営業戦略

B2B営業が今取り組むべき「探索型データ分析」とは

B2B営業が今取り組むべき「探索型データ分析」とは

昨今、データサイエンスやAIの普及が日本の大企業の姿を変えつつあります。
今年に入ってから、証券業や銀行業、製薬業などで大幅な組織体制の見直しが発表されています。そして、それらの企業の多くが既存の営業体制や事務体制を見直して、データサイエンスやAIに明るい人材の強化を進めようとしていることは皆様もご存知の通りです。新聞などでよく使われる「データの世紀」という言葉が、まさに現実のものになってきているのです。

そのような中、データサイエンスやAIの普及に伴って「探索型データ分析」というキーワードが注目を浴びつつあります。そこで、今回のトライツニュースは、「探索型データ分析と、今B2B営業がそれに取り組むべき理由」について考えていきたいと思います。

B2B営業でよくある「検証型データ分析」

探索型データ分析の言葉の説明に入る前に、皆さんが仕事で目にしてこられた「B2B営業でよくあるデータ分析」を思い返してみてください。おそらく、多くの方がイメージされているデータ分析とは、次の2つのタイプのものが多いのではないでしょうか。

  1. 半期末や四半期末といったタイミングで、当初立てた計画通りに売上が上がったのかを確認する
  2. 計画と実績に差が出た場合に、実績数字を年間/半期/四半期/月次といった「期間」ごと、支店や営業所/部課などの「部署」ごと、「商品」ごとに、比較/分解する

これらの2つのデータ分析は、「あの顧客にはこの商品がいついつのタイミングでこれだけ売れるはずだ」という計画(仮説)に対して、計画通りに進んだのかどうかを確認(検証)するというもので、「(仮説)検証型データ分析」と呼ばれます。売上見込などの仮説が当初から存在している、というのが「検証型データ分析」の最大の特徴です。

新たなアイデアを見つける「探索型データ分析」

その一方で、最近よく取り上げられるようになった「探索型データ分析」というのは、明確な仮説がない状況でその仮説を見つけるために行う分析のことを言います。
「売上が伸びている商品Aと、伸びていない商品Bとの違いは何だろう?営業担当のスキルだろうか、それとも顧客の分類に何か違いがあるのだろうか?」
「受注する商談と、失注する商談との違いは何だろう?商談の進め方に何か違いがあるのだろうか?」
などというように、売上が伸びたり、受注したりする理由がよく分からないときに、営業担当者のスキルや、顧客の分類、商談の進め方などの様々な要素を組み合わせて分析し、今まで明らかになっていなかったアイデア(因果関係や構造)を見つけようというものです。

私は、今まで色々なB2B営業組織の売上データやSFAデータなどを使って探索型データ分析をしてきました。その中でも印象的でその後の営業改革につながった分析結果は以下のようなものです。

  • 新規開拓での受注確率が最大となる提案書のページ構成
  • SFAへの入力データから見る、商談の受注確率向上につながる顧客情報の種類とキーワード
  • 研修形式で実施した新規開拓営業プロジェクトで、商談の進捗に好影響を与える営業マネージャーの指導スタイル

分析を始めるときには「何か関係があるかもしれない」程度のぼんやりとした疑問に過ぎなかった考えが、分析を進めていくことで売上につながる因果関係へと姿を変えていくというのが、この探索型データ分析の醍醐味なのです。

B2B営業組織が探索型データ分析に取り組めない理由

しかし、残念ながら日本のB2B営業組織でこの探索型データ分析に取り組めているところはほとんどない、というのが実情だと私は考えます。

その理由として、
「営業現場にデータ分析が得意な人がいない」
「そもそも探索型データ分析をやったことも、見たこともない」
「価値あるアイデアが必ず見つかるとは確言できず、投資対効果が不明なので踏み出せない」
など、いろいろとありますが、最たるものだと私が考えるのが「ちょうどよい無知の人がいない」というものです。

探索型データ分析をするうえで必要になるのが、これまでの固定観念や過去の経験から当たり前だと思っていることを一度頭の中から追い出して、「もしかしたらこのデータと売上数字の間に何か関係があるかも!?」と一見するとバカバカしい発想でも試行錯誤を繰り返すことです。このときに固定観念や過去の経験にとらわれたままだと、自分の頭の中に既にある仮説を検証するだけの分析になってしまい、新しいアイデアを見つけることはできません。

その一方で、業界や業務に関する予備知識がまったくない外部の分析屋さんに依頼すると、使い道のない結果や、当たり前すぎる結果が探索型データ分析のレポートとして上がってくることがままあります。そうなると、ページ数は多いものの本当に使える価値のある考察はほんの数ページだけ、ということになり「手間と金額の割には・・・」となってしまいます。

そのため、探索型データ分析を実施するには、業界や業務に関する予備知識はありつつも、過去の経験や固定観念にとらわれずに試行錯誤を繰り返すことができる「ちょうどよい無知の人」を見つける必要があるのです。この「ちょうどよい無知の人」は営業現場や営業企画部門にはなかなかいません。どうしても日々の経験から固定観念が生まれてしまうので、目新しい切り口での分析にならないのです。個人的な経験ではありますが、SFAなどを運用・管理しているグループ会社のシステム担当、市場データを集めるときによく使う調査会社の分析担当者、などが探索型データ分析に適した「ちょうどよい無知の人」であることが多いように私は感じます。

探索型データ分析に使える「相関・回帰」と「分類」

それでは、首尾よく「ちょうどよい無知の人」が見つけられた場合、どのように探索型データ分析を進めればよいのか。
実は以前にこのトライツニュースで連載した「営業マネージャー/営業企画のための統計活用入門」シリーズが、この探索型データ分析を想定して記載したものになっています。その中でも、複数のデータ同士の関連性を見る「第三回:相関・回帰」と、データに含まれる構造を視覚的にわかりやすく表現する「第四回:分類」の記事では具体的な分析手法と分析のイメージを記してありますので、参考にしてください。

B2B営業を取り巻く環境が激変する今こそ探索型データ分析に取り組もう

SFAやMAなど、B2B営業の現場で様々なシステムツールが導入され、多くの商談データや顧客データを扱うことができるようになりました。また、多くのシステムツールで分析機能が強化されており、以前は統計解析の専門家でなければできなかったようなデータ分析を、今ではユーザーサイドでも簡単に実現できるようになっています。このようにB2B営業にも「データの世紀」が訪れている現在では、これらのデータを活用しないというのは非常にもったいないことです。

そして、探索型データ分析に今取り組むべきもう一つの理由は、B2B営業が大きな転換点に差し掛かっているからです。顧客はますますWebを使って情報収集するようになってきており、顧客が購買活動の主導権を握りつつあります。また、MAやインサイドセールスなどによって、これまで対面でのコミュニケーションが主体だったB2B営業が大きく変わりつつあります。これはつまり、今までに獲得した経験に基づく営業の成功パターンが通用しなくなる、ということです。これまでの固定観念にとらわれず、売上や受注につながる新しいアイデアを見つけることが激変する現在のB2B営業組織に必要であり、今回ご紹介した探索型データ分析はそのための有効な切り口の1つなのです。

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
実際に現場で成果が出るまでお手伝いします。現場の力を引き出し、現場に新しいアイデアを加えることで、顧客から選ばれるビジネスへの変革を実現します。
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