人材育成

若手営業マン育成のカギを握る!
営業マネージャーの働き方の「量」と「質」

若手営業マン育成のカギを握る!営業マネージャーの働き方の「量」と「質」

ここしばらく、新聞雑誌やTVで「人手不足」というキーワードをよく目にします。企業の倒産件数も10年連続で減少している一方で、人手不足が理由での倒産は過去最多。それに連動して大卒予定者の内定率は過去最高(2018年12月1日時点)となっており、多くの企業で人材確保が重要な課題となっています。

もちろん、採用したらそれで終わりというわけではなく、人材育成という大事な仕事が待っています。せっかく集めた若手人材を大事にしながらも早期に戦力化しなければなりません。特に営業マンの育成は売上という事業のベースを作り出すために会社として大事なミッションなのですが、「現場には若手を育てる余裕がない」「今の若い人の育て方が分からない」などといった課題が山積しています。

そこで、今回のトライツニュースでは、「今の若手/新人営業マンを育成するために必要なこと」について考えていきたいと思います。

「これまでのやり方が通用しない」今の営業マン育成

営業コンサルタントとして仕事をしていますと、営業マネージャーの方から部下育成についての悩みを聞くことがよくあります。
「優秀だけど理屈っぽくて、納得しないと動いてくれない」
「ガッツや意欲がなく、どうやったらモチベーションをかけられるのかが分からない」
「抱え込んでしまって、なかなか相談に来てくれない」
この記事をお読みの方の中にも、上のような悩みをお持ちの営業マネージャー/リーダーの方も多いことでしょう。これらの悩みを一言で言うと、自分たちが育てられてきたときとは違って「これまでのやり方が通用しない」ということだと言えるでしょう。

これまでトライツニュースでは、WebやITの進化/浸透によって顧客の購買の仕方が変わってきているから、今までの営業活動のやり方が通用しなくなってきており、顧客の変化に合わせた営業への変革が必要だという記事を多く紹介してきました。まさにこれと同じように、若手営業マンの考え方やものの見方が変わってきているので、現在営業マネージャーやリーダーとなっている人たちが受けてきたこれまでの育成の仕方では、今の若手を育てられなくなってきているのです。

リクルート流に学ぶ「自分で動く若手営業の育て方」

このような変化に悩んでいる方たちのヒントになるものがないかと書店の棚を眺めていたら、面白いものがありました。元はリクルートのトップ営業マンであり、今はグループ企業でグループ内外の営業人材の育成に取り組んでいる方が著した本「リクルートの営業コンサルが教える 自分で動く若手営業の育て方(的場正人著、日本経済新聞出版社、2018年12月5日)」です。

この本では、営業マネージャーがいかに若手/新人営業マンを育成していくかについて、「育成ゴール/計画の作り方」や「育成するための場づくり」「個人の育成課題をどう把握するか」「営業会議や営業同行の場での育成の仕方」など、日常の仕事の中で活かせるヒントがたくさん記載されています。また、この本に記載されていることはリクルートグループの人材育成のスキームそのものですので、人材輩出企業として有名なリクルートの人材育成手法について簡潔に学べる本でもあります。ご興味のある方はぜひお読みください。

営業マネージャーが部下育成できるようになるために会社として答えるべきことがある

この本で書いてあることを簡潔に言うと、「若手/新人を営業マネージャーが手間を掛けて育てよう」ということに尽きると私は思います。

この「手間を掛けて育てる」こととして本に書かれているのは、営業会議や営業同行などの場面でも、育成という観点から部下とコミュニケーションを取る。仕事を任せる際には部下一人ひとりのモチベーションのかかり方やスキルを見て、程よい難しさの仕事をモチベーションがかかるような伝え方で任せる。そして部下から仕事の仕方やものの考え方についての質問が来たら、自分の言葉でなぜそのように仕事をするのかについての理由を明快に伝える、といったこと。このように文章で書くと当たり前のことのように見えますが、プレーイングマネージャー化している現在の営業マネージャーにとっては、毎日続けて実践するのはとても大変なことです。

つまり、この本で書かれていることをやろうとすると、「人材育成に十分な時間が割けるよう、営業マネージャーの時間的余裕を生み出す」「部下に仕事の仕方や考え方をわかりやすく伝えられるよう、営業マネージャーが営業の仕事を体系的に理解する」という2つの大きな前提をクリアしなければならないのですが、これについての答えは本の中で示されていません。

結果として、この本は「働き方改革」に注目が集まっている中で、労働組合員ではないために、なかなか仕事が減らない営業マネージャーの時間をどう作り出すかということと、『先輩の背中を見て学べ』『量をこなして体で理解しろ』という方式で営業経験を積んできており、自分たちの仕事を論理的に整理して学ぶ機会がほとんどなかった営業マネージャーをどう教育していくのかという大きな2つの問題提起をしているように思います。

これは実に根深い問題ですし、決して営業マネージャーだけで解決できるものではありません。

会社として営業マンを育成する環境づくりを考えよう

「働き方改革」では、勤務時間や有給休暇の消化率などが注目されますが、本質的な対策なしに営業マンの勤務時間を減らそうとだけすると、そのしわ寄せは確実にマネージャーに行くことになります。そして、益々営業マネージャーが育成に費やす時間がなくなり、若手や新人の生産性はいつまでも低いまま。あるいはなかなか定着せず、すぐに辞めてしまったりしてしまうので、その穴埋めまでマネージャーの仕事になってしまうという悪循環に陥ってしまいます。

「そこをなんとかするのがマネージャーとしての腕の見せ所!」などと言ってトップマネジメントが現場に丸投げするだけだったり、一般的なコーチングの研修を行ったりするだけでは何も解決しないはずです。

そこで、営業現場に必要な働き方改革とは、勤務時間を減らしたり、自宅でも仕事ができるようなことだけでなく、部下の育成にじっくり取り組むことができるといった営業マネージャーの「仕事の質」の改革が不可欠なのだと思うのです。

具体的には、営業トップはもちろん、営業企画や人事・育成、情報システムなどの方たちが力を合わせ、営業マネージャーの「働き方」を量と質の両面から改革していくことが必要です。それをしない限り、いつまでも現場は若手/新人営業マンの戦力化という重要課題を抱え続けることになってしまうでしょう。

今回ご紹介した「リクルートの営業コンサルが教える 自分で動く若手営業の育て方」。
「こんなにやらないと若手は育たないのか」ととらえるのではなく、「どうすればこんなことができるようになるのか考えよう」というように、会社として営業マン育成ができるようにしていくきっかけにするというのは一つの有効な活用方法ではないかと思います。

参考:「リクルートの営業コンサルが教える 自分で動く若手営業の育て方」(的場正人著、日本経済新聞出版社、2018年12月5日)

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
実際に現場で成果が出るまでお手伝いします。現場の力を引き出し、現場に新しいアイデアを加えることで、顧客から選ばれるビジネスへの変革を実現します。
See more info
Return Top