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営業DX人材に求められるスキルとは【前編】

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年末の風物詩であるユーキャンの新語・流行語大賞が発表され、ビジネスに関するものでは「オンライン○○」がトップテン入りしました。ノミネート入りを逃しましたが、ビジネスにおいて普及・拡大した言葉は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」ではないでしょうか。ちなみに、日本経済新聞ではこの1年間で「デジタルトランスフォーメーション」が含まれている記事が1,000件以上でした。その前の1年間では200件足らずだったので、新語でこそありませんが文句なく流行語にはなっていると思います。

そんなDXの焦点が、デジタルテクノロジーの開発・導入から、それらを活用する人材育成に移りつつあるようです。1か月ほど前に「自民党がDX人材の育成策を考える委員会を設立」というニュースがありました。有識者との会議を行い、年内にも政府に提言するとのこと。DX人材そのものとそれに求められるスキルがどう表現されるのか、気になるところです。

このようなトレンドの影響か、私たちにも「営業DX人材を育成したい」というお話をいただく機会が増えています。B2B営業においても、DX人材の育成は重要なテーマとなっているのです。

そこで今回のブログでは、トライツが考える営業DX人材に必要なスキルと、その育成を考える上で大事なポイントについて、ご紹介します。

2つの型がある営業DX人材

具体的なスキルについて考える前に、そもそも営業DX人材について考えるところから始めましょう。
営業DXとは、シンプルに表現すると「データの重要性を理解し、適切にデジタル技術を活用して営業を改革すること」なので、営業DX人材とは、これを主体的に推進できる人材ということになります。

それは単にITが得意だということではありません。自社の営業という仕事のことがわかっている上で、新しいやり方を企て、実行できる人材です。さまざまな問題を気合と根性の精神論だけで片づけたり、結果数字だけを比較して後でアレコレ言うようなことではなく、いろいろなデータを活用し、より生産性が向上するようPDCAを回すことが求められます。

そのようなことができる営業DX人材には、「実践型」と「企画型」の2つの型があります。

「実践型」は、デジタルツールを使いこなして効率的な営業活動を実践する人材です。Web会議やグループウェア、SFA/MAなど、対象となるデジタルツールは業界/企業によって異なります。また、実践型の中には現場の担当者だけでなく営業マネージャーなどの管理職も含まれます。

「企画型」は、自社の営業担当者が「実践型」になれるよう、デジタルツールの導入・活用や業務の変革を企画する人材です。いわゆる営業企画や営業推進などの部署のメンバーがこれに該当します。

この「実践型」と「企画型」の2つを見ると、営業DXで実際に成果を創出するためには「実践型」が不可欠なのですが、その実践を効率的・効果的なものにするためにまず「企画型」が必要だということが分かります。営業DXの舵取りを担う企画型人材の育成がとても重要なのですが、私の見る限り、多くの企業の企画型営業DX人材でスキルのミスマッチが起きてしまっています。

企画型営業DX人材に求められる3つのスキル

では具体的に、どのようなスキルが不足しているのでしょうか。
トライツでは、企画型営業DX人材に求められるスキルを「プログラミング的思考力」「ビジュアル思考力」「データサイエンス的思考力」の3つだと考えています。

「プログラミング的思考力」とは、実際に何らかの言語でプログラムを開発することではありません。プログラミングでオブジェクトという言葉がありますが、自分たちが行う一連の業務を要素(オブジェクト)に分解して、関連性や構造を理解し、よりよいものへと組み立てられるスキルのことです。MAツールなどでフローを設計する際は、「どんな条件になったら何に対してどの処理を行うか」と考えて組み立てていくのですが、このように業務の流れをロジカルに設計するスキルがデジタルツールの活用には欠かせません。

2つめのスキルの「ビジュアル思考力」は、図解や動画などを使って視覚的にゴールイメージやビジョンを伝えて、人や組織を動かすスキルです。これも、先ほどのプログラミング思考力と同様に、自らグラフィックデザインができたり、動画を編集できたりする必要はありません。ビジュアルを活用して人や組織を動かすコミュニケーションが取れればOKです。DXに限らず、新しい変革に取り組む際にはこのビジュアルを使って人/組織を動かすスキルが大事になってきます。

そして3つめの「データサイエンス的思考力」は、自分たちの業務やキャンペーン、研修などの各種施策の成果をデータをもとに評価・判断するスキルです。分析の切り口を設計したり、出てきた分析結果を評価したりといったことは必要ですが、自らデータベースを構築したり統計解析処理をしたりというところまでは必要はありません。データに基づいて、自らの業務や施策を客観的かつ迅速に評価したり、将来を予測するためには、このデータサイエンス的思考力が不可欠です。

「プログラミング的思考力」「ビジュアル思考力」「データサイエンス的思考力」の3つに共通しているのは、実際に手を動かしてプログラミングやデザイン、分析をするような技術的なスキルではなく、「思考力」とあるように考え方を使って業務を進めるスキルだということです。プログラミングもビジュアルデザインもデータサイエンスも、それぞれが奥深く一朝一夕に専門スキルを身に付けられるものではありません。専門スキルを持つ社内外のパートナーと協働して業務を進められるようになるための「思考力」が、企画型の営業DX人材には求められているのです。

ここまでの内容をまとめたのが、下の表です。

一口に「営業DX人材」と言っても、実践型と企画型という2つの異なる人材像があることがお分かりいただけたかと思います。

【次回】多くの営業企画が使っている3スキルとそれが有効である条件とは

今回のブログで、特に企画型の営業DX人材に求められる新しいスキルとして、「プログラミング的思考力」「ビジュアル思考力」「データサイエンス的思考力」の3つをご紹介しましたが、実際の営業企画・営業推進の方々が得意としているスキルは別に存在します。

次回のトライツブログでは、既存の企画型人材が持つスキルを確かめ、今回ご紹介した新しいスキルが必要となるための営業DXの条件/パターンについてさらに深く考えていきたいと思います。後編もどうぞお楽しみに。

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