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OJTにお悩みのマネージャー必見!営業育成のカギは「工程設計」にあり

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「何度も添削してきたし、勉強会や研修もやっているのに提案書を書けるようにならない」
「社内会議などの場で指導してきたのに、いつまでも商談の進め方がイマイチなまま」
指導・教育しているのに提案書や商談の進め方といったメンバーの仕事の質がなかなか上がらないというのは、OJTでメンバーを指導している営業マネージャーならば、誰もが経験し悩んできたことでしょう。

そのような悩みを解決するヒントとして、今回のトライツブログでは営業の世界ではあまり見聞きすることがない考え方である「工程設計」について考えてみたいと思います。提案書の赤ペン添削や商談の進め方の指導だけでは限界を感じている方、ご自身の営業マネジメントをスキルアップしたいとお考えの方は、ぜひお読みください。

「アウトプット」だけでなく「工程」について話をしていますか?

「メンバーの提案書の質が低い」「商談の進め方がイマイチ」このように嘆いている営業マネージャーの方々の話を、本当によく耳にします。そのような方々の話を聞いていると、決してメンバーのことをほったらかしにしているのではなく、営業部門内で勉強会や研修を開いていたり、提案書の赤ペン添削や商談の進め方についてのフィードバックをしたりと、メンバーのために色々と手を尽くしています。そして、「なんでここまでやってあげていてもできないのだろう?」と悩んでいることが少なくありません。

そのような話を聞き、そして実際に赤ペンで添削した提案書やSFAの中の商談報告のメモを読ませてもらって、気づいたことがありました。それは、このマネージャーとメンバーが話をしているのは、提案書の中身や次の商談で何をするかという具体的なアウトプットについてが主であり、アウトプットを考える前の段階で、どういう手順で作っていくのか、商談の全体をどのように組み立てていくのかといった、アウトプットするための仕事の進め方、すなわち「工程」については話す機会はほとんどないということでした。

しかも、アウトプットが出来てしまってから「顧客に○○は聞いたのか?」「△△についての説明はしたのか?」などとそこに至るまでの「工程」についての話が突然出てきたり、「顧客が買うイメージが沸かない」とか「もっとビッグビジネスにつながる提案を考えろ」というような抽象的なコメントを返すだけだったりするので、メンバーはどうしていいかわからなくなり、とにかく期日までにマネージャーからOKを貰うことに四苦八苦し、その状態に対してマネージャーはイライラしてばかり・・・というような状況に陥ってしまうことが多かったのです。

仕事の質が上がらないのは「工程設計」不足

どんな仕事でも、具体的な「アウトプット」とそれを生み出す一連の活動である「工程」に分けることができます。顧客向けの提案書づくりという仕事を例にとると、アウトプットは出来上がった提案書そのものです。そして、その提案書を作るまでに、顧客の課題を聞き出し、その課題を解決する方向性について顧客と合意し、具体的な解決策を考え、それを実現・作成する方法を考え、解決策を導入・利用して顧客の課題を解決するスケジュールを作る、という工程を進めなければなりません。

そして、これらの工程はそれぞれがさらに小さな工程へと分解されていきます。例えば、顧客の課題を聞き出すためには、誰からどんな課題をどの順番で聞き出すかを考える必要があり、そのためにまだ会えていないヒアリング対象者に会うための算段を付けなければならず、その対象者を今知っている人から紹介してもらうためにその依頼の仕方を考えなければならない、といった具合です。

この例のような、仕事の進め方(工程)を自分で組み立てることを「工程設計」と呼びますが、OJTで悩んでいる営業マネージャーの話を聞いていると、ここにあまりフォーカスしていません。その結果、メンバーが工程設計に意識を払わない状態で仕事に取り掛かっています。だから、いつまで経っても仕事の質が上がらない。という悪循環が生じているのです。

工程設計を深く考えずに進められる現在の営業

会社の共有ドライブの中には沢山の提案書のファイルがあります。営業担当者の提案書作成はこのファイルの中から自分の商談で使えそうなものを選び、それを修正するところから始まります。ゼロから組み立てるということはほとんどないのではないでしょうか。

これは仕事の効率を上げるというプラスの面がある一方で、「商談を自分で組み立てる」ということをしなくてもなんとなく資料ができてしまうので、商談の「工程設計」のスキルが身につかないというマイナスの面があるように思います。

商談の工程設計スキルが高い営業担当者にとっては、過去の資産を上手く使いまわすことができる環境は、とても効率的で便利なのですが、そこが十分でない営業担当者にとっては、営業としての基礎スキルを磨く機会が奪われているという面があるのです。

営業マネージャーの多忙が拍車をかけるアウトプットだけの管理

また、営業マネージャーがやることが昔よりも増えています。20年ほど前には、プレーイングマネージャーという言葉が新しく出てきたことからわかるように、現場業務を持たない管理職の方が主流だったのですが、今ではプレーイングをしていない純粋な管理職としてのマネージャーは大企業であってもずいぶん少なくなっているように感じます。

このようにマネージャーも自分の現場業務を持つようになり、四半期決算業務の浸透によって計数管理の頻度が増え、SFAなどのツールの面倒も見るようになるなど、営業マネージャー自身が多忙になっています。そのために、メンバーの普段の仕事の進め方まではとてもチェック・指導しきれずに、提案書などのアウトプットが出来上がった段階でようやくチェックをかけて食い止めている、というのが実態ではないでしょうか。

それでは、OJTを通じてメンバーの仕事の質を高めるために、その結果として忙しい営業マネージャーの負荷をラクにするために、どうすれば良いのでしょうか。

工程設計を指導できるようになるための2つのポイント

ここまで読んでこられた方ならご想像がつくかと思いますが、やるべきことはアウトプットを作る前に、仕事の進め方・考え方について営業マネージャーが指導し、メンバーに工程設計をさせることです。しかし、そのために、営業メンバーとのミーティングの時間や頻度をやみくもに増やすだけではうまくいきません。実際に工程設計について指導できるようになるためには、2つのポイントがあります。

1つめのポイントは、工程設計の指導という視点を持ちながら「コーチング的にメンバーに関わること」です。頭ごなしに叱りつけたり、自分の考えを押し付けたりするのではなく、メンバーがどのように仕事を進めようとしているのか(工程設計しているのか)を引き出し、続きを一緒に考えてメンバーが言語化するのを助ける。そのようなコーチング的な関わり方をすることで、メンバーに欠けているものがよりはっきりと見えてきますし、こちらが教えたいこともメンバーが受け取りやすくなります。

そして2つめのポイントは、事前に営業マネージャーが自分としての仕事の進め方・考え方を言語化して、教えられるようにしておくことです。営業マネージャーの方々と話をしていて私が感じるのは、せっかくの貴重なノウハウが人に教えられるように整理されていない、ということ。そもそも自分が仕事の工程設計ができていなければ、人には教えられませんし、それを言語化できないと相手に伝えることはできません。「顧客が買うイメージが沸かない」とか「もっとビッグビジネスを考えろ」というような抽象的なコメントでなく、自らそんなコメントを返さなくていいような仕事の進め方のアイデアを仕事を進める前に提供してあげることができれば、お互いにイライラすることはなくなりますし、次から自分で応用することにもなるのです。

そのためにマネージャーはメンバーと工程設計についての会話を始める前に、自分が大事にしていてメンバーに教えたいと思っていることを、ノートやメモ帳に書き出してみましょう。曖昧な部分があればそれに名前を付けて定義し、体系的に図解・整理してみるのです。そうすることで、相手の理解度は全く変わってくるはずです。

工程設計は仕事に自分の意図を込めること

工程設計をすることは、自分の意図を仕事に込めることだと私は考えています。そしてその意図が明確になれば、工程設計を便利にしてくれる各種のツールや仕掛けが生きてくるようになります。提案書全体の構成をきちんと組み立てているからこそ、雛形のなかから適するページを意図をもって選べるようになる。商談の全体的な流れを組み立てているから、SFAに入力する際に意図をもって「商談プロセス」を指定できるようになる。これらのツールや仕掛けが力を発揮できるようになるのです。

メンバーのOJT指導で悩んでいて、これまで指導の対象が提案書などのアウトプットばかりだったとしたら、ぜひ今回の記事を参考にして、進め方・考え方という工程設計の部分にも注目してみてください。また、それに併せて、ご自身の進め方・考え方についても言語化・体系化してみていただければと思います。きっとこれまで以上に分かりやすくインパクトを持って、進め方・考え方ををメンバーに伝えられるようになるはずです。

トライツコンサルティングでは、進め方・考え方に焦点を当てたOJTの推進を、「マネージャー向けコーチング力の強化」や「営業ノウハウ・スキルの体系化・構造化」といった観点からサポートしています。具体的な進め方についてご興味のある方、実際にご自身の営業組織で取り組んでみたいという方は、ぜひご相談ください。

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