫折してしまう人も少なくなく、結果として本当に上達するのは最後までやり切ったほんの一部の人だけです。

これは営業における研修でも同じです。「ソリューション営業力強化」という汎用的な研修を受けたとしましょう。そこでは「顧客視点で考える」とか「顧客の課題に寄り添う」などと本質的な営業に関する姿勢から教わるはずです。しかし、多くの人はそこで学んだちょっとしたテクニックの中から自分達の営業で使えそうなところだけをピックアップし、少しやってみるという程度で終わってしまいます。それで上手くいけばいいのですが、あまり期待する結果がでなかったら「ウチの営業には合わなかったです」と結論付けられてしまいます。

フレミング氏はこのことを問題視し、汎用的な研修は要らないとしているのです。しかし、趣味の世界のゴルフは徹底してやりたい人、やれる人だけがやれば良いことですが、営業は組織として結果を出さねばなりません。汎用的な考え方、やり方だけ教えて、できる人だけやれば良いとしてしまうと全体の生産性がいつまでも向上しないのです。

ましてやコロナ禍はデジタル化の流れを加速させています。変化する顧客の購買活動に合わせた営業に向け、急いで舵を切らないとなりません。そのためには営業活動のプロセスや使用するツール/システムを再構築・標準化した上で、本当に必要となるスキルだけに絞り込み、業務プロセスの進め方やツール/システムの使い方から、そこで必要となるスキルまで一気通貫で学ぶことができるようにする必要があるのです。それが今、求められる最高のB2B営業研修であると思います。

まず「目指す営業の姿」を明確に描くことから始めよう

リモートでの営業活動に、デジタルツールの活用など、現在の営業パーソンには学んで身に付けるべきことが多くあります。しかし、だからといって反射的にリモート営業力強化研修やデジタルツール活用研修などのような、一般的なスキル研修に飛びついても残念ながら効果は限られたものになってしまいます。スキルを考える前に現在の営業プロセスや使用するツールを見直し標準化する。さらにその前に自分たちがどのような営業でありたいのかという、「目指す営業の姿」を明確にすることから始める。効果的な営業研修を行う上で、これらのことは欠かせない大事な要素なのです。

トライツコンサルティングは実際の業務に則した、プロセス再構築・標準化から実践的なスキル訓練までの一気通貫型の営業研修を提供しています。「汎用的な研修をやってきたが成果につながらない」「プロセスやツールの見直しも含めて営業の人材育成をしたい」という方はご相談ください。

参考:「The Best B2B Sales Training Investment You Can Make in 2021」(Noah Fleming, Fleming Consulting & Co, February 6 2021)

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